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合格体験記 私の司法試験合格法

石井 政成
明治大学法科大学院2017卒業

 

1 経歴、法曹志望の動機

⑴ 経歴

 私は中央大学総合政策学部を卒業後、明治大学法科大学院の未修コースに入学し、その後、司法試験を2回目で合格しました。
 私は元々漫画家になりたい、漫画家になりたいと考えていました。ただ考えているだけで何らに実行に移してこなかったので、大学生になったら、漫画家になる努力をしようと考えたのです。そして、ある程度努力しました。しかし、漫画家になることは無理なのではないか?と思うようになり、大学2年生が始まる頃には、何らの目標もない人間になっていたのです。
 このままでは、何も進歩のない人間になるなぁ、このままでは、何も得られないまま華の大学生活が終わってしまうなぁ、と考えて日々を過ごしていました。そして、とあることから民法の授業を受ける必要が生じました。その頃は法律って何?法律とか嫌いです…という状態でしたが、この授業を受けて世界が変わりました。

 
⑵ 法曹志望の動機

 民法の先生から、法律の勉強をすれば、何をすれば失敗するのかを学ぶことができるということを聞き、人生を豊かにするには法律の勉強をする必要があるなと考えるようになりました。そして、その先生が自主ゼミを開催しており、一緒に勉強する人を募集していたので、そのゼミに参加したのです。それから、法律の勉強って何?法律とか面白いです…という状態になり、もっと法律の勉強をしようと考えていたら、ロースクールの存在を知り、大学4年生のちょっと前からロースクールを目指すようになりました。

 

2 短答式の勉強方法

⑴ 失敗例

 私はいわゆる短答弱者であり、短答が苦手で苦手で仕方がない人間でした。
 短答の勉強方針も不明で、何をすればいいかわからないで、常に勉強方法を模索する日々を過ごしました。
 ある人は基本書をとにかく読めといい、ある人は短答講座を受けろといい、ある人は短答過去問をひたすら解けといい、ある人は肢ごとの問題集を全部解けといいます。「じゃあ、全部やればいいんじゃないの?」と思い、全部やってみることにしました。しかし、全部中途半端になってしまい、「結局何を得たのであろう?」という結果になったのです。
 それから、肢ごとに解くのはつまらないと思ったので、短答過去問集を解いて、解説をチェックする程度の勉強に切り替えました。
 そして、司法試験受験1回目の夏に短答答練を受験した際にはそれなりの点数をとって天狗になりました。しかし、その年の冬の短答答練で絶望的な点数を取り、不安のどん底に突き落とされたのです。
 その結果、「やはり短答弱者なんかが今までの勉強をしてはダメだ。やはり短答弱者は肢別に解かなければダメなんだ!」と思うようになり、急いで本屋に行って辰巳法律研究所の肢別問題集を買いに行きました。そして、新年から新しい肢別本で心機一転がんばって行こう!みたいな、不安の中にポジティブが混じった考えのまま勉強を進めました。
 そして全国模試を受けました。玉砕しました。今年は「もう短答落ちかな?」と思うようになり、不安のどん底に落ちました。それから、ひたすらに肢別本を解く日々になりました。
 結果として、短答の得点は111点を取得(憲法35、民法42、刑法34)。その年の短答合格得点は108点だったのでギリギリ突破でしたが、こんな点数で最終合格への望みも薄く、絶望の日々を過ごしました。

 
⑵ 敗因分析

① 具体的方策を貫かない。
 色々な勉強法を学びましたが、その中の一つを信じないで色々と手を出しました。これでは、積み重ねが無いまま、別なことをやることになり、今までのことが中途半端になります。なので、具体的ななんらかの方法を、とにかく貫くことが必要かと思います。
 
② 直前期に勉強法を変える。
 (決して肢別本が悪いというわけではないですが、)直前期に肢別本に手を出すのは愚の骨頂だと思います。というか、論文でもいえることですが、直前期に新しいものに手を出すのは不合格一直線かと思います。
 
