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明治大学法曹会 青森県弁護士会の紹介

平成26年4月9日
薫る風法律事務所
弁護士 橋本 薫(62期)
1 青森県弁護士会

⑴ 青森県弁護士会は、青森本部と八戸支部と弘前支部があり、支部にも事務員が常駐する独立の建物があり、各会員が委員会、勉強会等をテレビ会議で行えるような体制が整っている。
 
平成26年3月4日段階の当会の会員数は以下のとおりである。

青森市の会員数   45名

八戸市の会員数   33名

弘前市の会員数   19名

五所川原市の会員数  6名

むつ市の会員数    6名

十和田市の会員数   5名

三沢市の会員数    2名

合計 116名

平成22年3月段階では、青森県の会員数が、80名であったが、その時から、36名の会員が増加したことになる。66期の登録人数は、青森市が2人、八戸市が3人、弘前市が1人となっている。
 
⑵ 私が平成21年12月に入会したときは、同時に11人の入会があったが、現在残っているのはこのうち2人のみになった。青森は、関東圏からの入会が特に多いが、その方々の定着率はあまりよくない。

数年前に青森市や弘前市の会員が一気に増えたが、去年はその増加にブレーキがかかった。現在は、青森県の法律事務所は、ほとんどの事務所が弁護士の募集はしていないようである。潜在的需要も前ほどはない。
 

2 青森弁護士会の委員会活動の紹介

⑴ 人権擁護委員会、公害対策委員会、非弁取締委員会、司法制度委員会、民事介入暴力対策委員会、法律相談センター、消費者問題対策委員会、司法修習委員会、会報編集委員会、子どもの権利委員会、高齢者・障害者の権利に関する委員会、憲法委員会、裁判員裁判に関する委員会、法教育に関する委員会、地域司法計画委員会、災害対策委員会、中小企業法律支援センター、刑事弁護委員会、犯罪被害者センター、民事弁護委員会、研修センターなどの各種委員会があり、基本的には青森県弁護士会の会員はどれかに所属することになっている。
 
⑵ 消費者問題対策委員会は、現在は、新会員がまず入る委員会とされておおり、その他の委員会は希望者多数の場合は、推薦・実績等で入会の可否が判断されているようである。八戸支部や、弘前支部の会員は、各支部に設置されたテレビ会議で、委員会に出席することができるため、委員会活動を行う上での地理的不利益は特にない。
 
⑶ 私は、民事介入暴力対策委員会と法教育に関する委員会に所属している。どちらの委員会も活動が盛んで、毎月1回ペースで行われ、毎回、様々な事例・法令の検討会や勉強会が開かれ、各種イベント準備に追われている。
 

3 青森弁護士会主催等の相談会

民事当番制度といって、相談担当者の事務所が相談場所になる相談会や、その他各種相談会を青森弁護士会で開催しており、登録1年目の弁護士でも、この相談を担当できるため、登録後比較的早期に法律相談を担当できる機会がある。

また、法テラスの会員になっている弁護士は、2か月に1回程度は、合同庁舎等で法テラス主催の相談会で相談を担当している。

その他ハローワーク相談会等様々な相談会があり、各弁護士は自分のスケジュールを見ながら自由に相談を引き受けている状況である。
 

4 青森県内の裁判所

⑴ 青森に青森地方・家庭裁判所があり、弘前市、五所川原市、十和田市、八戸市にその支部がある。むつ市には、むつ簡易裁判所、青森家庭裁判所むつ出張所があり、野辺地にも野辺地簡易裁判所、青森家庭裁判所野辺地出張所がある。鰺ヶ沢には、簡易裁判所のみがある。
 
⑵ 裁判員裁判は、青森市でしか行われない。そのため、八戸にいる弁護士は、裁判員裁判期間中青森市に宿泊しながら連日開廷に望んでいる弁護士もいる。起訴後は、八戸市で被疑者勾留されていた被告人の身柄が、青森市にある青森刑務所に移されるため、弁護人が接見を行うためには、青森市まで赴かなければならない不便さがある。
 
⑶ 少年事件については、鑑別所が青森市にしかなく(しかも、駅から遠い。)、支部会員にとっては、地理的不便さは否めない。
 
⑷ 移動手段について

八戸から新幹線で青森地方裁判所に行く場合には、新青森駅で下車しなければならない。しかし、新青森駅は、青森地方裁判所から距離が離れており、新青森駅からさらにローカル線に乗り換えて青森駅に移動して、その後徒歩で裁判所に行くか、新青森駅からタクシーで裁判所に行く必要がある。

