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Home > 司法試験合格体験記・予備試験合格体験記 > 山本 賢太郎(予備試験)

予備試験合格体験記

山本 賢太郎

第1 経歴、予備試験を目指したきっかけ

 
1. 経歴 
 平成21年4月 明治大学 法学部 入学
 平成25年3月 明治大学 法学部 法律学科 卒業
 平成25年4月 中央大学大学院 法務研究科(既習コース) 入学
 平成26年12月 予備試験合格(論文81位、口述61位)
 平成27年3月 中央大学大学院 法務研究科(既習コース) 修了
 平成27年9月 平成27年度司法試験  合格
 
2. 予備試験を志望したきっかけ

 志望したきっかけは、予備試験は試験委員、採点委員が司法試験と同じであると聞き、司法試験の受験に向け、自分の実力を確かめ、弱点を発見したいと思ったことです。

 
 

第2 予備試験短答式試験の勉強方法

1. 予備試験短答式試験の特徴
(1)受験科目

① 法律基本科目(7法 憲法、民法、刑法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法、行政法、各30点満点、合計210点)

 ② 一般教養科目(60点 社会、数学、英語、理科など)

平成28年度の司法試験の短答式試験は、憲法、民法、刑法の3科目である
ことと比較すると①科目が多い②一般教養科目が大きな違いです。
なお、司法試験の問題と予備試験の問題は内容が同じものが一定数あり、問題そのものの難易度に大きな違いはなかったと思います。

(2)合格点及び難易度

 ここ数年の短答式試験の合格点は165点~170点であり、大体、63%程度の正答率であれば、合格することができます。
平成28年司法試験の短答式試験の合格点は、175点満点、114点で約65%の得点率ですが、科目数が予備試験の方が多いことを考えると、予備試験の短答の方が難関です。
 また、一般教養科目は、得意でない人も多く(私もでした)、仮に30点しかとれなかった場合、法律科目で140点(66,7%)の得点をする必要があります。

2. 自身の勉強方法 

 短答式試験に関しては、過去問を繰り返し解き、過去問を解いたら、それに関係する条文、判例、基本書を読む、条文の素読といった方法を取っていました。
 また、新司法試験の過去問のみでは、網羅性が足りないと思っていたため、肢別本という旧司法試験及び新司法試験の4択の肢が体系ごとにまとめられている本を2回程度解きました。
 この本のいい点は、問題の網羅性及び体系ごとになっているため、自分の苦手分野が把握しやすい点です。

3. 反省点

 個人的に短答式試験は得意ではなかったです(予備試験合格した年の短答の点数は170点で合格最低点であったし、司法試験でも8割程度で約1580位でした)。
 短答式試験が得意な友人に聞いて判明した私の失敗点は、過去問を解いた後、条文、判例、予備校の解説などをさらっと読んでいて、深く理解しようとせず、沢山こなすことのみに集中していたことです。
 一方、高得点者は、復習をしっかりしていた点が印象的でした。

4. 司法試験短答式試験との関係

 関係としては、予備試験の方が上位互換であり、予備試験に受かった人で、司法試験の短答式試験に落ちたということはあまり聞いた事がないです。
予備試験の短答をきちんと行うことは、司法試験短答式試験対策としては最良の方法であると思います。
 また司法試験短答式試験科目には商法、刑事訴訟法、民事訴訟法、行政法がなく、この短答科目を勉強する事について、無駄と考える人もいるかもしれないですが、司法試験の論文で問われる知識も吸収でき、また条文に強くなるというメリットは、論文対策という点で意味があると思います。

 
 

第3 予備試験論文式試験の勉強方法

1. 予備試験論文式試験の特徴、注意点
(1)科目
  法律基本科目(短答試験と同じ7法、一科目50点満点、合計350点)
  実務系科目(民事実務科目、刑事実務科目 一科目50点満点、
  合計100点満点)
  一般教養科目(50点満点)

(2)合格点
 平成27年度は235点(47%)、平成28年は、245点(約50%)であり、各科目5割を取れば合格だが、教養が苦手な場合は、法律科目、実務科目で高得点を取る必要があります。

