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合格体験記 私の司法試験合格法

古川 翔
平成21年3月 明治大学付属明治高校 卒業
平成25年3月 明治大学法学部 卒業
平成25年4月 中央大学法科大学院(既習) 入学
平成25年度 司法試験予備試験 合格
平成27年3月 中央大学法科大学院 修了
平成27年度 司法試験 合格
平成27年12月 司法修習生

1、法曹を志望する理由

 私が法曹を目指すことを決心したのは、大学2年生の時です。月並みですが、社会の役に立つ仕事がしたいと思ったことと、法律の勉強が楽しいと感じたことがきっかけです。

2、法律を学ぶコツ

⑴ 基本を大切にする

 法律を学んでいると、よく「基本が大事」と言われます。では、「基本」とは何でしょうか。
 私は、「基本」とは、原理原則、体系、制度趣旨および条文のことだと考えています。これらの事項が重要であることは、皆さんにとって「言うまでもない」ことかも知れません。しかし、論点や判例を学ぶにあたって、原理原則や制度趣旨などとの関係性を明確に意識できている方は、多くないように思います。

⑵ 具体例

 たとえば、「動機の錯誤」という論点について、「民法95条は表意者の保護を旨とする制度であり、動機に錯誤がある者も保護の必要がある」といった説明は、誰もが知っています。しかし、前記のような制度趣旨は、当たり前のものではないはずです。私的自治の原則のもとで考えれば、「意思がないときには法律効果は生じないものであるところ、錯誤があるときは意思がないから無効となる」といった趣旨の規定と理解するのが素直であると思われます。そして、動機は法律行為における意思(効果意思など)とは概念上区別されていますから、動機の錯誤は無効とならないと理解することもあり得るわけです。このような見解に対して、どのような反論ができるか、更に考える必要がありそうです。
 このように、「動機の錯誤」ひとつをとってみても、私的自治という原則、錯誤無効の制度趣旨、法律行為における意思の概念など、「基本」を意識することで色々な問題意識を持つことができます。

⑶ 体系と条文

 体系や条文も、同じように大切です。たとえば、「賃借権に基づく妨害排除請求権」という問題を考えるときには、そもそも賃借権が相対的権利とされる債権である、といった体系を踏まえたうえで考える必要があります。また、「抵当権が従物に及ぶか」という論点を考えるときには、民法369条が抵当権の客体を「不動産」と規定していることを前提に、動産である従物を抵当権の客体とすることの可否を検討する必要があるはずです。

 このように、論点や判例を勉強するときには、原理原則、体系、制度趣旨および条文との関係を強く意識しなければ、深い理解を得ることができません。

3、試験対策

⑴ 試験対策の考え方

 短答、論文のいずれについても、法律論を問われているのですから、3で述べたように、原理原則や体系、条文といった基本知識を踏まえて考えることが不可欠です。

⑵ 短答対策

 短答について、具体的に見ていきましょう。たとえば、「消費貸借契約は,要物契約であるから,当事者間で,当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し,相手方がその引渡しを受けた物と種類,品質及び数量の同じ物をもって返還することを約したとしても,その合意は無効である。」という肢が出題されたとします(平成27年度民法の問題から抜粋したものです。)。
 確かに、民法587条は「物を受け取ることによって、その効力を生ずる」と規定していますから、消費貸借契約は要物契約です。しかし、契約問題は私的自治の原則との関係において考えるべきです。そして、特約によって諾成契約としての消費貸借契約を締結することは、肯定するのが私的自治の原則に適合しそうです。また、同条が要物契約とした趣旨は、ローマ法の沿革に基づくものであって今日では独自の意義を見出だせないこと、諾成契約としての消費貸借契約を認めることによって生ずる不都合も特に存在しないことが指摘でき、諾成契約としての消費貸借契約は有効との答えが導かれます。したがって、本肢は誤りとなります。
 以上のように、短答においても、正解を暗記しようとせず、原理原則や制度趣旨、条文との関係において自ら考えることが重要です。

⑶ 論文対策

 次に、論文について考えてみましょう。たとえば、「A社はフィットネスクラブを経営しているが、平成27年3月の甲契約でフィットネスクラブの施設をB社に売却し、同年4月の乙契約でフィットネスクラブ経営に関するその余の全財産をB社に売却した。A社において株主総会決議を経ていない場合において、甲契約および乙契約は有効か。」という問題が出たとします(平成27年度の商法の問題を参考にしているものです。この問題の「正解」は、私自身にも分かりません。)。
 問題は、甲契約と乙契約を一個の契約とみて、事業譲渡、すなわち「一定の事業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の譲渡」に該当すると考えるべきか否かです。こういった「今まで考えたことのない問題」であっても、制度趣旨から考えることが有益です。一般に、事業譲渡を株主総会決議事項とする趣旨は、事業の廃止等により株主に大きな影響を与えるためとされています。そして、甲契約と乙契約をあわせて考慮すればA社においてフィットネスクラブ事業の廃止が余儀なくされることになりますから、株主に大きな影響を与えることになり、株主総会決議を経るべき事業譲渡とみるべきである、という筋が考えられると思います(もっとも、譲受会社における取引安全の見地から、無効となる場合を制限する視点も重要でしょう。)。

 このように、短答、論文のいずれについても、原理原則や趣旨などの「基本」を意識することが重要です。過去問を検討している時はもちろん、本試験中も全く同じといえます。

4、最後に

 皆さんの合格を、心から祈っております。頑張ってください。