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合格体験記 私の司法試験合格法

神津竜平

 

【経歴】

國學院大学法学部法律学科卒業
平成25年明治大学法科大学院卒業(既修)
平成27年司法試験合格(3回目)

【成績】

短答式
122点
順位 4222位

論文式
公法系科目 114.97
民事系科目 185.97
刑事系科目 132.09
選択科目(労働法) 56.27
順位 238位

総合順位 337位

【法曹を目指した理由】

私は高校卒業後、特に何かをやりたいと思うこともなく、それゆえに大学に進学する必要もないと考え、フリーターを経験しました。
フリーター生活を送る中で、将来自分は何をするのだろう、この先どうやって生活していくことになるのだろうと、将来に対する不安を抱き始めました。
こうした不安を払拭するために、結局、漠然とではありますが何かを勉強するために大学に行ってみようと思い、大学に進学しました。
法学部に入学して、法律の面白さを知ったこと、大学1年次に「労働者の人権」をテーマとした弁護士の講演会に参加したことをきっかけとして、法律を勉強して司法試験に挑戦してみようと考えました。

【短答式の勉強方法】

私は、上記のように3回目受験にもかかわらず短答式試験の成績は非常に悪かったです。
短答式と論文式とでは配点比率が1:8であり、論文に力を入れて合格を目指していました。直前期に過去問を一周する程度の勉強しかせずに、とりあえず短答は足切りラインを超えることのみを考えておりました。そのため、1回目は4000番台、2回目は3600番台、3回目は上記のように4222番と、3回とも足切りラインクリアとしての意味しか持たない順位でした。
確かに、短答式の点数が高ければ高いほど総合評価のアドバンテージにはなります。惜しくも後数点足りないとなった場合の短答の1問2問の正解が貴重に感じられるでしょう。
また、短答の勉強は論文と異なりただただ覚えてやればやるだけ点数が伸びやすく、勉強の成果が明確になるため、黙々と勉強しやすいといえるでしょう。しかし、いくら短答式で順位が良くても論文ではあっという間に抜かれます。したがって、論文との比率で1:8であることは忘れずに勉強時間を考えるべきです。
私の点数は低すぎますが、合格者平均点を取ることができれば十分であると思います。

【論文の勉強方法】

上記のように、私は、短答式に力を入れずに論文式で確実に勝負できるように論文の勉強ばかりしていました。
まず、過去の総合成績ですが、1回目が2100番台、2回目が2400番台、3回目が337位と飛躍的に論文の力が伸びました。以下、なぜ本年度これほどまでに成長したのかを1回目、2回目と比較して説明していきます。
まず、1回目の受験について。1回目の受験の時、ほとんど受験には有益でない大学院の課題が多く(もちろん非常に有益な授業はありました)、受験勉強をし始めたのは3年生の夏からでした。予備校の答練を受けてその復習をすること、演習教材を使用して問題演習をひたすら行っていました。1回目の受験では、大学院に入学してから長期的に休む期間もなくそのまま5月の試験に突入したために勢いもあり、合格するであろうとの自信がありました。ところが、あと一歩といった点数で不合格でした。
次に、2回目の受験について。1回目はあと少しで合格といった成績であったことから、このまま同じことを繰り返していれば2回目は合格できると信じて勉強をしていました。
この時は、発表後の9月から勉強を再開し、予備校の答練や演習教材を繰り返し行っておりました。
すなわち、1回目と2回目の受験勉強でやることは特に変わりませんでした。このように1回目の失敗から勉強方法を変えなかったことが最大の失敗でした。
低い順位で落ちた方と比較してあと少しで惜しくも不合格になってしまった方はなかなか勉強方法を変えにくいと思います。例えば、4000番で落ちた人は敗因分析により抜本的に勉強方法を変えやすいでしょう。低い順位のままの同じ勉強方法はとりません。他方、惜しくもあと少しで落ちた方は、自分がやっていることを信じてやればあと少しだから大丈夫と思い勉強方法を変えるのに抵抗があるのではないでしょうか。しかし、過信は禁物です。徹底的な敗因分析をせずに同じような勉強を続けていては、2000番から1800番の壁は非常に高いものとなってしまいます。
話を戻しますと、私は2回目には順位が下がり、この時期にようやく受かりそうで受からないこと、そのラインを超えるにはどうすれば良いか、徹底的に敗因分析を行いました。
その結論が、論文で「書きたいことを書くのではなく、聞かれてることを書くこと」の徹底。そのためには、過去問分析を徹底的に行い、論文の点数の取り方を極めること。そして、弱点科目の底上げでした。
そこで、これまでやってこなかった過去問分析を9月から始めました。具体的には、出題趣旨と採点実感を分析して時間無制限で過去問の完全答案を作ること。そして、それを弁護士(講師)に添削してもらい指摘を踏まえて新たに完全答案を作成することを行っていました。
そして、特に苦手であった商法は毎日のように触れるようにしていました(得意であった労働法、民訴、刑事系は年内は完全に放置しておりました)。
過去問の徹底的な分析によって、論文を「点取りゲーム」と考えて本試験に臨むことができました。いかにして点数を取るか、出題者が厚く書いて欲しいと思っていることは何か、書きたいことをただ書くのでは点取りゲームに参加できないこと、本試験では試験中過去2回と比較して余裕を持った思考方法を実践できたように感じます。

