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合格体験記 私の司法試験合格法

橋本 幸太

1.経歴

出身大学 明治大学法学部法律学科
2016年 明治大学法科大学院(既習コース)入学
2018年 明治大学法科大学院(既習コース)修了
2018年 司法試験不合格(短答は合格)
2019年 司法試験合格

 
 

2.はじめに

 おそらく、司法試験の合格を目指す人すべてが、どのように勉強をすれば受かるのか?と悩んでいると思います。合格するための方法は色々あると思うので、自分にあった合格方法を見つけるのは難しいです。また、合格して初めて、今までしてきた勉強方法に間違いが無かったのだと確信することができるので、悩むことは当然だと思います。
 私自身も、司法試験に一回落ちているので、とても勉強方法には悩みました。
 そこで、これをご覧になっている受験生の参考になるとは限りませんが、私自身の勉強方法が悩んでいる皆様の助けに少しでもなれば良いと考え、今回、合格体験記の執筆をしようと思いました。

 

 

3.法曹志望の理由

 大学の3年生の時、私は進路を選択する上で、就活か進学を迷っていました。しかし、せっかく縁あって法学部に入り、法律の勉強をする機会に恵まれたのであるから、これを将来において活用したいと考えるようになりました。また、学部のゼミで裁判傍聴をする機会があり、弁護士の方々の活躍する現場を見たことで、自分も弁護士になって活躍したいと強く思うようになりました。
 そこで、学部の3年時から弁護士を目指して勉強を始め、まずは法科大学院を目指すことにしました。

 

 

4.短答式の勉強方法
⑴ 私は、1回目の受験のときは、135点(1020位)で通過し、2回目は142点(460位)で通過しました。短答は、一定の範囲まではやればやるだけ伸びるとは思いますが、勝負は論文なので、程々の勉強に留めておくのがベターです。しかし、短答の点数は、論文の点数がボーダーラインにいる人にとっては大きな意味を持つので、全く対策をしないというのは、問題があります。

 

⑵ まず、短答3科目すべてに共通することは、過去問が重要であるということです。なので、まず、新司法試験の過去問のすべてについて、一通り解くということが必要です。解き方としては、辰巳出版の本を使用し、最初は時間を計るといったことはせず、脚の全てにつき、〇か×かの判定(理由も含めて)をしました。そして、判定できなかった脚、不安な脚についてのみ、チェックをしました。そして、一通り短答の過去問を回したら、チェックした脚のみを重点的に復習しました(解説を読んだり、基本書・判例本の該当箇所の解説を読んだり)。目標としては全ての過去問について、8割~9割の正答率(設問単位、脚単位)を目指していました。これをクリアすれば、論文の勉強を並行している方々が短答で足切りに遭うことはまずないと思います。

 

⑶ 次に、短答で7割、8割を目指して、他の受験生と短答レベルで差をつけたいという人もいると思います。その場合、私は以下の対策をプラスして行いました。それは、条文の素読、TKCの基礎力確認テスト、判例百選の通読(事案を軽くみて、主に判旨の結論部分のみ)、過去5年の重要判例解説の最高裁判例のみ確認、です。後は、TKCの模試などで、自らの実力や時間感覚を確かめていました。

 

⑷ 最後に、短答は年が明けた1月から行えば間に合う…と言う人がいますが、これは短答プロパーの対策という意味だと私は思っています。短答は毎日決まった時間行うことで定着していくと思うので、直前期にプロパー(憲法の統治など)の詰込みをすることはよいと思いますが、対策を遅らせることは間違いだと思います。また、直前期に、論文の勉強に多くの時間を費やすためにも、電車の中・寝る前などの時間を用いて、短答の勉強はコンスタントにするべきです。

 

 

5.論文式の勉強方法
⑴ 論文は、基本的に、新司・予備試験・旧司の過去問を書きました。その際に、自分の起案した答案を人に見てもらうことをしました。これは、1回目の受験の時には怠っていたことであって、一番大事なことです。私は、答案を人に見てもらうことが恥ずかしくて、あまりしていませんでした。しかし、それでは第三者が答案を見てどう思うか、という点が欠けてしまいます。答案は自分で採点するものではなく、司法試験委員会の採点者が行います。ですから、人が読んでわかる答案でなければならないことは言うまでもないので、答案を人に見てもらう機会を増やすことを強くお勧めします。

