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私の司法試験合格体験記

枝窪 史郎

 

明治大学法科大学院卒業
2018年予備試験合格
2019年司法試験合格

 
 

1.経歴等

 私は、2017年秋から、2018年春にかけて、明大法曹会答案練習会を受講し、その後も、少人数制のゼミを組んでいただき、講師の先生方にご指導していただくなど、明大法曹会の、手厚く、細やかな指導、サポートを受け、2018年度の予備試験に合格いたしました。
 その後も、司法試験に向けて、引き続き、明大法曹会において、少人数制のゼミを組んでいただき、ご指導を受けていたおかげで、2019年度の司法試験に合格することができました。
 本体験記では、そのような経験の中で得た、司法試験合格に向けた、思考方法、勉強方法などについて記したいと考えております。
 
 

2.論文式試験について

⑴ 司法試験で重視されると思われるポイント
 司法試験では、予備試験と比較して、試験時間が長く、問題文も長いです。その中に、多くの事実が記載されています。そこで、あてはめが重要になってくると考えられます。
 私の場合は、明大法曹会での指導、および、自習により、予備試験に合格した段階で、自分の答案の問題点の改善、法的知識の理解、蓄積については、ある程度形になっていました。
 そのため、司法試験対策としては、上記の、あてはめに重点を置いて対策をしていました。
 以下、上記の点も含めて、論文式試験について、私が勉強するうえで、意識していたことや、改善した点などを記述していきたいと思います。
 
⑵ 私の問題点
 私は、論文式試験の勉強において、予備試験の際に、明大答練の担当講師の先生方や、友人のアドバイスをうけるまでは、論点を書く、という点に囚われていたため、答案において、以下のような問題がありました。
1. 1つ1つの論点は一応理解しているが、法体系や全体構造に関する理解・意識が欠けており、答案において、理解していることをうまく示せない。
2. 自分が書ける論点に飛びつくため、論点に触れる順番や、バランスがおかしい。
3. 論点を書くことを重視しすぎて、あてはめに対する意識が薄い。
 
⑶ 問題点の解消

ア 予備試験受験段階で、上記問題点の1,2を解消するため、覚えたことを吐き出す答案から脱却し、原理・原則、法文、法の趣旨に遡って考え、法体系や、法全体の構造を意識して、答案を読む、書くように心掛けました。これにより、各論点がなぜ出てくるのか、論ずべき理由、つながりが分かるようになり、論点に触れる順番、バランス、流れについての問題が解消できたと思います。

 

イ(ア)司法試験に臨むにあたっては、前述したように、あてはめが重要になることから、問題点3について対処するべく、あらためて、明大法曹会の先生方の指導を受け、自分でも優秀答案を見直すなどして、あてはめの仕方について考え直しました。

 
 (イ)あてはめとは

 その結果、私は、あてはめとは、事実の摘示と、評価であるということを意識するようになりました。
 事実の摘示とは、問題文中の事実から、自分が定立した規範に則して、問題解決につながる事実、事情をピックアップすることです。この事実の摘示については、いわゆるあてはめとして、受験生が通常想定するものと考えられます。
 重要なのは、摘示した事実について、評価することです。私の過去の答案のように、あてはめ段階で、いまいち点数が伸びない答案においては、評価が加えられておらず、事実を羅列し、よって、先に定立した規範からすれば、適法・違法であるという書き方をしてしまうという問題が認められます。
 事実は、評価を加えてこそ、答案上、意味を持つものです。では、この評価とは何かというと、適示した事実について、法的意義を持たせることです。「〇〇という事実は、社会通念に従って考えれば、××ということになる」というように、事実について、規範との関係で、法的な意味を持たせることを、評価というものと考えます。
 この、事実の評価について、重要なのは、自分で考えて評価を加えるということです。法の趣旨や社会通念から、自分で考えることこそが、司法試験において答案上、求められていると考えます。そして、自分で考える、という点との関連で、私の経験から感じたことは、評価は自由であるということです。もちろん、荒唐無稽なことをいってもだめですが、法の趣旨や、社会通念に従って、自分で考えたものであれば、事実をどう評価し、法的な意味を持たせるかは、自由であったように思います。自分で考えた、ということが伝わる答案であれば、先述したゼミにおいても、高い点数がついていたし、採点してくださった先生方のコメントも、高評価であったように思います。

