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司法試験合格体験記

富谷 耕作

 
 

1.経歴

2010年3月 千葉県立成東高校理数科 卒業
2015年3月 龍谷大学法学部法律学科 卒業
2017年3月 明治大学法科大学院(既修) 修了
司法試験受験回数:3回
選択科目:国際公法
 
 

2.はじめに

 まず、この体験記を見てくださる方に感謝を述べるとともに、令和元年合格者1502名には、それぞれ1502名分の合格体験記があることに留意して読んで頂きたいと思います。また、合格体験記には賞味期限があると思っています。私の体験記が唯一の方法論でも、何年にも渡って有用な体験記であり続けるとは思っておりません。したがって、他の方の合格体験記にも目を通して頂き、共通する部分や個性から、“未来の合格者であるあなた”に合った方法論を見つけて頂ければと思っています。私としては、その手助けになると幸いです。
 
 

3.勉強法

⑴ 短答式試験
 私は、短答式試験が苦手でした。そのため、1回目の受験では短答落ちを経験しています。1回目の不合格以降は、先輩が短答ゼミを組んでくださり個別に指導いただいたため最低限7割は点数を取ることができるようになりました。
 使用した教材としては、多くの方と同じように辰巳法律研究所から出版されている「短答過去問パーフェクト」を使用していました。もっとも、短答式の勉強としては、法務省のHPより過去問をダウンロードした上、年度毎にも解くなど勉強方法は工夫しました。なぜこのような工夫をしたかというと、短答式試験の対策に手を取られてしまうことが嫌で、異なる順番で問題に取り組むなど知識がしっかり定着しているか確認する作業を経ることで、苦手分野をブラッシュアップし、そこを重点的に学習することが効率的であると考えたからです。
 もっとも、短答式は安定して7割以上取れるようになった時点で勉強の比率を下げました。この判断は短答での不合格を経験している身としては、非常に勇気のいるものでした。しかし、先輩方から常々最終合格が目標である旨の指摘を受けていたので、思い切って計画変更をすることができました。
 このように短答式試験が苦手な方にとって、短答式試験を突破することが目標になってしまうことは非常に悪い傾向だと考えます。この点、私には先輩方がいたことで軌道修正できたことは、大きく合格に寄与していると今更ながら感謝いたします。
 
⑵ 論文式試験
 論文式試験については、答案至上主義・過去問至上主義という信条の下、徹底して論文を書くという勉強方法を取りました。使った教材としては、新司法試験以降の全年度の過去問及び各科目1冊の演習書です。
 過去問演習は、1日2科目の答案構成をノルマとして毎日検討していました。基本的に過去問の検討→解説→問題文の再検討という流れで何度も問題検討をし、出題の趣旨、採点実感の重要箇所を覚えるくらいまでやり込み、司法試験独特の出題傾向を掴むことを最大の獲得目標としました。新司法試験となってから既に過去問も蓄積されており、これをやり込むことは非常に意義があるだけでなく時間と労力を要します。3回目の受験に際しては、最低3周は検討しようと思いましたが、結局全科目3周する時間はありませんでした。それでも、個々の問題について時間を割いて理解を深めたと前向きに捉え、その都度計画を修正しました。
 演習書の利用方法としては、全体的な知識の理解を補うことを獲得目標として、科目にもよりますが短文事例問題を繰り返し検討していました。特に民事系の過去問の傾向としては、設問ごとに独立性が高いため苦手分野を作ってしまうと一気に点数が下がる可能性が高くなるため、満遍なく勉強するために短文事例問題を数多くこなす必要があったと思います。
 この他に週1回は答案練習会にも参加し、司法試験当日と同じタイムスケジュールで初見の問題も解くようにしていました。ここでの獲得目標は、あくまでも2時間ないし3時間でのタイムマネジメントと危機管理、そして相場感の獲得でした。自分がどれくらいの速度で答案を書けるのか、読みやすい字で書けているのか、わからない問題があった場合対処できるか、他の受験生がどの程度できるか等自分一人の勉強ではわからない事項に重点をおいていたため、必然的に問題の質や点数、添削の質によって一喜一憂するということはありませんでした。
 以上の通り、それぞれの学習方法に獲得目標を定め淡々とこなす姿勢が重要であったと思います。
 
⑶ 勉強計画
 短答式試験・論文式試験に共通しますが、私は勉強計画をしっかり立て、PDCAのサイクルを徹底することを意識しました。毎日の勉強計画を立て(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、そして翌日のために改善(Action)という流れです。具体的には、エクセルで表を作り、過去問・演習書の進捗状況や短答式問題の点数、勉強時間を記録し、試験本番から逆算して計画を適宜修正するなどしていました。得意な科目には無意識に時間を使ってしまうことや、苦手な科目にはなかなか時間を割かないなど、感情的に左右される行動をできる限り可視化し、コントロールすることで時間を効率的に使うことができたと思います。
 
 

4.むすびに

 私の合格体験記としては、以上ですがこれはあくまでも私が用いた方法論に過ぎません。
 私は、勉強したくない、怠けたい、遊びに行きたい、好きなことをしたいと毎日思っていました。机に向かっても直ぐに勉強に取り掛かることができない日も少なくありませんでした。経済的な事情からアルバイトを続けながらの受験生活に疲れを感じる日も毎日でした。そんな自分の弱さと毎日対峙することが一番大変でした。それでも諦めなかったのは支えてくれた教員の皆様方や先輩方のお力添えがあったからです。特に国際公法選択の先輩方からは常に気にかけて頂き、感謝に堪えません。きっと、自分だけの努力では合格できませんでしたし、明治大学法科大学院に来なければ合格することもできなかったと思います。
 “未来の合格者であるあなた”にも助けになってくれる方は大勢いると思います。やはり司法試験は簡単な試験ではありませんが、誰かがあなたを立ち上がらせ背中を押してくれると思います。まだまだ未熟ではありますが、私もその誰かの一人になれるよう精進していきたいと思います。

 

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