 

⑵ 次に、答案を書くにあたっては、時間、文字数、文字の大きさ、ナンバリング、見出し、三段論法といった形式面を注意するのはもちろん、司法試験委員会の方々は何を書いてほしいのか、どこにどれだけ点数が振られているのだろうか、ここはみんなが書けた記述なのか、受験生のレベルはどの程度だったか、という点についても検討しました。例えば、「過失」を基礎づける事実が多く問題文に記載されていれば、ここに点数が振られているし、ここを厚く書いてほしいというメッセージでもあり、そのことが出題趣旨で言及されていればなおさら書かねばなりません。

 

⑶ また、出題趣旨や採点実感を読むことでわかりますが、受験生のレベルはそんなに高くありません。ということは、上記の点について、検討し、それを自らが受験する時にも生かすことで、他の受験生に差をつけることができます。

 

⑷ 最後に、論文を書くにあたってはテクニックのみでなく、最低限の知識(基礎的な知識)はもちろん必要です。それは、辰巳の趣旨規範ハンドブック程度で足りると思います。私自身、発展した知識は多く持ち合わせていないのですが、それでも受かったということは、基礎的な知識・他の受験生が必ず知っている知識のみで、必要十分であることを示しています。
 もう少し付言すると、司法試験は知識の量を確認する試験ではないと思います。すなわち、基礎的な最低限の知識をマスターしたこと前提として、未知の問題に対してどれだけくらいついていけるかを試している試験だと思います。すると、ここで不味いのは、司法試験の問題に対して、自分に蓄積された知識に寄せて書いてしまうことです。これでは自分の知識等を答案上に作文しただけで、点数が伸びず、不合格に繋がってしまいます。このようなパターンに陥りがちな人は、「そもそも基礎的な知識が不足している人」、「基礎的な知識がしっかりしていないにも関わらず、過度に応用的な知識を探求している人(基礎的な知識はあった上で、過度に応用的な知識も多く持ち合わせている場合も含む)」、「基本論点のストックは多いけれど、司法試験の過去問の検討が不足しているため、司法試験委員会の求める適切な論述ができない人」、だと思います。上記のパターンに当てはまりそうな方がいたのなら、論文の勉強方法を変えることをお勧めします。

 

 

6 使用教材

 基本的には、新司法試験・旧司法試験・予備試験の過去問を使用していました。
また、基本書についても刑訴以外は使用していました。基本書については使用せず、予備校本を使用する人もいると思いますが、それが自分に合えば問題ないと思います。他方で、基本書を使用する人は、受験生に定評のあるものや自分に合ったものを使用すれば、問題ありません。
 以下、私が補完的に使用した教材(―基本書以外で、辞書代わりに使用していたものも含む―)で、役に立ったと思うものを紹介します。
 
<憲法>
憲法ガール
判例から考える憲法
「憲法上の権利」の作法
 
<行政法>
実戦演習 行政法―予備試験問題を素材にして
基礎演習 行政法
 
<民法>
Newえんしゅう本 3民法
 
<商法>
ロープラクティス
Newえんしゅう本 4商法
 
<民事訴訟法>
ロープラクティス
解析 民事訴訟 第2版
 
<刑法>
刑法事例演習教材 第2版
 
<刑事訴訟法>
事例演習刑事訴訟法 第2版
事例研究 刑事法Ⅱ 刑事訴訟法 第2版
エクササイズ刑事訴訟法
 
<全科目共通>
判例百選

 

 

7 終わりに

 司法試験は、誰もが受かる試験ですから安心してください。ただし、努力の方向性を間違えると合格するまで年数をかけることになってしまうと思います。私も、皆さんと同じように不安や悩みを抱えていた受験生でしたので、一般の受験生の気持ちはよくわかります。しかし、合格に向けて、自分に合った方法を見つけることで必ず合格できます。受験生の皆さんの健闘を祈っております。

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