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合格体験記 私の司法試験合格法

真栄里 嘉邦

1.経歴 志望動機 受験経歴

⑴ 経歴
 平成22年 明治大学         入学
 平成26年 明治大学         卒業
 平成28年 琉球大学法科大学院 未修 入学
 平成31年 琉球大学法科大学院    卒業
 
⑵ 志望動機
 就職活動を通して,最後まで他人の力になれる仕事につきたい,専門家として自分に力をつけたいと考えるようになりました。そのような中,尊属殺人重罰規定違憲判決の弁護人を勤めた大貫弁護士の話を知り,私もそのような専門家になりたいと考え,進路を法曹志望に変更しました。
 
⑶ 受験歴
 平成27年 予備試験 短答落ち
 平成28年 予備試験 短答落ち
 平成29年 予備試験 論文落ち
 平成30年 予備試験 論文落ち
 令和01年 司法試験 合格  

 
 

2.短答式の勉強法
 短答式の勉強は、辰巳法律研究所が出版している短答過去問パーフェクトを使用しました。短答式の勉強でもっとも重要なのは、何周もすることです。しかし、短答の過去問だけでも膨大な量があるので、全ての問題を何回も解くと膨大な時間を消費することになります。そこで、私は、1周目で解けた問題で何度やっても解ける問題の肢にはバツ印をつけ2周目以降は解かないようにしました。削る問題のメルクマールは、論文レベルの知識ならしっかり理由をいえること、短答プロパーであれば、一言でいいので理由を思い浮かべて切れることでした。
 2周目以降も、同様に、もうこれは間違わないと思った肢を削っていきました。試験直前になれば、弱点の肢のみ残された教材が完成することになりますので、試験直前は残った肢を何度も読みました。なお、短答過去問パーフェクトを解く際には、全ての肢を検討し、答えが出たら他の肢を見ない・・みたいな本番でやる技術的なことはやりませんでした。

 

 ただ、今年の司法試験の短答式の問題をみるに、刑法・憲法については過去問プラスαをやった方がいいかもしれません。憲法では、判旨の細かい部分からの出題が増えたように思います。ですので、過去短答で何度か出題されている判例の判旨を長めに引用している判例集等で判旨を読む等の対策をした方が点数がより安定するかもしれません。
 刑法にいては、パズル問題が増えたように感じました。ですので、時間があれば、旧司法試験のパズル問題を解いて慣れておくといいと思います。

 

 

3.論文式の勉強法

⑴ 初期
 司法試験の勉強をしはじめた段階では、予備校が出している基本的な問題集を何度もよみました。最初は、問題を読んでも、何を書けばいいかわからない状態でした。そこで、問題を読んだらすぐ答案を見て、何が問題になるのか、答案はどのように書くかのイメージ作りからはじめました。3周くらいは本当に読書感覚でただ読むだけを繰り返しました。
 3周くらい読むと論点抽出ができるようになってくるので、次は、なぜその問題において論点になるのか(問題提起)を中心に読み込みました。これができるようになれば、次はどのように事実を評価しているかなどあてはめ方を気にして読み込みました。
 
⑵ 中期
 学習が進むにつれ、自分の弱点が見えてきますので、それを補強するためには、何を意識して答案例を読めばいいかを考え、司法試験合格まで何度も基本的問題集の答案例を読みました。おそらく、基本的な問題集については司法試験合格まで15周以上は読み込んだと思います。
 また、基本的な問題集の問題を読んで、ある程度頭で答案構成をすることができるようになってからは、旧司法試験の問題や予備試験の過去問にも挑戦しました。いろいろな過去問を解くと、その度に、自分の理解不足や弱点を発見することができました。その度に、基本書や演習書の解説を読み、アウトプットとインプットを繰り返しました。
 
⑶ 司法試験の過去問対策
 司法試験の過去問をやりはじめたのは、去年の10月からでした。やりはじめるのが遅かったため、全ての過去問を潰すことは困難であったため、予備校講師がABランクに指定している過去問のみを潰すことにしました。
 過去問のやり方については、問題文を読み答案構成をして、出題趣旨・採点実感・優秀答案等を読み込む方法をとりました。出題趣旨を読んだ後にもう一度問題文をよみ、どのようにしたら出題者の意図が読み取れたかの分析を主軸において過去問をこなしました。司法試験の問題はとてもレベルが高いですが、その分、明示的な誘導はもちろんのこと、その他でも微妙なニュアンスや設問の問い方、事実の記載の仕方から出題意図が読み取れる問題も多いです。司法試験合格には、出題者の意図から外れない答案を書くことが大切です。ですので、このような勉強をしたことが合格に繋がったと思っています。
 なお、私は、受験期間を通じてほぼ答案を書きませんでした(法科大学院の期末・課題・予備論文等除く)。新司法試験対策でもほぼ書きませんでした。そのような手段をとったのは、私は手を広げていいが3周はするという方針で直前期勉強しており、昨年10月から旧司法試験・予備試験・司法試験の過去問・予備校の基本的問題集などを3周することが来年の合格に必要と考えていました。しかし、法科大学院の期末や課題などの時間を考えると司法試験の過去問を書く勉強をすればこの量をこなすことはほぼ不可能でした。これに加え、2年前の予備論文の成績は1000位程度でしたが昨年には600位程度まで順位をあげ、AB評価もそれなりに取れるようになっていたので、書かなくてもABランクの答案をかけるタイプと自分のことを分析していました。そこで、これらを踏まえ、質より量をとる勉強スタイルを選び、書かないという勉強スタイルを採用しました。ただ、新司法試験でははじめて途中答案をした上、3科目もの分野で途中答案を作ってしまいました。これは新司法試験の過去問を書いてなかったため、ペース配分の仕方がわからなかったためでした。このような観点から、過去問の答案を作成することは重要なことであると思います。もっとも、私は、答案を書くという勉強をしなくても、事実の評価や三段論法を守る等の形式面については問題はなかったので、ペース配分を掴むために週2通程度かけば足りたんだろうと思います。逆に形式面に問題がある人は何度も書く必要があると思います。大事なことは、自分にどの能力が足りていないかを分析し、それを補充するため目的意識を持って勉強をするということです。

