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合格体験記 私の司法試験合格法

大川 輝

 

1 略歴

私は、明治大学法学部を平成24年に卒業し、同年、中央大学法科大学院未修コースに入学し、同法科大学院を平成27年に卒業し、平成27年の司法試験に合格することができました。法曹の志望理由は、恥ずかしながらこれといった明確なものがあるわけではありません。純粋に法解釈の勉強が好きだったこと、知人のトラブルの中で弁護士の方と出会えて漠然と興味をもったこと、東日本大震災が起きた際に、出身地である岩手に十分な数の法曹がいるわけではないと知ったことなどがきっかけにはなっているのだと思います。
司法試験の成績は、短答式試験が141点で約1400番、論文式の公法系が約120点、民事系が約170点、刑事系が約80点、経済法68点で、論文順位約1000番で、総合順位が980位という平凡なものです。大学及び法科大学院の成績もGPA2.8くらいの普通の成績です。司法試験を受けるまでの得意科目は刑法、経済法で、苦手科目は、憲法、民法でした。
参考になるかはわかりませんが、私の勉強記録を時系列に沿って簡単に紹介します。
未修1年の頃について、前期が上3法、後期がそれ以外というカリキュラムでした。
最も力を入れたのは、民法の基礎的な学習です。ローププラクティスという問題集を中心に、適宜参照判例を百選、調査官解説等にあたりつつ勉強しました。不法行為、不当利得を除いて、この時期に民法全体の基礎を固めることができたのは最後まで役立っています。司法試験の論文式試験の過去問も春休みまでに1周させていました。25年に合格した寮の先輩からいただいた授業を聞きながらまとめたレジュメに書き込みを加えて、民法の知識を一元化していくスタイルをこの時期から確立していました。
刑法についても、大学のゼミで総論を中心に勉強はしていたので、各論の勉強をした後に夏休みから、司法試験と刑法事例演習教材を解くゼミを開始し、調査官解説も参照しながら、1年のうちに終わらせることができました。刑法はこの時期以降、授業を除いては、学習時間を割いていません。早めに全体像を把握することができ、その後、わからないところに集中して授業を活用できたのは、よかったと思います。
行政法については、授業レジュメを早めに読み込み、司法試験の論文の過去問に挑戦しました。司法試験の論文の過去問を早期に回すことで、司法試験を解くための勉強に集中することができました。分析した結果、判例百選をつぶすよりも、より重要な判例に絞って、ケースブックを読み解くことが重要だと気づき、その後百選を読むことはありませんでした。行政法は、1年生の授業レジュメに適宜書き込みを加えて一元化を図っていました。
刑訴法については、古江先生の事例演習を読み進めながら、百選を読み込みました。司法試験の過去問も春休みに1周しました。これらの学習で得た知識等を、寮の先輩から頂いたまとめノートに書き加えたり、修正する形で一元化をしていました。
会社法については、教科書を夏休みのうちに読み込み、司法試験の過去問も解けそうな気がしたので、授業と並行して1周しました。必要な知識は全て教科書に書いてあるという自信を持てたのはよかったです。この時期は、授業の板書と寮の先輩から頂いたまとめノートの重要部分を教科書に書き込む形で一元化を図っていました。なお、2年以降に、スペースが足りなくなったのと条文の読み込みの重要性に気づいたことから、判例百選に引っ越し作業をしました。
憲法、民訴法については、正直全く勉強していません。
2年について、1年目の勉強がオーバーペースだったのか,突然やる気がなくなり、秋頃までほとんど自習はしていません。ただ、これまで解いた司法試験の過去問の起案を、時間無制限で、各種分析本を参考に完全な起案にする作業だけは、やっていました。意識はしていなかったのですが、意外にこの作業から、司法試験合格のための起案上の作法のようなものを得ることができたように思われます。それは、結局、言葉にすると、「問いに答える」、「三段論法は大事」、「事案の特殊性から逃げない」、「誘導に乗る」といったようなありふれたものになるのですが、実感することができたのは、本当によかったです。 2年目の秋ころ、様々なまとめノートを頂いていた寮の先輩に指導をして頂きながら、経済法の過去問を起案する時期が1ヶ月ありました。この時期の学習により、模試などで上位3パーセントくらいに入れる実力が身につきました。そのため、この時期以降、選択科目の学習は、授業と3年秋から始めた週1回のゼミを除いて、行う必要がありませんでした。