 
 (ウ)あてはめの学び方

 あてはめを学ぶには、とにかく答案を見て学ぶこと、見てもらうことです。私は、ゼミにおける他の受講生の優秀答案や、先生方の作成してくださった参考答案を見て、あてはめで、どのようなことを書いているかを、分析しました。それを基に、どういうことを書けば、自分で考えたことが伝わるか、どういう評価の仕方があるか、ということを意識して、答案を作成し、これをゼミで添削してもらう、ということを繰り返していました。
 あてはめは、知識というより、経験の蓄積が活きてくるものだと思います。そのため、あてはめの部分だけでも、答案を読む、書く、という数を、多くこなすのは重要であると思います。

 
⑷ 答案の型の確立

ア ここまで、あてはめの重要性を述べてきましたが、あてはめに注力して、答案を作成するために、論点に関する知識を身に着けることはもちろんですが、これに加えて、事前の準備として、答案の型を確立する必要があります。答案の型とは、答案を作成する際の具体的な流れ、書き方のテンプレートを指します。各科目や、論点毎に、型が存在すると思います。これをしっかり構築することで、答案構成や、主張の流れについて、時間を割き、悩むことなく、重要部分である、あてはめに注力することができるようになります。
 そして、答案の型ができていると、必要に応じて論点が出てくるという、流れのよい答案ができます。これにより、読みやすく、自分の主張が伝わりやすい、点数の伸びる答案の作成が可能になります。また、参考書や、参考答案を読む際も、今、型でいうところのどの部分の話をしているかを意識することで、理解が高まり、記憶にも定着しやすくなると思います。

 

イ 答案の型の学び方
 答案の型については、私の場合は、予備試験段階で、明大答練を活用して、学習していました。参考答案について、参考答案のこの部分は、何の話をしているのか、解説の時間などに考えながら読み、作成した講師の先生に、どのように書いたらいいか聞いてみるという方法をとっていました。参考答案を見ていても、明大答練の講師の先生方は、皆、答案の型について、書きやすく、読みやすい、優れた型を持っていることが分かります。参考答案作成者に、自分が答案を書いた直後に、直接質問できる機会は非常に貴重であるし、即起案力に繋がったと思います。
 また、優秀答案を読み込んで、分析したり、合格者の先輩等にも質問したりしていました。
 このように、答案の型を自分の中で確立することは、非常に重要であり、これを実現する方法も、多くありますので、ぜひ、意識してみてほしいと思います。

 
 

3.短答式試験について

 短答式試験の勉強法としては、「考える肢(早稲田経営出版)」を用いて、問題を解き、解説を読み、その後、「完全整理 択一六法(東京リーガルマインド)」を読み込むという方法をとっていました。択一式試験対策は、後回しにしがちですが、私の場合は、短答式試験の問題を解くことは、事例に対する判断を養う練習になり、論文式試験の勉強にもなると考え、論文式試験の勉強と並行して早くから行っていました。
 実感として、このように養った地力が、法的知識となって、論文式試験でも、活きてきたと思います。そのため、短答式試験を軽視して後回しにせず、早くから十分な準備をすることが有用であると考えます。
 
 

4.最後に

 司法試験は、非常に大変な試験ですが、やり方を間違えずに、努力をすれば、決して合格できない試験ではないと思いました。私の場合は、予備試験の段階で、明大法曹会答練、講師の先生方のアドバイスや、講演といった、勉強のやり方を学ぶ機会があったため、やり方を間違えることなく勉強ができた点でも、非常に環境に恵まれていたと思います。
 そのような、自分ひとりではできない点は、人に助けてもらいながら、支えてもらいながら、努力を続けることで、必ず合格に至ることができるものと考えます。
 
 

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