③ 答練での悪い成績を気にする。
 答練や模試の成績は良かったら喜んでいいですが、成績が悪かったら問題が悪いと思って、自分が信じた勉強を貫いた方が受かりやすいと思います。
 論文の成績ならまだ気にしてもいいですが、短答の答練は気にしてはダメです。
 個人的な意見ですが、短答答練は受けない方が受かりやすいと思います。理由は、短答答練・模試は知識に寄りすぎているので、できない理由の分析をすると知識が無いから、という結論になりやすいからです。短答答練のような問題の対策は肢別系の問題集を解くのが一番という感じになりますが、本番で正答率を高めたいなら、基本的問題についての確実な知識を増やした方がいいと思います。

 
⑶ 具体的対策

① 短答パーフェクトの重要な問題のみをできるようになるまでやる。
 この方法は、辰巳法律研究所で講師をされている福田俊彦先生から伝授されたものです。
 辰巳が出版している短答パーフェクトで、上位30%の正答率70%以上の問題のみ解きます。僕の場合見たら不安になるので残りの問題は切って捨てました。また、民法の問題は、受験者が問題とするであろう上位3つの肢のみをやります。
 もちろん、その重要な問題、肢は理由をつけて、絶対にマル!絶対にバツ!といえるほどでなければなりません。
 さらに具体的に知りたい場合には、実際に福田先生の講義を受けたり、別な方の合格体験記を読んだりしていただければと思います。
 
② 本番での対策
 去年の短答を現場で解いた際に思ったことを述べますと、憲法と民法は意味不明で、今年は足切りだな……と思ったのです。しかし、実際には思ったよりも点数がありました。なぜかを分析したところ、以下の結論に至りました。
 
・民法の場合
 民法は1問、1問で意味不明な肢を入れており、それを気にすると混乱してしまうようにできています。しかし、それのマルバツを判断できなくても、超基本的な肢を知っていれば、消去法で解ける問題が多いのです。むしろ、正解の肢を確実な知識で狙い撃ちできる問題は少ないです。そのため、あぁ合っているか不安だ…わからなかった…となるのは当たり前なのです。正解の肢を狙い撃ちできないのですから。
 そう考えると、確実に知っている肢だけで、消去法を用いて解くというのが正答率をあげる方法としては確実です。また、知らない肢は正解に関係しないのですから、知らないから見ないというのが本番で混乱しないという点では正解であると思います。
 そうであれば、超基本的で重要な肢を絶対にマル!絶対にバツ!と言える知識の精度が得点をとるのに大切です。そのため、肢別本等をやってあらゆる肢の知識を持っていなければ!と考えるのは本番の問題を分析できていない人の勉強法かと思います。では、具体的には何をすればいいかといいますが、福田先生がおっしゃる方法がベストな方法かと思います。
 
・憲法の場合
 憲法はわからない問題のオンパレードなような気がしますが、実際には解答に直結する知識自体は不要な問題が多いです。むしろ、その場で判例だったらこういうかな?実際そういう判例はなさそうだな…と考えて解けという問題が多いと分析しました。
 そうであれば、対策としては基本的な判例で何を言っていたのかという理解をしておいて、知らない肢が出たらその場で考えるのだな…という峻別できるかが重要になってきます。そのため、肢別本等であらゆる肢を検討するよりも、本番の形式で考えるべきか否か、考えるとしたらどういう風に考えるかを鍛えた方が得点に繋がりますし、本番で混乱しないと思います。

 
(4) 結果

 結果として、憲法38、民法58、刑法34の計130点という得点でした。そこまでよくないじゃないか!という人がいるとは思いますが、絶対に足切りは避けたいという人であれば、辰巳の短答パーフェクトの問題や肢を絞って、本番を意識して、何周もやるというのが確実かと思います。

 

