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司法試験合格体験記(私の司法試験、予備試験合格法)

〒104-0061中央区銀座4丁目13番5号
新銀座法律事務所 弁護士 岩崎 昭(新64期)
電話: 03-3248-5791 FAX: 03-3248-5794
mail: a-iwasaki@shinginza.com
web: http://www.shinginza.com
略歴

昭和29年生まれ
明治大学付属中学卒業
明治大学付属高校卒業
明治大学法学部卒業
昭和57年 旧司法試験合格 司法研修所 37期

  

合格体験記(合格答案と勉強方法)

 司法試験並びに予備試験の受験生のため、私の30数年前に書いた合格体験記を掲載するとのことで、果たして旧司法試験時代しかも30年以上昔の経験が、受験生の役に立つのか、現在の司法試験、予備試験の状況についての知識も少ないことから多いに疑問もあり、とはいえ、お役にたつのであればと思い念のため、「私の勉強方法」と題する文章再読してみました。論文については論説分を書く能力が大切ということは、記載の通りで間違ってはいないのですが、具体的にどうすればよいのか、ということはこの文章だけでは理解できないな、というのが感想でした(書いた当時もそう感じたのか、興味を持って質問がある人には具体的に説明したいということで、連絡先を記載したのだと思います)。そこで、文章としてはこのまま掲載していただき、その後で、この体験記を前提に平成28年度予備試験、民法の問題についての答案の書き方を私なりに説明してみたいと思います。

  

(昭和57年に書いた合格体験記)

1、短答式6回、論文式5回、口述2回。これが私の受験歴です。短答式は2回目の受験で合格できました。しかし、論文式は不得手でその克服には自分なりの工夫をしたつもりです。この自分なりに工夫した勉強方法を中心に合格に近づくにはこうすればよいのではないか、という点について述べたいと思います。

2、まず、合格に不可欠なのは絶対に合格するという信念です。司法試験は合格率2%弱という異常な試験です。この厳しさに勝つためには信念が必要なのです。このようにいうと「精神論はたくさんだ。」という反論があるでしょう。しかし、合格した今、私が一番大切だと思うことは、この精神論です。

 絶対に合格するんだという信念があってこそ、日々の勉強が充実し、また、試験場で実力を充分に発揮できるのだと思います。
 ではこのような信念はどうすれば持てるのでしょうか。それは、自分が何故司法試験をうけるのかという点を明らかにしておくことによって可能になると思います。この点が明らかになっていれば、自信がなくなった時、勉強をやめたくなった時に必ず役立つはずです。ですから、勉強を始めたばかりの人は是非、「自分は何故司法試験をうけるのか」という点をもう一度考えてみてください。
3、次に合格に大切なことは、自分の考えていることを相手に知らせ納得させる能力です。

 短答式の場合は一つの答えがあってそれを発見しマークすれば良いのですから、右の能力は不要です。しかし、短答式は本来の法律の試験ではないと思います。なぜなら、法律というのは様々な考え方が可能な分野であり答えがひとつしかないというのはありえないからです。その意味で短答式は受験者数が多いための便宜的なものです。法律の試験という面からいえば論文式こそ司法試験であるといえるでしょう。その論文式で要求されるのが、表現力、即ち、自分の考えていることを相手に知らせ納得させる能力です。
 私は、自分には特にこのような表現力が欠けていたと思います。事実、短答式に合格した後の答練の成績も下位の方でした。私の他にも、このような人は多数いると思います。知識はあるのに点数が良くないという人です。このような人は、表現力を身につける工夫をすれば次回の試験に合格する可能性が高いと思います。
 では、どのようにすれば表現力を身につけることができるか。
第一に現代国語の勉強をすることです。論文は論説文です。論説文の書き方は中学や高校の時に習うはずです。その程度の文章が書ければ司法試験で要求される論文が書けるはずです。私は、接続詞の使い方や論説文の組み立て方を勉強することによって自分の欠点がかなりカバーできたと思っています。
 次に、右に述べた程度のことは身につけているが論文に合格できないという場合が考えられます。私は、このような人は謙虚な気持ちで論文を書く事が大切だと思います。論文式は自分の考えを採点者に納得してもらわなければ合格点はつきません。しかしその考えというのは多くの場合、稚拙なものにすぎません。そうだとすれば、論文に謙虚さがあらわれていなければ当然合格点はつかないはずです。このことは、採点者の身になって考えれば当然のことと思えるでしょう。
 以上、述べたように論文式で大切なことは、自分の考えを文章で相手方に知らせる能力を身につけることだと思います。

4.明治大学の場合、短答式の合格者は比較的多いのに論文式の合格者が少ないという事実があります。これは、知識はあるが、それを文書にして相手方に伝える能力、私のいう表現力が劣っているためではないでしょうか。私の述べた勉強方法が、このような多くの明大生のお役にたてばと思い、筆をとりました。しかし、体験記という形では充分に語りつくせないものがあります。そこで論文の書き方がわからない方や、私の勉強方法に疑問のある方には直接お会いして話をする機会をもちたいと思います。