【やるべきこと(特に初回受験不合格者)】

過去問分析を最も優先してやるべきです。決して2時間で過去問を書く必要はありません。2時間で書く練習をしたいのであれば予備校の答練の問題で事足ります(初見の問題であるべき)。司法試験に合格したいのであれば、分析すべきは本試験です。合格するには、出題者が何を聞いているのか、何を書いて欲しいのか、出題者の意図を問題文から読みとる力をつける事です。
過去問をやるのではなく、分析することです。私は3回目の受験までやっていませんでしたが、皆過去問をやっています。やった人と、分析した人とでは、明らかな差が生じます。知識に不安があるのであれば、過去問の完全答案を作る際や復習の時にインプットしていけばいいでしょう。既に過去10年分もありますから、周辺知識も見ていけばかなりの問題点に触れインプットする状況を自ら作ることができます。そして、過去問にない問題点(論点)は、補完的に別途問題集等で押さえれば、知識は多く得られます。

【3回目(本年)の本試験での感覚】

上記のとおり、私は徹底的な過去問分析によって3回目の試験中は焦らず余裕を持って問題に向き合っていました。
1回目、2回目は、時間内に焦って頑張って書きたいことを書いていましたが、3回目は出題者はどこを特に書いて欲しいのか、そこは丁寧に書いていこう、ここはさらっと認定しよう等、聞かれているであろうことを問題文から読み取りメリハリをつけた答案を作成することができました。

【使用教材】

過去問徹底分析(最重要)

過去問分析が最優先であることをして前提として、以下、補完的に使用した教材です。

《公法系》
判例から考える憲法
伊藤塾試験対策問題集(憲法)
事例研究 行政法

《民事系》
事例で学ぶ民法演習
事例で考える会社法
伊藤塾試験対策問題集(民法)
伊藤塾試験対策問題集(商法)
伊藤塾試験対策問題集(民訴)

《刑事系》
刑法事例演習教材
事例演習刑事訴訟法

《百選》
〜解説まで読み込んだ科目〜
憲法、民訴、刑訴

〜過去問や問題集で出てきた時に適宜読んだ科目〜
行政法、商法

〜特に百選自体で判例を押さえていない科目〜
民法、刑法(判例を押さえないということではなく、あえて、百選を使用する必要はなかったという趣旨です)

【明治の受験生へ】

明治大学法科大学院に御入学おめでとうございます。
これから、厳しい受験生活を耐えていけば、必ず道はひらけます。
私が法科大学院に入学する頃(2011年)は、入学すべき私大の法科大学院といえば、早慶中明と言われていたように思います。
ところが、今は早慶中と明治の合格率の差は歴然としており、受験生の皆様は少々の不安を感じていることと思います。
しかし、自らの合格のみを考えた場合、合格率を考える必要はありません。自らに足りないもの、獲得しなければならないものを分析して、コツコツと自分を信じて勉強していけば必ず合格できます。
苦しい苦しい受験生活は当たり前です。楽して合格できる試験ではありません。合格すればそれから解放されます。
私は、学歴が悪く、頭も大して良くありません。それでも合格できました。
自分を知り謙虚に努力すれば必ず合格できます。
皆様の合格を心よりお祈り申し上げます。
頑張ってください!

以上

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