3 論文の勉強方法
去年は総合で小数点足りずに落ちました。何を言っているのかよくわからない気がしますが、要するに、短答で1点多ければ受かっていました。
 惜しいなぁ、と思う反面、割と司法試験に受かるために必要な知識はそこまで高く必要とされ無いのだなと思うようになりました。なぜなら、この年は模試でE判定をとったこともあり、絶対に落ちると思っていたからです。私は、周りよりもすごいことを全然知らないし、難しい演習書も色々持ってはいましたが、やれませんでした。しかし、旧司の過去問や、予備校の基本問題集をとりあえず何周かやっていました。
 そうであれば、難しい知識を身につけるよりも、超基本的な知識を身につければ論文で落ちないと思いました。

 
⑵ 敗因分析

 この年は、憲法と商法がFでした。
 これらの理由は、①本番で混乱して意味不明なことを書いた、②演習書では答えだけを覚えていたため、ちょっと論点が変わるだけで何ら対応できなかった、といったことが分析できました。
 そうであれば、本番で混乱せずに、また旧司や予備試験の過去問で問われた論点の知識の制度を高めるのが大切だと思いました。そして、今まではこの世にある問題を全て解けば受かると思っていましたが、そんなことしなくても、落ちないのだなと分析しました。

 
⑶ 具体的対策

① 混乱しない方法
 混乱しないためには、混乱する可能性がある状況を想定し、それに対して対策することが考えられます。
 例えば、この問題知らない!といった問題が出た場合にどうすればいいのかを徹底的に考えます。もし、典型論点だった場合には、自分の知識が少なかったとして、さらなる勉強をすればよいでしょう。他方、典型論点で無い場合には、誰も書けないのですから、知っていることからそれっぽく書くというのが大切になってくると思います。
 では、どうすれば典型論点か、みんなが書けない問題かを判断できるのでしょうか。典型論点を網羅しておけばいいのです。
 では、典型論点とは何か。いわゆる予備校のAランク論点や、旧司、予備試験の過去問で問われた論点です。そうであれば、旧司や予備試験の過去問を最低限やっておけば、ある程度書ける問題を判断できると思われます。
 そして、旧司や予備試験をやって、どの問題集にも載っているような論点さえ対策しておけば、知らない問題が出てもみんなが知らないと割り切っていいのではないかと思います。
 
② 論点の精度を高める方法
 実際に旧司や予備試験の過去問を書いてみて(答案構成でもいいですが、実際に書いた方が、弱点が見えやすいです。自分の可処分時間と相談してみてください。)、本番で同じ論点が出て60点以上取れなさそうな答案を書いていたら、そこは自分の弱点論点だと考えた方がいいと思います。その論点については、自分が使っている基本書で確認してしっかりと理解するというのが大切かと思います。決して通読はしない方がいいと思います。知らない論点の箇所だけ読んで、もし体系的な理解が足りていないと思うなら、その単元だけ通読してもいいとは思います。仮に、全体を見渡したいならば、重要なところと重要でないところを意識しながら読んだ方がいいです。それぞれの単元で重要か否かよくわからないなら、全体の通読はしない方がいいです。時間は有限なので。

 

4 その他合格に役に立つと考えている方法がある場合はその方法

⑴ 体調管理

 1回目の試験での一番の敗因は、メンタルが崩壊した点にあります。
 多少無理してもいいかな?と思うことがあると思いますが、メンタルが潰れたら、立ち直るのにしばらく時間がかかります。私の場合、某予備校の模試を受けて、E判定をとってしまい、それから1ヶ月ぐらい何もできなくなりました。かろうじて、別な予備校の模試ではC判定だったので、そこで少しは回復したのですが、それでも毎日が嫌で嫌で仕方がない日々を過ごしていました。
 結果として惜しかったので、あの時メンタルが潰れなければなぁと思いましたが、後悔しても仕方ありません。
 そこで、2回目の試験では自分のメンタルを保護することを一番に考えました。
 具体的には、予備校の答練でいい点数をとったらそれを受け入れて、悪い点数だったらあまり気にしないようにしました。
厳しい意見を受け入れないと合格できないよ……という意見もあるかと思いますが、自分が反省している敗因を直していけばそれで落ちないような気がするので、私は落ちなければなんでもいいかと思います。