経済法が得意科目になったため、勉強のやる気が戻り、手をほとんどつけていなかった民訴法の学習を春休みに開始しました。百選が重要と聞いていたので、薄い教科書で全体像と原則定義だけを確認した後に、百選のまとめノートをつくりました。その再、適宜重点講義を参照しました。その後、司法試験の過去問を時間を計らずに完全な(本番で自分が目指すもの)起案を作り、基礎演習という問題集と期末試験の過去問を起案しました。全て百選まとめノートに一元化しました。この時期以降、自習時間を民訴に割くことはほとんどありませんでした。
2年を終えた段階で、司法試験に向けて不安なのは、短答式試験、憲法、民法、だけになっていました。
3年になってから、夏休みが終わる頃まで、刑法の総論の教科書等を読み込むことと憲法の連載を読むことにはまり、あまり司法試験に活きない勉強をしてしまいました。さすがに焦り始め、秋から年末にかけて、憲法の薄い教科書を読み、憲法の判例プラクティスの読みこみをしました。解説を読む際には、試験を意識して、事実の評価の仕方や枠組みの設定の仕方に関する記載を簡単にメモ帳に残していました。この時期司法試験の過去問と判例から考える憲法という問題集を、このメモ帳と趣旨・実感を見ながら、答案構成していたのですが、自分なりの起案のスタイルを確立できてよかったです。
司法試験本番は、ホテルを取ることもなく、電車かタクシーを使って、五反田の会場まで通っていました。会場の席の周りに友達がいたので、休憩時間も談笑でき、特に緊張することもなく受けることができました。
初日の経済法は、問題を見て、苦手な分野ではないことがすぐにわかったので、途中答案を避けるべく、60点を目指して、8割くらいの力で起案していきました。
憲法は、苦手を払拭できていたわけではなかったし、問題を開いた瞬間に傾向が変わっていたことに気づいたので、緊張しました。個別法がなかったので最初はミスプリを疑いました。もっとも、内容のうち14条の保護範囲に関する問題は、駒村連載で読んでいたので、意識して書くことができたし、もうひとつの主張も条文は悩んだのですが、条文選択の理由を保証根拠から現場でひねり出し、問題文の特殊性から逃げることなく、起案できました。私見が1ページ半くらいと薄くなりましたが、最高裁の判例を3つくらい頭に浮かべながら、当事者の対立軸を示せたので、自分の中では満足していました。
行政法は、設問1は事前準備で片付く問題で、設問3も誘導に乗って容易に構成できたのですが、なかなか設問2の誘導を読み取ることができず、書き出せませんでした。もう少し自分の中では満足して終わりたかったので、悔いが残りましたが設問2を一応の形でまとめ、設問3まで書き切ることができたので良しとして、切り替えました。
2日目は、失敗すれば合格が難しくなる民事系なので、非常に緊張しました。そのせいか民法は、わからない設問1小問2に大幅に時間を割いてしまい、事前準備で対応可能な設問3の小問1が実質途中答案になり、小問2はなにも書けませんでした。試験時間が終わってからは、席から移動せず、一人で気持ちを切り替えることに集中していました。
商法は、気持ちを切り替えて臨むことができ、多少事情を落としても、枠組みをしっかりと示してとにかく最後まで書き切ることに集中しました。それでも、設問3が時間ぎりぎりでしたが、書き終えることができ、ほっとしたのを覚えています。
民訴法は、最後の問題以外は簡単だったので、丁寧に論証を進めることのみを意識して、余裕をもって時間内に終わらせることができました。
2日目の帰りは、簡単な問題だったということもあり民法のミスが頭に張り付いていました。
中日は、刑訴のノートを読み返し、刑法と憲法の部分の短答のまとめを読んでいました。
刑事系の日は、刑法さえしっかり処理できればまだ受かると考えていました。しかし、刑法の構成が20分で終わった段階で、刑法に合格がかかっていると勝手にハードルを設定してしまったせいか、自分の構成を信じ切れず、もう一度やり直してしまい、構成が変わることもなく無駄に時間をロスしてしまいました。そのため、準備していたこともしっかりと書けず、最後の方では三段論法すら守ることができなくなり、悔いが残る起案になりました。
このショックから立ち直りきれないまま、刑訴法の試験が開始され、自分の考えをしっかり示すべき設問2の起案も特殊性について悩みを示せないまま中途半端に終わりました。
自分の中では、刑事系の日の過ごし方に悔いが残り、ほとんどあきらめてしまっていたのですが、自分で勝手に自己採点して諦めてはいけないとの先輩の言葉や最後まで受けきって終わろうという友達の言葉に励まされ、なんとか短答式試験に集中して臨めました。
短答式試験のときの記憶はほとんどありませんが、終わったあとの会場の屋上の開放感だけはすごく記憶に残っています。