(3)注意点

 予備試験において、ロースクール生が得意とし、学部生が苦手とするのは実務科目です。
 学部中に実務科目を教えてもらう機会がないのに対し、ロー生は授業で習うため、根本的に実力の差が大きいです。
 そうすると、学部生が論文式試験を突破するためには、この点の強化は必須です。また、下4法(憲民刑以外)については、学部生が苦手にしがちであるので、十分な準備をする必要があります。

2. 自身の勉強方法

 これに関しては、正直に言うと、予備試験対策は全くしていなく、論文の過去問もさらっと見ただけで、解いたことがなかったです。
 普通に司法試験の論文の勉強をしていて、それが予備試験対策になっていたのだと思います。
 予備試験は司法試験を受けるための試験であり、司法試験に向けて正しい勉強をしていたら、特段の対策をしなくても合格できると思います。
 ただ、自分が予備試験に合格した理由を今、考えてみると、①自主ゼミの効果②ローの有効活用が大きかったと思います。

 ①自主ゼミの有効活用について

 私は、学部3年(平成23年)の10月から平成27年の3月まで毎週1,2回の自主ゼミを行っていました(合計で解いた問題数は、司法試験の問題72問を含む300問程度であったと思います)。
 自主ゼミとは、ある論文の問題をみんなで解いてきて、自分の答案を見せ合って、お互いのいいところ、悪いところを指摘し、模範的な答案(高得点答案)とは何かを検討することを指します(私個人の定義です)。
 自主ゼミを行うことで、①毎週論文を書ける(私は自分一人だとしない性格であったため)②自分の欠点、長所が分かる③他の人の良い点を学べることなどのメリットが大きかったと思います。
 私がこの自主ゼミを行うことで、自分の欠点を把握し、修正する機会を得られたことが成長につながったと思います。

 ②ローの授業の有効活用

 ローの授業は、事例問題を事前に配布し、それの解説を行うという形式が多いのですが、予習量の問題で、答案を実際に作成することまでしている人は少なかったと思います。
 しかし私は、論文を書く勉強をなるべく多くしたかったため、授業の際、必ず答案を作成するようにしていました。
 これにより、沢山の論文演習ができ、それが合格につながったと思います。
 また、解答を作成することで、ローの先生に、この授業の問題で、こういう解答はどうか、あてはめはどうかといった質問ができるようになり、ただ漫然と受けるよりは頭に入りやすく、意味のある授業を受けられたことも、成長につながったと思います。

3. 私が考える予備試験対策法及び反省点

 しかし、私はローの三年時の合格であり、皆さんが学部時代又はローの2年時の合格を考えられている以上、司法試験対策をしていたら受かったという上記の方法というのはあまり参考にならないと思いますので、私なりの予備試験の勉強方法について、意見を述べたいと思います。
それは、早いうち(学部1年、2年時)から論文を書き、添削を受け、自主ゼミを始めることです。
 早いうちから、書く勉強をすることで、合格に必要な能力を把握し、それに必要十分な勉強をすることができ、早期合格ができると思います。
 逆に知識がないのに書くこと、他人に見せることが怖いと思っていると、漫然と本を読むだけで、点数に結びつく勉強が足りず、無駄な勉強になります(学部3年10月までの私がそうでした)。
 逆に、私の友人で、予備を利用し、早期合格した人たちは皆、1年時から論文を書き、添削を受けていました。
 ですので、皆様が早期合格を目指すのであれば、早いうちから論文を解く練習をした方がいいと思います。

4. 司法試験論文式試験との違い

  予備試験は司法試験を受けるための試験であり、問われる能力は基本的に同じです。
しかし、司法試験の方が、①あてはめ能力を要求される②メリハリをつける必要が大きい(答案の分量が2倍のため、論ずる内容が多く、バランスを間違えやすい)という特徴があります。

 
 

