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合格体験記 私の司法試験合格法

久保 佑一郎

2012年 明治大学法科大学院卒業

 
 合格体験記など偉そうに書きたくはなかったのですが、先日飲み会でご馳走になった弁護士の先生(門馬先生と川村先生)から「合格体験記だけは全員書いてくれ」と直接言われたので、義理を果たすべく筆をとりました(指でキーボードを叩いているだけですが)。

 さて、何を書きましょうか。読んだ基本書や、パラ見しただけの基本書、買っただけで開いてさえいない基本書の名前を羅列して字数を埋めたいのですが、さすがにそれもつまらないですね(そういう合格体験記はよくあるようですが)。

 私は5回目で運良く(運悪く…?)受かった人間です。ですので、いかに手際よく最短で受かったのかをここで自慢することは当然できません。

 1回目2300番、2回目2400番、3回目2000番、4回目2400番、5回目800番という感じでした。グダグダの手応えだったにもかかわらず(アサッテなことばかり書きました)、思ったより1回目の順位がよかったことで方向を間違えました。つまり、人と違ったおもしろいことを書けば高順位で受かるだろうというわけのわからない発想を抱いてしまったのです。そういう考え方で答案を書くと、的外れな記載が増えたり、一番配点が振られている基本的な事項を蔑ろにして落とすことになります。自分はおもしろいことを書いて点数が入っていると思っているのに、付けられる点数は低い。悲劇です…。

 受かるために一番重要なことは、「当たり前のことを当たり前に、普通に書く」ことだと思います。ハネようと思って、その場で考えた「人とは違う俺だけの面白いスジ」を書くと死が待っています。採点者は面白い答案など望んでいません(当然ですが)。ハネようと思って難しいことを書くのではなく、基本的なことをしっかり書きましょう(理由を含め)。受かるにはそれだけで充分です(勝手に問題文を読み違えたり、的外れなことを書いている人はたくさんいるので)。

 日々の勉強では難しいことをやりがちですが、基本的な事項の暗記に時間を費やしましょう(難しい基本書などを読んでいると勉強した気にはなるのですが、本番で点につながることはほとんどありません)。基本的な事項の暗記に最適なのは択一の過去問を繰り返しやることです。新司の過去問だけでいいので、しっかりやりましょう(といっても、けっこうな量ですが)。論文に比べて択一は配点が少ないからと、択一を蔑ろにする人がいますが、それは賢明ではありません。前述したように論文において一番重要なことは基本事項をしっかり書くことです。つまり、択一の勉強をすることで論文の力も高めることはできます。このように択一の勉強と論文の勉強はつながっているので(もっと言えば、択一で出た論点がそのまま論文できかれるときもあります)、択一は足切りさえされなければそれでいいなどとバカにせず、一点でも稼ぎましょう。

 「基本的事項をしっかり書くことが重要だ」と上で何回も書いてきましたが、択一の他に具体的に何をすればいいのか。私はあえて、予備校などが市販している論証集をやることをおすすめしたいと思います。学者の先生は基本書をしっかり読めというでしょうし、論証集なんてダサいと思っている人もたくさんいるでしょう(私もそうでした)。しかし、難しい基本書を読んだだけで勉強した気になってしまう受験生は多いように感じます。基本書を読んでも、それを本番で答案に示せなければ意味はないのであり、基本書を読んだだけでは何が基本なのかを判断することは難しいと思います。費用対効果(好きな言葉ではありませんが)を考えれば、論証集を学習の核に置くことも一つの手ではないでしょうか。

 冒頭で本の名前を羅列した合格体験記はどうかと思うと書きましたが、各科目一冊ずつ、私が役に立ったと思う本を挙げます。

 ・『判例から考える憲法』
 ・中原茂樹『基本行政法』
 ・『事例で学ぶ民法演習』
 ・『事例で考える会社法』
 ・和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』
 ・『刑事事例演習教材』
 ・亀井源太郎『ロースクール演習 刑事訴訟法』
 ・『事例演習労働法』

勉強の方向性さえ間違えなければ受かる試験だと思います。ここに書いたことが届く人が一人でもいればうれしく思います。やる気が出ないときや何をやったらいいのかわからなくなったときは、択一と論証集をやってください。それで裏切られることはありません。

以上
(H28.11.10執筆)

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