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Home > 司法試験合格体験記・予備試験合格体験記 > 髙橋遼太朗(予備試験)

合格体験記 私の予備試験合格法

髙橋遼太朗
明治大学法学部法律学科4年

 

Ⅰ 経歴

  神奈川県川崎市出身
  2020年3月 神奈川県立多摩高等学校 卒業
  2020年4月 明治大学法学部法律学科 入学
  2024年2月 令和5年(2023年)司法試験予備試験 合格
  2024年3月 明治大学法学部法律学科 卒業(予定)
 
 私は、地元の公立中学を卒業後、出身地である川崎市内では一応進学校とされる公立高校に入学・卒業しました(東大合格者を毎年何十名も輩出するような名門校でもなければ、難関大付属でもなく、みんな頑張って早慶目指そう!みたいな地元の進学校です)。私も実は明治大学は第一志望ではなく、高校時代は慶應義塾大学法学部を目指していましたが、不合格となり、明治大学法学部に入学しました。
 

Ⅱ 予備試験志望の動機

 前述のように、私は明治大学法学部に不本意ながら入学したため、大学入学当初はもう1年仮面浪人をしながら慶應義塾大学を目指すか、それとも司法試験に向けた勉強を始めるか、という2つの選択肢がありました(コロナ禍1年目ということもあり、勉強する時間はありました)。ここで私は後者を選択することにしました。なぜなら、慶應義塾大学に1年後入学したところで法曹になれることが保証されるわけではないし、司法試験の勉強を始めるのも1年遅れとなるためです。
 そもそも、私は祖父が一級建築士であったり、身近にプロスポーツ選手がいるなど、何かの分野のプロフェッショナルの人が近くにいる環境にいたことから、自分の能力を使って仕事をするプロフェッショナルな存在に漠然とした憧れを抱いていました。そして高校生の頃、大学教授の講演やドラマをみて法律って面白いと感じて、プロフェッショナル×法律=法曹(弁護士など)になろうと思ったのが法曹を目指したきっかけです。
 そのため大学入学後、上記のような選択をして、司法試験を目指すにあたって、どのようにしていけばよいかを調べたところ、いわゆる予備試験ルートが最短で法曹になることができる道であるということを知り、予備試験を志望しました。
 これは後から実感したことですが、特に大学生が法曹を目指す場合、予備試験ルートと法科大学院ルートがありますが、絶対に予備試験ルートをまずは目指すべきです。法科大学院ルートの場合、大学3年または4年で法科大学院入試を受験する必要がありますが、予備試験の問題の難易度に比べると遥かに簡単だからです。初めから予備試験を目指しておけば、仮に法科大学院入試を受けることとなっても、ほぼ困ることなく容易にどこの法科大学院の法律の試験を突破できる実力がつくからです。

 

Ⅲ 予備試験の成績

 1.短答式試験
   合計184点(1078位)

憲法25点、行政法16点、民法26点、商法20点、民事訴訟法:20点、刑法28点、刑事訴訟法19点、一般教養科目30点

 
 2.論文式試験
   合計259.33点(312位)

憲法D、行政法A、民法C、商法B、民事訴訟法D、刑法B、刑事訴訟法B、法律実務基礎科目D、選択科目(国際私法)A

 
 3.口述式試験
   合計120点(212位)

 

Ⅳ 基礎学習について

 私は、大学1年生の6月に、受験指導校である伊藤塾「呉・基礎本クラス」に入り、1日3時間を週2回のペースで、クラスのカリキュラムに沿って学習を進めました。具体的な内容としては、テキストとして講師の著書である呉基礎本シリーズ(弘文堂)と同シリーズが出版されていない科目については基本書(学者の先生が執筆された書籍。民事訴訟法は三木浩一ほか『リーガルクエスト 民事訴訟法』(有斐閣)、会社法は田中亘『会社法』(東京大学出版会))を使用しました。講義を聴いて、復習でじっくりと理解し、覚えなければいけないところは覚える、ということの繰り返しです。
 「講義を聴いて、復習でじっくりと理解し、覚えなければいけないところは覚える」という旨の言葉はしばしば耳にする言葉ではありますが、実際に1、2回で覚えられる人はほぼいません。私も、例えば、⒜民法の債権各論を勉強しているときには、既に習った物権法の分野のことなどほぼ忘れていましたし、⒝なぜ同じ損害賠償という制度なのに債務不履行は415条で債権総論のテキストに書かれており、不法行為は709条で債権各論のテキストに書かれているのかもよくわかりませんでした。比較的早くに点数が安定した科目と、なかなか伸びなかった科目の差は、⒝のような現象に陥ってしまったことにあると思います。というのも、⒝は民法の体系が分かっていないがゆえに生じる疑問です。体系の理解がガタガタでおぼつかなければ、その上に詳細な制度の理解に結びつきません。(高校の日本史や世界史で、歴史の“流れ”がわかっていないがゆえに詳細な史実がよくわからなくなってしまうのと似ています。)そのため、基礎を学ぶ段階では、常に体系を意識すること(例えば、「今、人と人が何か契約している場合に相手が債務を履行しないときに損害を賠償してもらう制度を勉強している」というようなこと)が何よりも重要ではないかと今となっては思います。
 詳細な知識については、短答式試験の過去問や論文式試験の勉強を通じて自然と身に付くものなので、1周目の段階で完璧にする必要は一切ありません。疲れてイヤになるだけです。