八戸の会員は、自動車で青森地方裁判所に行く会員も多い。その場合には、八甲田山を横断していくルートと八甲田山の北を通るみちのく有料道路を通るルートがある。八戸から、十和田支部には自動車で行くため、普通自動車免許の取得と、自動車の購入は必須である。
 

5 検察庁体制

青森に青森地方検察庁があり、弘前、五所川原、十和田、八戸にそれぞれの支部がある。
 

6 新人弁護士の仕事について

破産管財事件については、青森の場合は、私が入会したときは、簡易管財事件を1年目からやらせてもらえたが、今は2年目ぐらいにならないと割り当てられないようである。

刑事事件については、登録したばかりの弁護士に優先的に刑事弁護事件が回るようになっている。しかし、裁判員裁判等の重大事件は1年目への割り当ては原則ない。

青森弁護士会では、即独の弁護士は年に一人もいない感じである。しかし、2、3年イソ弁をして早期に独立をする弁護士が、急速に増えてきている印象がある。青森県では、イソ弁になっても付きっきりで仕事を教える法律事務所はないように思える。登録年度からイソ弁でありながら、独りで活動する弁護士が多いせいか、1年たつと良い意味でも悪い意味でも相当印象が変わる弁護士も多い。
 

7 県外からの出張法律相談

最近、県外の弁護士が青森県の至るところで債務整理の無料法律相談会を開催している。青森の民放では、夕方以降になるとその某法律事務所のTVのCMが流れ、さらに無料法律相談会開催の新聞広告が頻繁にされるようになった。おそらく関東圏より、TVのCMは多いと思われる。
 

8 青森県弁護士会の会員の一般的業務

⑴ 最近は、過払い事件は月に1件入るかどうかになり、その件数は激減している。私が、入会した頃は、一人で70~100件近くの過払い事件を持っていたので、その時とは雲泥の差がある。
 
⑵ 刑事事件も、新入会員が増えてからは、抱えている件数が1、2件になった。入会した頃は、多い時で7件以上の刑事事件を抱えることがよくあった。これは、会員数の増加が原因と思われる。
 
⑶ 青森弁護士会では、会員数は増加しているが、裁判所に係属する事件数はそれほど増加していないというデータが出ている。しかし、これは裁判所に係属する事件の内、過払い事件が相当数減少したことに起因していると思われる。
 
⑷ 地元密着型のベテラン弁護士が経営する法律事務所は、過払い事件が減少しても、宣伝広告等をして顧客獲得の努力をしている事務所はそれほど多くないように思える。しかし、若手弁護士や東京から進出してきた大手の事務所の中には、市内の様々な場所に弁護士事務所の看板を掲げ、インターネットや広報等を使った顧客誘引もさかんに行っている。今後は、各法律事務所が宣伝広告も含めた様々な経営努力をしなければならないと思われる。
 

9 青森県の気候

⑴ 青森市や弘前市は、冬は2,3mの雪が降り積もり毎日雪搔きに追われる生活をしなければならない。しかし、県道や国道は、雪が降った深夜と早朝に除雪車が入るため、交通が雪で完全に遮断されるということはまずない。
 
⑵ 太平洋側の八戸は、雪がほとんど降らない年もあれば、青森市並の雪が降る年もある。除雪車は、青森市ほど多くないため、大雪が降ると除雪がスムーズに行われず、交通の便が極端に悪くなることがある。
 

10 最後に

青森県弁護士会は58期以降の会員が多数を占める単位会になった。会員の中には、事務所経営に必死で、青森県弁護士会の総会には一切参加せず、委員会等の会務に全く参加せず、他の弁護士との交流も一切しないという弁護士が数多く出るようになった。この会務を全くしない会員の中には、青森県弁護士会の開催する法律相談会にだけには参加して、事件を受任するような会員もいる。会務を全くせずに、いわばおいしいところだけをもらう弁護士が増えれば、会務を無償で引き受ける弁護士の活動意欲は下がる一方である。
今後は、比較的期の若い会員が率先して自覚をもって、青森県弁護士会の会務に率先し参加しなければ、会自体の運営、権威といったものが揺らぐ事態になりかねない。私としては、今後は、弁護士会の存続意義というものをしっかり考えて、会務に積極的に参加してくれる弁護士が増えることを期待して止まない。
 
以上