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合格体験記 私の司法試験合格法

S.M.

 

1 簡単な経歴

2011年3月上智大学法学部法律学科卒業(林幹人・刑法ゼミ)
2011年4月明治大学法科大学院未修者コース入学
2014年3月同法科大学院卒業(GPA2.15)
2014年司法試験 短答落ち
2015年司法試験 最終合格(1560位)
 

2 法曹を目指した動機

私は、法科大学院に進学した当時は、モラトリアムの延長としか考えておりませんでした。法科大学院の実務家の先生と授業外で話をするにつれ、有資格者としてできることを自覚して自らを成長させていくという姿勢を有する先生が多く、その姿勢にとても感銘を受けました。そして、そのような人が多い世界に入って自分を磨きたいという思いが強くなったことが法曹を目指した動機です。
私としては、どういう法律家になりたいかという具体的なイメージは、エクスターンや就職活動を通じてしかわからない部分が多いと思うので、最初は自分がどんな人になりたいか、それが法曹に多いのかという視点をもってもいいと思います。
 

3 短答の勉強法

私は、短答落ちをした1年目には過去問を毎日1年分解答していくという勉強をしていました。しかし、その結果、模試でも本番でも4割程度しか得点できませんでした。
私は、1年目の学習の反省と、短答が3科目になり負担が減ったことから辰巳の肢別本を利用した勉強法に変更しました。そして、肢別本を、1日200個ずつくらい民法を週3日、憲法を週2日、刑法を週3日という配分で勉強していきました。そして、論文の勉強で基本書を読む際にも、ここは肢別本で聞かれていた部分だということを意識して読むようにしました。条文の素読はしませんでした。勉強の手ごたえとしては、民法と刑法はやればやるだけ得点が伸び、憲法は本番の問題との相性に得点が左右されるような印象でした。
学習方法を変えた結果、模試でも足切りは免れる程度に得点はできるようになり、本番でも3500位程度(民法・刑法は8割、憲法は6割弱)でしたが足切りは免れました。ただ、過去問を繰り返し解答する方法で足切りを通過した受験生も多かったので、自分が過去問を繰り返し解答する勉強方法が合うのか、肢別本の繰り返しの勉強法が合うのかということを、模試などを利用して早めに認識することが大事だと思いました。
 

4 論文の勉強法

(1) 短答落ちからの勉強の開始
私は、初回の受験時に短答落ちをしたため、短答落ちをするレベルで有れば、論文も質(知識の絶対量)・形式ともに合格には足りない部分が多いと思うところから勉強を始めました。そのため、8科目を平均的に伸ばしていくという方向で勉強を始めました。
 
(2) 民事系
私は、短答落ちをした後に、論文を解答するに足る知識の絶対量が不足しているのだと思い、民事系の受験生のマナーである判例百選の暗記を始めました。その際に、百選のおおまかな事案と争点と規範、規範に至るまでの根拠を、ノートに繰り返し書いて覚えるようにしました。民法は、京大の先生方の民法の基本書を使い、当該判例についてまとめているところをチェックし、それを百選に要件事実とともに記載していくというまとめ方も並行して行いました。同様に、会社法では「リーガルクエスト」と江頭先生の「株式会社法」、事例で考える会社法を使い、民訴では「重点講義」と「リーガルクエスト」を使い、百選にまとめをしていきました。この勉強法により、百選の判旨には明記されていない判例理論の根拠が分かり、判例の理解が進むとともに、情報が一元化されたノートが作成できました。
そして、論文の書き方は司法試験の過去問を繰り返し解答し、補助講師に添削してもらうことで勉強していきました。短答落ちから2度目の受験までの期間内に、民事系だけでも3周以上は解答したと思います。民法は、毎年聞き方が違う問題が出題されることが多く、市販の演習書では司法試験に近いものがないと思い、過去問を繰り返し解答しました。民事訴訟法も会社法も同様に、特に演習書を利用するということはありませんでした。
上記の学習の結果、160点弱の得点をすることができました。
 