 

Ⅴ 予備試験短答式試験の勉強方法

 予備試験短答式試験は7月に行われます(令和5年より)。私はその半年前である1月から、新司法試験および予備試験の全ての過去問が載っている過去問集を購入し、短答式試験の対策に取り掛かりました。文章で説明しにくいので、具体的な取り組み方を箇条書きで記載します。
【1冊目=民事訴訟法(※民訴を選んだ理由は最も基礎知識に不安があったからです。)】

①毎日新しい問題を20問解く

②根拠を説明できない問題および正解できなかった問題は、解説に蛍光ペンでマークするか、何らかの印をつける

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 令和5年1月時点では、過去問が全部で300問あったので、15日(2週間強)で終わります。
 
【2冊目=民法(※民法は過去問が多く早めに始めたかったため、2冊目にしました)】

①毎日新しい問題を20問解く

②根拠を説明できない問題および正解できなかった問題は、解説に蛍光ペンでマークするか、何らかの印をつける

③1冊目の科目の過去問で、各日20問ずつのうち(2冊目1日目:No.1~No.20,2冊目2日目:No.21~No.40 …)、②でマーク・印をつけた問題のみ、再度解く。根拠をもって正解できたら印をつける

 
【3冊目=商法(※商法にした理由は覚えていません)】

①毎日新しい問題を20問解く

②根拠を説明できない問題および正解できなかった問題は、解説に蛍光ペンでマークするか、何らかの印をつける

③1冊目・2冊目の科目の過去問で、各日各科目20問ずつのうち(3冊目1日目:No.1~No.20,3冊目2日目:No.21~No.40 …)、②でマーク・印をつけた問題のみ、再度解く。根拠をもって正解できたら印をつける

 
 これを、全7科目行いました。
 私は過去問演習を始める前の段階で、短答式試験の得点が一般教養含め120点でしたが、短答式過去問を本気で半年間取り組むことで184点(合格点+16点)になりました。基礎学習の段階で取りこぼした知識も短答式過去問を繰り返すことで自然と身に付きます。

 

Ⅵ 予備試験論文式試験の勉強方法

 1.普段の学習

一般的に基礎学習の段階が終わると、まずは短文事例問題集に取り組むと思います。私は伊藤塾で入門講座受講生に配布される「問題研究」を使っていました。なお、これに限らず、他の予備校の教材や予備校本でも大きく差はないと思います。
 私は短文事例問題を解き始めたときは、各科目しっかりと知識が身に付いているわけではなかったため、当然どのように解けばよいかわからないし、答案例をみても「こんな論点あったなあ~」と思う程度でした。しかし、基礎学習が終わった後に最もお世話になったのが、この「問題研究」という短文事例問題集でした。定評のある問題集はどれもそうだと思いますが、重要な事項について網羅されており、答案例もついたこの手の問題集は、噛めば噛むほど味のするスルメのように、やればやるだけ新たな発見があります。私は各科目10周弱、この問題集を解きました(基本的には答案構成のみ)。
 とはいっても、1周目は事案を把握して、答案例を読んで、問題になる条文やどんな論点が出てくるか、論証はどのようにするか、などを意識するだけで精一杯でした。2~3周目では、事案を読み、問題となる条文、論点を抽出できるようになり始めるものの、論証ができるわけでもなく、まともにあてはめることもできず、答案例を読んでも論証部分に目が行きがちで、それ以外のことを意識することはできませんでした。4~5周目で、おぼつかないながらも論証ができるようになり、一応答案構成が形としてできるようになりました。6~8周目でようやく、あてはめにまで意識できるようになりました。段階によって答案例の中でも意識が向く箇所が異なるので、何回も繰り返し取り組み、その中で論点の理解も深まったので、この勉強が良かったと思います。
 よく、「論証パターンが覚えられない」という悩みを耳にしますが、短文事例問題集を何度も取り組み、それと並行して論証集を読めば、だんだんと脳に刻み込まれるようになります。
 ところで、予備試験の過去問は短文事例問題集を5周ほどした後から解き始めました。予備試験の過去問は時間があるときは起案までする、時間がないときは構成にとどめる、というかたちで演習をし、各科目2周ほどしたと思います。
 また、書くトレーニングや現場思考のトレーニングとして、明大法曹会の答案練習会に参加しました。ここで70分以内に起案するトレーニングをすれば、普段の勉強で答案構成のみしていたとしても十分足りると思います。