 

 

4.勉強するについて大事なこと

⑴ 計画を立てる
 私は、予備試験の受験から司法試験合格まで、必ず、年間計画、年間計画に基づく月の計画、月の計画に基づく週の計画を立てました。私は司法試験の勉強を進めれば進めるだけ、新たな欠点に遭遇することが多かったです。ですので、なにかあればすぐ計画を変更して、何度も計画を作り直しました。こうすることで、自分に何が足りないかを分析するくせをつけることができましたし、何より進むべき道が見えているのでメンタルを良い状態で維持することができました。計画をたてないことは、ゴールのわからないマラソンを走らされていることと同じです。そんな不安しかない状況で勉強を続けることは精神衛生上好ましくないです。ですので、メンタルの観点からも、しっかり計画を立てることをおすすめします。
 また、計画を立てる際には、やるべきことについてランクづけすることも重要です。例えば、これをやらなければ司法試験に受からない教材はAランクとして、その教材を身に着けるために例えば4周やると決めたらその計画を変更すべきではありません。これに対して、最新の重判等を読み込み、出題されたらかけるように用意することは、当たれば他の受験生に大きく差をつけることができますが、他の受験生も知らない人が多いので、合否レベルでは大きな影響はありません。こういった教材は、Cランクとして、全体計画に遅れが生じたら真っ先に切り捨ているようにしてました。
 
⑵ 考えて勉強する
 ただ、周りが〜やっているから私も〜するという風に流されるように勉強をしている人を見ることがあります。しかし、他人が必要な能力と自分が必要な能力は必ずしも一致しません。常に、合格するためにはどのような能力が必要か、そうすると何が自分に足りないかをしっかり考え、目的意識をもって勉強することはとても大事なことです。
 
⑶ 法律を理解しようとすること
 論証パターンはとても便利で、それを覚えれば、答案に文字を埋めることができます。そして、論証パターンにあわせて問題文の事情を適当にひろえば、最低限の答案を作成することはできます。しかし、そこで頭打ちになります。論証パターン頼りの答案は内容が薄く答案を読めばすぐにバレます(コンパクトによく書けている答案と薄い答案は別物です)。ぱっと見、それなりに書けているように見えるものの点が伸びない答案にはこのような答案が多いです。
 初学者から中級くらいまでならそれでいいですが、司法試験の合格をつかみ取ろうとする段階ではそれでは足りないと思います。
 これを克服するためには、なぜ、そのような定義なのか、なぜ論点になるのか、なぜその要件が必要かをしっかり自分の頭で考え、わからなければ、基本書等に立ち戻るという勉強をする必要があります。なお、これらの勉強のために基本書を一から読み直す必要はなく、アウトプットの中で考えて勉強し、必要な範囲で基本書に立ち戻れば十分です。
 定義を長くするということは、他のものと区別をしようとする現れですし、要件を複数必要する場合とは一定の場合を排除しようとするからです。なぜ論点になるのか何と区別したいか、何を排除しようとしているか等を考えることで、当該科目やその論点に対して深く理解をすることができます。そして、このようなことを日頃考えることで典型問題からズラした応用問題に対処できることは勿論のこと、未知の問題に対する対処法を身につけることができます。私は、ローの民訴の授業を通して、このことに気づけたからこそ一回目で合格できたと思っています。
 ですので、みなさんも、ある程度かけるのに点が伸びない時期に到達したら、自分のあたまで考える時間を作ってみてください。
 

 

5.最後に

 新司法試験に移行して、現在、様々なことがいわれています。確かに、旧司法試験より難易度は落ちたかもしれません。しかし、それでも、国家最難試験であることには変わらないと私は考えています。
 最難関資格とはいえ、努力しても受からない試験ではありません。しっかりした勉強法で、努力し続ければ受かる試験です。私が合格したことがその表れであると思っております。
 みなさんも諦めず頑張ってください。母校から今後たくさんの法曹としての後輩が誕生することを心より願っております。

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