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合格体験記 私の司法試験合格法

山口 海

1 経歴

平成21年3月 千葉県立成東高校      卒業
平成26年3月 明治大学法学部法律学科   卒業
平成29年3月 明治大学法科大学院(未修) 修了
平成29年9月 司法試験 合格

 

2 はじめに

 私が司法試験を受験するにあたって一番意識していたのは,「落ちない答案」を書くことです。私は,司法試験とはどのような試験であるのかを考えたとき,「優れた法的知識を持っている人が合格する試験」ではなく,「最低限の知識を持っていない人が不合格となる試験」であると考えました。
 この考えを踏まえ,以下,短答式試験と論文式試験で私が意識していたこと,勉強法に分け,それぞれご紹介したいと思います。

 

3 短答式試験

⑴ 意識していたこと

 私は,短答式試験の勉強,本番で意識していたのは,「満点を目指さない」ということです。短答式試験で良い点数が取れれば,それだけ合格に近くというのは当然の話であり,やるからには良い点数を取りたいと思うのは当たり前です。そこで,良い点数を取るにために「満点を目指さない」ことについて説明します。
 「満点を目指さない」とは,すなわち,間違えてもいい問題ないし問題数をあらかじめ設定しておくことです。私は,短答式試験を解くにあたって,何問までは落としても問題ないということを念頭に置いて解いていました。このように考えながら解くことによって,難しい設問やわからない設問にあたっても,「これは間違えてもいい問題だ」と考えられるので,特段焦ることはありません。その分,他の設問を丁寧に処理もできます。「満点を目指す」ということは,すなわち,一問も落とすことができないということであり,このように考えながら問題を解こうとすると,少しの焦りから普段ではやらないようなミスを誘発するおそれがあります。短答式試験で良い点数を取るためには,ミスをしないことが大事なので,そのミスを減らすためにも,「満点を目指さない」という意識で問題を解くということが有効であると思います。

 
⑵ 勉強法

 私は,過去10年分の過去問を回し,復習には比較的時間をかけていました。どの受験生も過去問は解いているので,同じような問題が出たときに,他の受験生ができているのに自分だけが間違えてしまうという状況をなくしたかったからです。みんながわからない問題を間違えてしまっても差はつきませんが,みんながわかる問題を落としてしまうと,その分差が出てしまいます。そのため,少なくとも過去10年分の過去問で出題されたとことはしっかりおさえておこうと考えました。
 復習に時間をかけていたのは,過去問の答えをただ覚えただけということにならないようにするためです。答えを覚えただけでは,出題のされ方が違った時に十分に対応できないと思ったので,なぜそうなるのかということをしっかりと考えるようにしていました。その際,知識が曖昧なところは基本書や条文等に立ち返って確認をして,納得してから次へ進んでいました。基本書等に立ち返ることで,論文式試験のための知識を補完する効果もあったと思います。
 あと,肢別本ではなく,あくまで過去問を解いていました。本番での時間の使い方や問題を解くという感覚を養いたかったからです。はじめは時間もかかりましたが,繰り返していくうちにだんだんと効率も良くなってきたので,最終的にはそこまで時間はかかりませんでした。

 

4 論文式試験

⑴ 意識していたこと

 私は,論文式試験を解くにあたって,基本的なことをしっかり書くということ意識していました。これは当たり前のことじゃないかと思う人がほぼ全てだと思います。しかし,司法試験を受験した人の話や合格答案を見てみると,合格した人と落ちてしまった人の大きな差は,基本的なことを書けているかどうかであると感じることが多くありました。
 また,司法試験の性質からも基本的なことをしっかりと書くことがいかに大事であるかがわかります。そもそも司法試験では,平均50点取れれば受かります(その年の受験生全体の出来や,短答式試験の成績によって多少の誤差はあるかもしれませんが)。つまり,論文式試験では,50点を落としても合格するということです。では,落としてもいい50点は何か。それは,より深い法的知識や秀逸な事実摘示や評価であると思います。一方で,絶対に落とせない50点は何か。それは,どの基本書にも書いてある法的知識や,法的三段論法,そして設問に対してしっかりと結論を示すといった,誰しも当たり前だと思うことです。
 以上のことから,私は,少なくとも基本的なことは他の受験生にも負けないという意識で論文式試験の勉強,本番に望みました。

 
⑵ 勉強法

 私は,答案を書き,その復習というごく一般的な勉強をしていました。ただ,他の人たちに比べると基本書や演習書を読んでいる時間が比較的長かったかもしれません。しかし,基本書を読むにしても,ただ読むだけ,ただインプットするだけの時間にするのはもったいないし,答案を書く力が上がるとは思わなかったので,答案にどうやって書くか,どうやって反映させるかを意識しながら読んでいました。答案のどこで,どのように書くかを意識することで,インプットしている知識が整理され,インプットの精度も高くなるという効果もあったと思います。
 私は,他の受験生と比べ,時間内に書ける分量が少なかったです。より多く書けるように練習をするという方法もありましたが,私は,自分の書ける分量でどうやって答案を書くかを練習しました。安定して書ける分量の中で書く練習をする方が,取れる点数も安定すると考えたからです。そのため,答案の練習は,自分がどの程度書けるのかを把握すること,その中でどのように書けばいいのか(どこまで書くか)を決めることの練習として行っていました。私は,この練習を繰り返すことで,各科目での答案の型を作り,その型を体に染みつけました。扱った問題は,やはり過去問で,司法試験受験生にとって最良の教材だと思います。「この論点はわかるから書ける」のではなく,どうやって書くかを念頭に解けば,一度解いた問題を繰り返し解くことにも意味はあると考えました。

 

5 最後に

 司法試験は,肉体的にも精神的にも負担のかかる試験です。しかし,司法試験を受験すると決めた以上,司法試験はやってきます。ならば,「嫌だなあ」と思いながら勉強するのではなく,「やってやるぞ」「司法試験に合格するのは難しくない」と思いながら,ポジティブに勉強しましょう。
 私の受験時の経験が,司法試験合格を目指すあなたにとって,少しでもお役に立てるものであれば幸いです。
 思いっきり勉強して,思いっきり遊んで,そして,思いっきり司法試験に合格しましょう。ご健闘をお祈りします。

以上

 

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