 
 2.明治大学法曹会答案練習会

明治大学法曹会主催の答案練習会では、毎週日曜日に講師(実務家)の先生方の作成した問題を用いて答練、平日1日の夜に過去問ゼミというかたちで行われており、私はOh-o!Meijiで案内を偶然見つけて参加させていただくことになりました。
 この答練の良さは、無料で実務家の先生方に自分の答案を見てもらえることです。予備校の答練はどれも高額でしかも講師の先生に添削してもらえることは少ないため、とてもお得な答練です。そして直接自分の答案のどこがよくてどこがダメだったのかを聞くことができます。私もこの答練で自分の答案の足りない部分に気づくことができ、実力を伸ばすことができたと思います。

 

Ⅶ 予備試験口述式試験の学習方法

 ここまで偉そうに語らせて頂いておりますが、私も予備試験論文式試験にまさか受かるなんて思ってもいなかったので、予備試験論文式試験が終わり、しばらくは司法試験の勉強から離れていました。そのため予備試験論文式試験合格発表翌日から勉強開始です。
 まず、要件事実論を徹底的に復習することからスタートしました。『新問題研究要件事実』(法曹会)と岡口基一『要件事実入門 司法試験予備試験出題形式編』(創耕舎)をそれぞれ1日で読み、受験生誰もがわかる知識を総復習しました。
 次に、刑法各論のテキストをすべて読み、とりわけ各構成要件の文言の意義(例えば、窃盗罪(刑法235条)の「他人の財物」や「窃取」の意義)や基本的な論点について説明できるようにしました。
 さらに、民事・刑事いずれも手続法や法曹倫理が問われるので、それぞれ伊藤塾のテキストを用いて確認しました。一般的に民事は大島先生の『民事裁判実務の基礎』、刑事は山本先生の『刑事実務基礎の定石』を使う受験生が多いですが、私は新しくテキストを増やしたくなかったので、論文式試験までと同じ教材を使いました。
 これは反省ですが、口述式試験では、民法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の知識が多く聞かれます。そのため、短答式試験の過去問を解く際に、口頭で根拠を説明する練習をしておくと、よかったのではないかと思います。また、令和5年度は民事で実体法の知識が多く聞かれました。要件事実の勉強をしながら、それをきっかけに民法の各制度について復習しておけばよかったです。

 

Ⅷ さいごに

 司法試験予備試験は、全体の合格率が3.6%と非常に低く、明治大学から合格する人は他の旧帝大、早慶と比べると少ないです。そのため、私もある先生から「ギャンブルだよ」と言われました。しかし、①着実に勉強を継続し、かつ、②自分に対する洗脳をすれば合格できる試験だと思います。
 ①について、私は1つの教材を最後まで使うことを心に決めて学習を始めました。大学受験では多くの参考書に手を広げすぎて失敗したためです。今でも勉強のベースとなっているのは基礎学習の段階で使った書籍です。情報を一元化し、どの情報がテキストのどのあたりに書かれていたか思い出せるぐらい、繰り返し読むことで予備試験に合格するために知識は身に付きます。また、愚直に繰り返すことこそインプットの極意です。決して無理に暗記する必要はなく、繰り返すことで歌詞を気づいたら覚えていたのと同じように、論点の問題の所在~理由付け~規範が頭に入ります。
 ②について、受験ではよく苦手科目という言葉が使われますが、これはナンセンスな言葉です。苦手というのは思い込みに過ぎません。そして苦手と思い込むとどんどんできない方向へと行ってしまいます。逆に、苦手の反対である得意であることを自分に思い込ませることもできます。私はある時から「全科目得意です」と思うようになり、口にするようになりました。だからどの科目の勉強も楽しいですし、全科目得意なので本番当日も常に楽しかったです。本番で楽しめれば、実力を最大限に発揮でき、悔いのない結果に終われます。
 以上より、①と②の要件を充足すれば、合格できます。
 
【使用教材(基礎学習)】
 ・呉明植『憲法』(弘文堂、2018)
 ・呉明植『民法総則』(弘文堂、第2版、2018)
 ・呉明植『物権法・担保物権法』(弘文堂、2019)
 ・呉明植『債権総論』(弘文堂、2019)
 ・呉明植『債権各論』(弘文堂、2020)
 ・呉明植『家族法』(弘文堂、2023)
 ・呉明植『刑法総論』(弘文堂、第3版、2017)
 ・呉明植『刑法各論』(弘文堂、第3版、2017)
 ・呉明植『刑事訴訟法』(弘文堂、第2版、2020)
 ・三木浩一=笠井正俊=垣内秀介=菱田雄郷『民事訴訟法』(有斐閣、第3版、2018)
 ・田中亘『会社法』(東京大学出版会、第3版、2021)
 ・中原茂樹『基本行政法』(日本評論社、第3版、2018)
 ・伊藤塾「入門講義テキスト 国際私法」 ※非売品。
 ・『新問題研究要件事実』(法曹会)
 ・岡口基一『要件事実入門 司法試験予備試験出題形式編』(創耕舎、2022)
 ・伊藤塾「入門講義テキスト 法律実務基礎科目(民事)」 ※民事執行・保全法のみ。非売品。

以 上

 

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