 
⑵ 運動

個人的には、有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)をものすごくおすすめします。
 
ア 有酸素運動
 有酸素運動後であれば、脳の活動が効率化するそうなので、やった方がいいです。
 もっと詳しく知りたい方は、『脳を鍛えるには運動しかない』という本や、『一流の頭脳』という本を読むといいと思います。
 具体的には、普段運動したことがない人であれば、20分の早歩きで十分なようです。できたら、30分以上やった方が望ましいとは思いますが、あまり強度を強めると、脳よりも身体へ血が回って眠くなるそうなので、自分の身体と相談しながら運動するといいと思われます。
 また、(個人的な見解ですが、)やらないよりはいいですけれども、できたら足の裏に刺激を与える有酸素運動やスポーツをおすすめします。足の裏に刺激があると、脳の頂点へ血流が流れるというのをどこかの文献で読んだのと、エアロバイクではそこまで頭の回転が上がらない気がするので。
 ちなみに私は、勉強前や頭が回ってないと思ったら、ジョギングやランニングをしに行きました。
 
イ 無酸素運動(筋トレ)
 筋トレすると、腰痛や肩こりが治りやすいです。
 また、筋トレすると身体がキレイになって自信がつきます。
 さらに、筋トレをすると不安やストレスを緩和するそうです。
 
ウ 対策
 とりあえず、24時間ジムに入会して、インターネットでトレーニングメニューを確認して、筋トレと有酸素運動を週に2〜3回ぐらいすれば勉強効率はかなり上がると思います。

 
⑶ ネット等

 (僕はできませんでしたが)デジタル断食をした方がいいと思います。
 ネットで予備校の授業しか受けられない状況なら仕方ないですが、予備校の授業を受けるなら、ネットではなく、生講義を優先的に受講した方がいいです。
 というか、ネットの授業しか受けられない予備校の授業は受けない方がいいです。よほど強い意思がなければ遊びます。僕は何個か予備校の授業をネットで受講しましたが、受講中にたくさん遊びました。

 
⑷ おわりに

 合格体験記は自分の役に立ちそうだな……という部分だけ取り入れて、あとはその人の感想であると考えるべきでしょう。なぜなら、合格をするには様々な方法があるためです。
 他方、不合格要因は不合格者万物共通事項だと思っているので、個人的に重要だと思った敗因として列挙してみました。それの具体的対策については、ふーんと思ってくれればいいですが、敗因自体は不合格者に共通するものだと思われます。なので、それだけでも取り入れてくれればと思います。
 最後に、司法試験の勉強は辛いです。以下、自分が受験生の頃に思っていたことです。
 この苦行はいつ終わるのだろう。友人はもう働いている。自分は凡人なのに、天才たちに勝てるのか。今日の勉強で合格に近づいているのであろうか。正しい勉強方法を行なっているのだろうか。今日は1日勉強せずにゲームしてしまった、受験生としていいのだろうか。親の負担も大きい。早く働いてお金を稼ぎたい。なんで僕はこんな道を目指したのであろう。本当はそんなに法曹になんてなりたいと思ってなかったのではないか。来年落ちたらどうしよう。もう今年でラストと決めていたのに、すでに次次回の試験のことを考えている。このままではダメだとわかっているのに、何もできていないではないか。何かしなくては。では、何をすればいいだろう。ゲームするか。司法試験の勉強は辛い。
 と、常に不安でした。ビクビクしていました。おそらく受験生はみんな似たり寄ったりの不安で押しつぶされているかと思います。しかし、どんなことがあっても、少しでも前に進んでいればいいのです。メンタルが潰れて何もできなくなるよりは、1日や2日遊んでもいいんじゃないかと思います。
 こんなに長い合格体験記を最後まで読んでくれる人がいるとは思えませんが、もしいたら、読んでくださってありがとうございます。読んでくださった人が合格できますよう、心からお祈り致しております。

以上

司法試験合格体験記・予備試験合格体験記