第4 口述試験の勉強方法

 この試験は、民事、刑事について、口頭で質問を受け、回答する試験であり、合格率は90%程度です。基本的には論文試験に合格した後、予備校の模試や辰巳法律研究所が出版している法律実務基礎科目ハンドブック刑事、民事(過去問の再現集が掲載されている)で対策すれば十分です。

 
 

第5 予備試験対策(司法試験対策)となる参考書

1. 問題集について(総論) 
勉強初期段階は辰巳法律研究所のえんしゅう本シリーズがオススメ。分野の網羅性、問題の分量、難易度的にちょうどいい。ロースクール入試試験の過去問を解いてもいい。
 勉強が進んできたら、予備試験の過去問を解くといい。その際には高得点者のいい点をまねるために、予備校の分析本(司法試験予備試験 論文本試験 科目別・A答案再現&ぶんせき本、辰巳法律研究所発行など)を問題解いた後で、見るといい。
 
2. 憲法
 基本書 芦部憲法(岩波書店)、憲法学読本(有斐閣)、基本憲法(木下)
 判例集 百選(有斐閣)
 演習本 判例から考える憲法(但し、この本はえんしゅう本、基本書、百選をやり終わり、ある程度書けるようになった後によむのがオススメ。)
 参考書 憲法の急所(羽鳥書店)、憲法の権利の作法(小山剛著)
 
3. 民法
(1)基本書

 総則   佐久間毅 民法の基礎1
 物権   佐久間毅 民法の基礎2
 担保物権 松井宏興 担保物権法
 債権総論 中田裕康 債権総論
 債権各論 潮見佳男 債権各論Ⅰ
 不法行為 窪田充見 不法行為法、潮見佳男 債権各論Ⅱ 不法行為法
 親族相続 リーガルクエストⅥ
(2)判例集 民法判例百選ⅠⅡⅢ
(3)演習本(辰巳のえんしゅう本が終わった後が望ましい。)
 事例で学ぶ民法演習 松久他 
 基本事例で考える民法演習1、2 池田清治
 
4. 刑法
 基本書 
 総論 基本刑法Ⅰ(大塚他)、刑法総論講義案など 
 各論 基本刑法Ⅱ (大塚他)、リーガルクエスト刑法各論
 一冊ならば、山口厚の青い「刑法」(注、1冊の方である。)
 判例集 刑法判例百選Ⅰ、Ⅱ、重要判例250など
 問題集 勉強が相当進んできたら、事例演習教材刑法であるが、初期はえんしゅう本か、予備試験、ローの過去問でいい。
 
5. 商法(主に会社法)
 基本書 リーガルクエスト会社法 
 判例集 会社法判例百選 
 問題集 初期段階は、えんしゅう本などの他には、ロースクール演習会社法がオススメ。勉強が進んできたら、事例から考える会社法。
 
6. 刑事訴訟法 
 基本書 リーガルクエスト刑事訴訟法、「刑事訴訟法」酒巻
 判例集 刑事訴訟法判例百選
 問題集 事例演習刑事訴訟法 古江
 
7. 民事訴訟法 
 基本書 有斐閣アルマ、リーガルクエスト(ちょっと厚い)
 判例集 民事訴訟法判例百選 
 問題集 基礎演習民事訴訟法
 
8. 行政法
 基本書 基本行政法 中原
 判例集 行政法判例百選、ケースブック行政法
 問題集 事例研究行政法、事案解析の作法
 
9. 実務系科目
(1)民事、刑事共通 
   民事裁判実務 刑事裁判実務の基礎(江口その他)
(2)民事 
   新問題研究要件事実、紛争類型別の要件事実、完全講義 民事裁判実務の基礎
(3)刑事
   刑事事実認定入門又は法律実務基礎科目ハンドブック刑事

 

第6 予備試験早期受験のチャレンジの重要性

 最後に、早いうちから予備試験に挑戦することが、早期合格への一番の近道であり、司法試験早期合格への近道です。
 皆さんが早期に予備試験に合格し、司法試験を通り、同じ明治出身の法律家になれることを望んでいます。

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