2 短答式試験の勉強方法

短答式試験の学習は、3年の12月ころから始めました。時間がなかったので、辰巳のパーフェクトを2周しました。1回ざっと回して、よく出る範囲と自分の学習が進んでない範囲をつかみ、1月から3月はじめ頃までは、論文式試験の学習の合間に、というよりも刑事系の論文学習の時間を削り、その範囲の理解を教科書を読み込むなどして判例六法に書き込み、夜寝る前に1時間だけ判例六法を読んでいました。そのうえで、3月の途中から2周目を開始しました。まだ、間違えるところは、判例六法のはしがきあたりに付箋でまとめたものを貼って当日まで読み込んでいました。
短答式の学習は何回も回すことよりも自分の頭で理解をすることが重要だと思います。また、自分ができているところは、やる必要はほとんどありません。

3 論文式試験の学習方法

まず、得意な科目や得意な分野の学習よりも苦手な分野の学習に力を入れることが重要だと思います。
また、判例学習の際には、なぜその判例が重要なのかを考える必要があります。どうしても、勉強をしていると論点とその判例の規範に目が行きがちですが、何より重要なのは原則論や制度趣旨、従来の判例の流れから問題の所在をしっかり把握し、その判例が重要とされる意味や射程を押さえることのほうが重要です。理解せず暗記したことは、あてはめの説得性に欠けることやそもそも適用場面を間違えるという形で、答案上、判断基準だけが浮いて、バレてしまうと思います。
さらに、途中答案を避けるためには、わからない問題をある程度で終わらせてわかる問題に進めるという能力も必要であり、これを身につけるためには、時間を計って起案することも大事です。私はこの練習をあまりしていいなかったので、本番で失敗をしました。しかし、まずは、時間をあまり気にせず一度優秀な人の論述等を参考に自分が本番に目指したい起案のスタイルを考えるということが重要だと思います。これができると、その後の学習で、常に起案を意識してインプットを行えますし、みんながわかる問題であっても、説得性で差がつくように思います。
最後に、司法試験本番では、経験上、最後の試験が終わるまで、それまでの科目を振り返って勝手に自己採点して諦めないことが大切だと思います。私は、結果として大きく失点していなかったのに、民事系を失敗したものと思い込み、得意な刑事系にも響きました。この点は、悔いが残ってしまったので、私の経験を参考に、是非皆さんには、悔いが残らない合格を果たしてほしいと思います。
私自身、当時はその重要性に気づけていなかったようには思いますが、問題の所在を原則から考えるという思考方法は、明治大学の学部のゼミで培うことができたと考えています。明治大学には、多くの法曹を輩出してきた実績と充実した授業があります。是非明治の後輩の皆さんは、その環境を活かし切ることができれば、確実に合格できると思いますので、頑張ってほしいです。