 この体験記が少しでも合格者の増加に役立てば幸いです。
 ( 以上が合格した年に執筆した体験記です。)

  

論文答案の書き方

1 答案の作成には、法律の知識と理解が必要なことは言うまでもありません。しかし知識や理解があっても表現する能力がないと評価してもらえません。知識や能力がなければ不合格となっても当然のことですが、その点は十分なのに表現できないというのは本当に残念な結果です。そこで、そのような欠点のある人のための答案の書き方の説明をしたいと思います。

 まず、問題に端的に回答を記載する必要があります。明日の東京の天気は?という質問に「日本全体は高気圧に包まれていますが、東シナ海には低気圧が張り出していて云々」という回答は、読んでもらえません。少なくとも私は、読みたくありません。「明日の東京の天気は、晴れです。その理由は云々」という順序しかないと言ってよいと思います。国会の質疑応答を見ていると、国会議員や役人はまともに回答していないのをよく見ます。多分東大出の優秀な人材でしょうからわざと回答をはぐらかしているとしか考えられません。国会の答弁では良いとしても司法試験の対応としてはゼロです。
 ところで、この文章で「まず」という接続詞を使っているのですが、接続詞の使い方は大切なことです。読み手としては「まず」という接続詞で、これから説明が始まるが、第1に前提のようなことを説明して、それから本当の説明なるのだろうな、という心構えができるはずです。このようなことは中学高校の論説分の書き方でならっている人もいるかと思いますが、論文ですので接続詞は十分注意して使う必要があります(この文節の初めの「ところで」というのも意識して使ってみました)。

2 次に、問題に即して説明します(ここでも意識して「次に」という接続詞を入れました。なくても良いと思いますが、なれるまで意識して接続詞を使った方が良いと思います。論理の展開を明らかにするのに役立ちます。当然のことでなにをいまさらと思う人が多いでしょうが、知識はあるのに論文の点数が取れないという人のための説明です)。この民法の問題は、設問で回答の順番が明らかになっていますから、当案構成としては一つしかないと言えます。それ以外の構成はダメと言ってよいでしょう。その意味では親切というか回答しやすい問題です。

つまり構成としては
 1 DのBに対する請求の法的構成について
(1)支払い済み代金500万円の返還請求の法的構成について
   法的構成の説明
   認められるか否かという結論
(2)増加代金分40万円の支払い請求についての法的構成
   法的構成の説明
   認めらかれるか否かという結論
 2 DのBCに対する甲機械の価値増加分50万円の請求の法的構成について
   法的構成の説明
   認められるか否かという結論
 3 Bの主張が認められるか
   法的構成の説明
   認められるか否かという結論
 4 Cの主張が認められるか
   法的構成の説明
   認められるか否かという結論

3 以上の等案構成に従って論述を勧めることになります。

 本件の答案の内容は、条文、要件の摘示と事実のあてはめの作業に尽きると言ってよいでしょう。
 具体的な回答については自分の思考回路にそって論述を勧めることになります。その際、論述の方法として注意するのは、答案を読んだだけで問題が分かるような記載を心がけると、丁寧な文章になるということです。
 例えば、 1 (1)の回答としては
「Bは、子供であるCが相続によって取得したC所有の甲機械をDに売却しており、民法560条の規定する他人の権利を売却した場合に該当する。そして、Dは当該売買契約を解除すると伝え、売買代金500万円の返還を請求しているのであるから、当該請求の法的構成としては民法561条に定める契約の解除と契約解除による原状回復請求権の行使となる。
次に当該請求の成否については、民法561条が定める他人物売買の解除の要件を満たしているか問題となる。まず、561条の定める要件は「売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないとき」である。本問では、所有者であるCがBからDへの売却の事実を知ったうえで、Dに対して甲機械を直ちに返還するよう求めており、売主であるBが売却した甲機械の権利を取得できないといえ、561条の要件を満たしている。よって、Dの解除は有効であり、契約解除による原状回復として、DのBに対する売買代金500万円の返還請求は認められる。」

 多少しつこいというか丁寧すぎる感はありますが、練習としてはこれくらい丁寧に書いてみて下さい。あとはどの程度省略しなければならないか、という時間配分の問題と思います。例えば、次の程度には省略できます。

「BD間のC所有の甲機械の売却は、民法560条の定める他人物売買であり、Dの売買契約の解除と売買代金500万円の返還請求の法律構成は、同561条に定める他人物売買の契約解除による原状回復請求権と考えられる。同条の契約解除の要件は「売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないとき」。であり、本問では所有者であるCが売却の事実を知ったうえで、Dに対して甲機械を直ちに返還するよう求めており、Bが権利を取得することはできないのであるから、同条の要件を満たし、Dの500万円の返還請求は認められる。」

