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合格体験記 私の司法試験合格法

谷川 智
明治大学法科大学院 2015年卒業

第1 経歴

 私は,栃木県内の公立高校を卒業後,1年の浪人を経て憧れだった法曹を目指すべく,明治大学法学部に進学しました。法学部在学中は,六大学野球の観戦,サークル活動など「大学生らしい」生活を送る一方で,全日本学生法律討論会への参加を通じて法律学習に勤しみました。
 法科大学院進学の際には,「大学4年間で法律を学んだからにはなんとしても既修者コースに入学する」という思いから,また通い慣れた母校でもあることから,明治大学法科大学院を選択いたしました。
 法科大学院卒業後の2015年5月,第1回目の司法試験を受験しましたが,論文式試験で力及ばず不合格になりました。
 そして,2016年9月,第2回目の受験にして司法試験に合格いたしました。
 法科大学院に進学したからには腰を据えて勉強に取り組もうという思いから,予備試験の受験歴はありません。

第2 短答式の勉強方法

 私は,短答式試験特有の学習方法はない,という思いから短答式試験に特化した勉強はあまり行っておりません。というのは,近年の論文式試験は基本的な条文と判例の知識さえあれば合格点に達することは可能である,との分析にたどり着き,このことは短答式試験にも共通するという認識をもっていたからです。
 そのため,「短答式の勉強方法」と括ることは私にとっては正確ではありませんが,安定して短答式試験で高得点をとる結果に結びついた学習法は以下のようなものです。
 まず,使用した教材は各科目の過去問が単元毎にまとめられた問題集です。予備校のオリジナル問題も紛れ込んでいる,いわゆる「アシベツ本」は必要以上の細かい知識を必須知識と同価値に扱ってしまっているため,知識の整理には不向きと考え使用しませんでした。
 上記問題集を解くに当たっては,(1)まず各単元の該当部分について,基本書をざっと通読します。この段階で,基本的な要件・効果や条文の趣旨を後述の自作ノートにまとめます。あくまで,基本的な知識のみをノートに記し,情報を厳選することがポイントです。(2)次に,上記知識が頭に残っている時点で,過去問を単元丸ごと解きます。この段階では,各選択肢の理由付けまで合っていた場合にのみ「正解」とし,それ以外の場合には「要復習」とします。「要復習」とした部分については,問題集の解説部分,判例六法の該当判例をパソコンで作成した短答式専用のノートに書き写します。ポイントは,自分の知らないところを発見することに注力し,あまり覚えようとしないことです。(3)そして,そもそも理解不足だったと感じた場合には,普段使っている基本書のほかに著名なコンメンタール等を読み,理解を深めるよう努めます。
 上記学習を,本試験までに3周ほど行いました。その結果手元には,論文用のノート内に「必須基本知識を記載した部分」と,「何回も間違えてしまった問題についてまとめた短答式専用のノート」が残り,本試験直前はこの部分を繰り返し読むことができました。その結果,基本知識と間違いやすい問題に関する知識をバランス良く習得することができ,安定して得点することができたのではないかと考えています。
 いわゆる「択一プロパー」をひたする暗記する勉強方法は,私の記憶力では困難だったこと,また常に忘れてしまうことへの恐怖感に支配されるため精神衛生上よくなかったことから,行いませんでした。

第3 論文の勉強方法

 論文式試験に向けた勉強には,大きく分けて2段階のステップがあると考えています。具体的には,①知識の習得と,②知識の活用つまり答案作成能力の習得が必要と考えています。
 司法試験はその試験範囲の膨大さから,本来であれば第1ステップに過ぎない知識の習得だけに学習時間を費やしてしまっている受験生が多いように思います。つまり,「頭はいい」「勉強はしている」という評価を受ける受験生であっても不合格になるケースが多いのは,この第1ステップにのみ注力してしまっているからではないでしょうか。
 司法試験は,法律を使って採点官を説得する試験です。採点官にとって読みやすく,「点を与えやすい答案」を作成する技術の習得という,第2ステップの鍛錬なくして合格は難しいのではないかと考えます。
 
①知識の習得の段階では,私は主に自作ノートに「論証パターン」を作成することに注力しました。ここで,論証パターンというと,旧司法試験の頃から「害悪」と称された紋切り型のそれと誤解を受けるかとは思いますが,似ているようで全くの別物だと考えています。
 答案は,問題提起,規範定立,あてはめ,結論という流れが大きな枠組みとなりますが,この「規範」部分は事前に用意することができますし,また事前に用意すべきところです。基本判例の示した規範と,それにいたる理由付けは答案で正確に示すべきですし,それを「論証パターン」として書きとどめておくことは本試験の直前期に暗記するという点で有意義でした。
 論証パターンの作成は,判例百選に掲載されている判例を自分なりの論証に変換するという方法で行いました。判例百選は必須知識と考えていたためです。
ここで,知識を深めるために様々な文献を参照することが多かったのですが,参照した箇所については,後から見返すことのできるように参照元の情報を正確に記載することに注意していました。これにより,知識の正確性を担保することができたと考えています。
 上記学習方法により,各科目1冊ずつ(民法のみ2冊)の自作ノートを作成することができ,受験生が知っておくべき知識は1冊のノートを見返すことで復習することができる環境を整えることができました。

②答案作成能力の習得とは,具体的には過去問の分析と起案の繰り返しのことです。つまり,過去問を時間内に実際に起案してみて,出題趣旨や採点実感,また受験生の再現答案とつきあわせてみて,自分の答案はどこが足りないかを把握する学習です。出題趣旨や採点実感,受験生の再現答案を読み比べていると,「これを書いていれば一応の水準には達する」という基準を感覚としてつかむことができます。ご存じの通り,司法試験はすべての科目で平均点をとれば合格することができるため,この感覚の習得は寛容です。平均点以上の得点をとるには,規範の正確さや事実の評価能力の高さなども必要となります。
 また,2時間という制限時間内に合格答案を作成するという練習も必須となります。途中答案は絶対にしてはいけません。得点を大幅に下げてしまいます。与えられた時間内に,過不足なく必要事項を答案にまとめるという訓練は,起案の繰り返しでしか身につきません。未知の問題に取り組むという点では,予備校の答練を利用することも必要かもしれません。
 私は,第1ステップを受験前の12月までに,第2ステップを受験前の1月から行えるようにスケジュールを組みました。もちろん,必ずしもスケジュール通りにいかなかった部分もあるため,科目によっては1月以降も知識の習得を継続したものもあります。しかし1月以降は,基本的に1日1問は起案するように努めていました。

第4 その他合格に役立つと考えている方法

 司法試験は,受験直前まで努力を継続できた人が合格する試験だと実感しております。法科大学院の成績や模試の成績が例えよくなかったとしても,「絶対に合格する」という強い気持ちをもって最後まで努力を続けた場合,合格することができる試験だと思います。
 ただし,人間である以上,モチベーションが下がったり,心が折れそうになることは必ずあります。それは誰でも同じことだと思います。
 そんなときに備えて,気持ちを前向きにするための方法を見つけておくことは大切な準備の一つだと考えています。例えば私は,勉強を始める前や試験直前に聞く音楽を予めプレイリストに纏めておき,それを聞いて強制的に気持ちを前向きにするようにしていました。
 最後に,以上述べた私の意見は,私にあった勉強法であり,すべての人に当てはまるものではありません。皆さん個人にあった勉強法を見つけるべく,様々な意見に触れることが寛容だと考えております。

 以上
(H28.10.12執筆)

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