合格体験記 私の司法試験合格法
武藤 喬
1 経歴、法曹志望の動機
平成22年 立教大学法学部法学科 卒業
平成25年 明治大学法科大学院 修了
平成30年 司法試験予備試験合格
令和3年 司法試験合格
私は父が法曹関係者であったため、幼いころから法曹になりたいと漠然とした夢を持っていました。
法曹という職業を身近に感じ、困っている人に寄り添ってその人の力になりたいという思いから、法曹を目指そうと思いました。
2 短答式の勉強方法
私は、予備試験受験時から短答式試験に苦手意識を持っていたこと、令和2年度から民法の問題が改正法で出題されることから、出題短答式の勉強には力を入れていました。
具体的には、憲法、民法については、辰巳法律研究所から販売されている『肢別本』を刑法は、同研究所の『短答過去問パーフェクト』を用いて演習していました。刑法のみ『短答過去問パーフェクト』を使用した理由は、憲法、民法は各肢の正誤が判別できれば正解することができるのに対し、刑法は穴埋めやパズル問題が出題されるため、問題毎に演習する必要があると考えたためです。
間違えた肢は次に解いた時も間違える反面、理由まで分かって正解した肢は間違えないという経験から、間違えた肢をLEC東京リーガルマインドから販売されている『択一六法』に一元化することで復習の時間を短縮し、かつ効率的な勉強ができたと思います。
民法については、長年旧法で勉強していたこともあり、改正法分野の問題に対応できるか不安であったため、改正法の条文解説の講座も受講しました。また、『肢別本』は改正法に対応した作りになっていたため、使いやすかったと感じました。
3 論文の勉強方法
私は仕事をしていたことから、問題集を回すまでの時間は取れませんでした。そのため、過去問を解くことを優先し、傾向や合格水準を知ることに努めました。問題文の読み方や答案の分量などを中心に分析することができたことで、論文を受験するにあたって最低限のことはできたかと思います。
特に、論文式は、時間内に事案を処理し答案を書き切ることが何よりも重要であり、完璧な答案を書くことは現実的ではないという考えのもと、過去問の分析にあたっては、『出題趣旨』を読み込み、落としてはいけない論点、落としても大きな影響はない論点を選別し、メリハリをつけた論述を意識することを心掛けました。
近年の司法試験の出題趣旨や採点実感は詳細に記載されているものが多く、出題の傾向や司法試験委員会の求めていることを知ることができるため、非常に有用であると感じています。
また、過去問の演習は、同じ問題を複数回解くと問題の内容が分かっているため、100分で解くようにしていました。
民法については、改正法で出題されることになっていたことから予備校の答練も積極的に受講していました。
4 仕事と勉強の両立
私は、失権後就職し予備試験、司法試験を受験しました。受験歴は長かったため、知識面等で多少の上積みはありましたが、専業で勉強をしている人たちに比べると圧倒的に勉強量が足りないと感じていました。そのため、効率的に勉強をしなければならないと考え、勉強方法を工夫することを念頭に置き勉強に取り組みました。
また、一日の勉強時間も限られることから、短い時間で勉強サイクルを区切り、その時間は集中して取り組むことを心掛けました。
しかし、仕事をしていたことでダラダラと時間を浪費してしまうという事態は避けることができ、集中して勉強に取り組むことができたと感じています。
5 最後に
私は、失権後に予備試験を経由して合格ということもあり、予備試験も含めると8年間受験生活が続きました。正直、現行の制度でここまで受験を続ける人はなかなかいないと思います。受験生活を長く続けることは将来の選択肢が狭まってしまうというリスクもあるため相当な覚悟が必要ですし、何が正解なのかはやってみなければわからないことです。
しかし、今の自分と合格までの距離をしっかりと把握し、それに対してしっかりとした対策を立てて取り組むことができれば、時間がかかっても合格を勝ち取ることができると私自身が経験し証明することができました。
失権後の進路で迷われている方をはじめ、受験生のみなさんにとって、この体験記が少しでも役に立てば幸いです。
以上