(3) 公法系
憲法は、法科大学院の教授のレジュメの復習を繰り返し、必要に応じて「憲法学読本」と芦部先生の「憲法」を読み知識を身に着ける勉強をしました。行政法は、中原先生の執筆された「基本行政法」で知識を身に着け、答案の書き方は原田大樹先生の「演習行政法」で学習しました。
行政法は、誘導に乗るという試験の特徴があるので、司法試験の過去問を全ての年度を3周ほど繰り返し解答して、補助講師に誘導にのれているか添削をしてもらいました。憲法の過去問の解答は1周ほどしかしませんでした。理由は、上述した教授のレジュメに事例問題が含まれており、司法試験の代わりにその問題の解答をしていたからです。
上記の学習の結果、110点弱の得点をすることができました。
 
(4) 刑事系
刑法は、事例演習教材を利用し1周答案を作成して解答しました。論文に必要な知識は、事実評価が詳しく記載されている「基本刑法Ⅱ」と高橋則夫先生の「刑法総論」を利用しました。そして、刑法は、過去問を解答し、補助講師に添削をしてもらいました。添削の際に、刑法は配点が記載されていないという特徴を有するため、一つの論証・事実認定の分量や時間配分が適切だったかということの確認を補助講師にしていました。
刑事訴訟法は、演習には「捜査法演習」と「公判法演習」、古江先生の「事例演習教材」、司法試験の過去問を利用しました。知識面では、「リーガルクエスト」と「刑訴判例ノート」を中心に利用しました。刑事訴訟法は、採点実感及び出題趣旨で何をどこまで書くべきなのかということを確認し、それを意識して解答していきました。刑事訴訟法は、過去の司法試験の問題と出題分野が重なることが多いので、司法試験の解答を繰り返すことは有益に思い繰り返し解答しました。
上記の学習の結果、刑事系では100点程度の得点ができました。
 
(5) 選択科目(労働法)
労働法は、演習書は弘文堂の「演習ノート」を利用し、知識面では水町先生の「労働法」及び大内先生の200選を利用しました。演習ノートは、ゼミで答案を作成し、他のゼミ生に見てもらうという形で利用しました。演習ノートは、実際に司法試験で出題された分野と重なる範囲が多いので利用しました。労働法は、判例の規範が特に大事なので、知識を入れる際には大内先生の200選を中心に事案、判旨、解説の確認と暗記をするようにしていました。司法試験の過去問の解答は、1年分が3時間と長いため1周分しかしていません。
上記の学習の結果、労働法は約45点のみの得点にとどまりました。
 

5 そのほか合格に役立つ方法

・司法試験は、あくまでも一般水準を要求する試験であり傾向を踏まえた対策が事前にできます。そのため、司法試験を早い時期に解答して、出題趣旨、採点実感、再現答案を読み、必要な能力を意識して勉強を続けていくことが合格につながると思います。そういった意味で、一番優先すべきことは、早期の司法試験の過去問の解答及び分析だと思います。
・初年度の受験時には、ゼミを多く組んでいましたが、2度目の受験時の勉強ではゼミはほとんど組みませんでした。理由は、ゼミを組むと、知識を入れる時間はなくなると思ったためです。ゼミをやる際には、ゼミ全体で目的を共有して、自分にいない能力が身につくなど目的に納得できる場合に参加をするという方が、効率よく勉強できると思いました。
・起案を補助講師に見てもらう際にも、漠然と添削を頼むのではなく、事前に自分の答案の問題点を伝え、添削で一番みてもらいたい部分を伝えてから添削を頼む方がよいと思いました。
・初年度、短答落ちすると、2年目の最後まで短答に時間を割くことになるので、短答落ちした際には、早めに6月から勉強を始め、9月の時点で知識だけでも短答通過者に追いつくようにしなければ合格は難しいように感じました。
 

6 明治の後輩に向けて

司法試験は、たまたま落ちることがあっても、たまたま受かる試験ではありません。なぜならば、たまたま受かるということがないような知識の量が、短答及び論文によって求められているからです。合格には、一定程度の知識量が必要であり、覚えるという単調で辛い作業の繰り返しになります。しかし、その作業を怠らないことが合格への最善手となると思います。辛いことを続けるためには、自分の内部からのモチベーションだけでなく、他の人の影響を受けてモチベーションを維持することが重要に思います。友達や教授といった周りの人と、影響を与えたり受けたりしながら、モチベーションを最後まで切らさずに、司法試験を乗り切って合格してほしいと思います。
以上

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