もちろん、561条では解除ができないという場合は、債務不履行による解除を論じる必要がありますが、この問題では、不要ですし、触れる必要もないといえます。
 他の設問についても同様に問題文から必要な事実を指摘しながら、条文、要件をあげ、要件に事実をあてはめる、という作業をすることになります。

4 しつこいだけのつまらない文章です。しかし、法律実務家の文章としては、単純かつ他に読みようのない文章だけが評価されます。美しい文章、格調高い文章は必要ありません。谷崎や三島とは関係のない世界です。まさに高校生レベルの論説文で十分です。しかし受験生の私には、欠けていた能力で、この点を注意したことにより論文の成績が飛躍的に進歩したのは事実でした。受験生の中には私と同じような欠点を持っている人、知識や法律の理解はあるのに論文の点数が伸びない人はぜひ検討してみてください。

5 法律の勉強は、量が多く全体を理解しながらミクロの議論を展開しなければならないので大変と思います。とは言え、法律家の仕事は有益ですし、興味深いものですので、ぜひ司法試験の合格を目指して下さい。

以上

尚、合格体験記についてご質問がある明治大学の受験生は☏、メール、FAXで事務所までご連絡ください。お名前、電話番号、メールアドレスを必ず付記してください。電話またはメールでアドヴァイス致します。

 


 
≪平成28年度予備試験民法問題≫
[民 法] 次の文章を読んで,後記の〔設問〕に答えなさい。 【事実】 1.Aは,自宅の一部を作業場として印刷業を営んでいたが,疾病により約3年間休業を余儀なく され,平成27年1月11日に死亡した。Aには,自宅で同居している妻B及び商社に勤務して いて海外に赴任中の子Cがいた。Aの財産に関しては,遺贈により,Aの印刷機械一式(以下「甲 機械」という。)は,学生の頃にAの作業をよく手伝っていたCが取得し,自宅及びその他の財 産は,Bが取得することとなった。 2.その後,Bが甲機械の状況を確認したところ,休業中に数箇所の故障が発生していることが判 明した。Bは,現在海外に赴任しているCとしても甲機械を使用するつもりはないだろうと考え, 型落ち等による減価が生じないうちに処分をすることにした。 そこで,Bは,平成27年5月22日,近隣で印刷業を営む知人のDに対し,甲機械を500 万円で売却した(以下では,この売買契約を「本件売買契約」という。)。この際,Bは,Dに対 し,甲機械の故障箇所を示した上で,これを稼働させるためには修理が必要であることを説明し たほか,甲機械の所有者はCであること,甲機械の売却について,Cの許諾はまだ得ていないも のの,確実に許諾を得られるはずなので特に問題はないことを説明した。同日,本件売買契約に 基づき,甲機械の引渡しと代金全額の支払がされた。 3.Dは,甲機械の引渡しを受けた後,30万円をかけて甲機械を修理し,Dが営む印刷工場内で 甲機械を稼働させた。 4.Cは,平成27年8月に海外赴任を終えて帰国したが,同年9月22日,Bの住む実家に立ち 寄った際に,甲機械がBによって無断でDに譲渡されていたことに気が付いた。そこで,Cは, Dに対し,甲機械を直ちに返還するように求めた。 Dは,甲機械を取得できる見込みはないと考え,同月30日,Cに甲機械を返還した上で,B に対し,本件売買契約を解除すると伝えた。 その後,Dは,甲機械に代替する機械設備として,Eから,甲機械の同等品で稼働可能な中古 の印刷機械一式(以下「乙機械」という。)を540万円で購入した。 5.Dは,Bに対し,支払済みの代金500万円について返還を請求するとともに,甲機械に代え て乙機械を購入するために要した増加代金分の費用(40万円)について支払を求めた。さらに, Dは,B及びCに対し,甲機械の修理をしたことに関し,修理による甲機械の価値増加分(50 万円)について支払を求めた。 これに対し,Bは,本件売買契約の代金500万円の返還義務があることは認めるが,その余 の請求は理由がないと主張し,Cは,Dの請求は理由がないと主張している。さらに,B及びC は,甲機械の使用期間に応じた使用料相当額(25万円)を支払うようDに求めることができる はずであるとして,Dに対し,仮にDの請求が認められるとしても,Dの請求が認められる額か らこの分を控除すべきであると主張している。 〔設問〕 【事実】5におけるDのBに対する請求及びDのCに対する請求のそれぞれについて,その法 的構成を明らかにした上で,それぞれの請求並びに【事実】5におけるB及びCの主張が認めら れるかどうかを検討しなさい。
(試験時間 民法、商法、民訴で3時間30分)

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