合格体験記
山田 英典
明治大学法学部法律学科2012年度卒
慶應義塾大学大学院法務研究科2014年度卒
1、はじめに
私は、平成27年度の司法試験に合格した山田英典と申します。
平成26年度の司法試験は不合格となり、2回目の挑戦で合格できました。
私の体験談で明治大学の学生の皆さんに少しでも貢献できればと考え、体験記を執筆致しました。
2、1回目の受験
私は、1回目の受験は過去問をほとんど解きませんでした。同じ問題は出ないだろうと安易に考えていたからです。その結果、過去問の演習をせず、2時間計って答案を書くこともほとんどないまま受験の日を迎えました。
結果はいうまでもありませんが、落ちました。短答は4300位、論文は3600位、総合3600位とひどいものでした。合格に必要な点数まで130点近くあり、初めて成績通知書を見たときは眩暈がしたことを覚えています。
3、敗因分析
それでは、自分はなぜ落ちたのか。9月はその敗因を分析することに使いました(1回目の司法試験後は当然のように遊んでいたため、再現答案は作っておらず、法律の勉強もしていなかったため、久しぶりの法律の勉強には苦労しました)。
私の敗因は、①論文の書き方がまずい②短答の点数が低い③過去問演習が不足している、というように3つありました。この敗因を把握でき、克服できたからこそ合格につながったのだと思います。
①論文の書き方について
初回の受験に失敗し,その後,合格を果たした先輩方の意見を参考に、再現答案を作ることにしました(再現できない部分もあったため、9月現在の実力で書いた答案も再現答案ということにします)。
その答案を合格者の同期や友人、自分で読むうちに自分の答案の問題点に気付いてきました。
・設問に答えていない
・三段論法が守れていない
・規範に理由がない
・事実を評価しておらず、事実を羅列しただけになっている
さすがにこれだけ問題点があれば落ちるだろうなと自分で納得しました。ただ、これらは自分の意識次第でなんとかなります。過去問演習が圧倒的に足りてない私は、平成20年から26年までは全科目3回ずつ時間を計って書くと決めていたので、最低でも週5通は答案を書くことにしました。答案を書く際には、自分の問題点を意識しながら書くことを心掛けました。そして、自分が書いた答案を読みなおしたり、友人に読んでもらい、上記の問題点の克服に努めました。
②短答の点数について
短答落ちすれば、論文を採点してもらえません。また、周りの合格者は短答で好成績を修めているので、短答の点数アップが合格につながると考えました。
1回目は、早稲田セミナーの短答過去問集を回していました。解説があっさりしており、読むのが楽だったからです。また、消去法で問題を解き正解した問題はやらなかったことも多かったです。しかし、この勉強方法は間違っていました。消去法で正解したつもりになっていると(もちろん本番では消去法は大活躍するのですが)、肢の知識が定着せず点数が安定しないことに気付きました。
そこで、2回目の受験では辰巳の肢別本を使い、司法試験で聞かれる肢を完璧にするつもりで勉強しました。1週間で1冊回せば、1月で4冊つまり1か月で3科目の短答の勉強ができると考え、最後まで1週間で1冊のペースは守りました。肢別本を回す際には、◎→次も正解できる、○→まあ正解するでしょ、×→理由がわからないorまったくわからない、で分類し、肢別本にチェックをつけました。分類することで試験前に効率よく復習するためです。ゴールが司法試験であるため、×は厳格につけるよう心掛けていました。
③過去問演習について
司法試験で同じ問題がでないということはなく、同じ問題が形を変え何回も聞かれます。過去問演習をやらずに司法試験に突撃することも自由ですが、高確率で私のように1年間浪人することになるのでおすすめしません。必ず時間を計って解いてください。本番が2時間の試験なので、練習も本番を想定して行うことで時間感覚が身につきます。
そして、司法試験に落ちてから過去問演習を始め各科目3回解く場合、週に5通くらい答案を書かないといけなくなります。過去問演習はロースクール2年生の段階から計画的に行うことをおすすめします。
また、過去問演習をやる際には、出題の趣旨・採点実感の分析を行ってください。出題の趣旨・採点実感は採点官がどういうことを考えているのか分かるツールのようなものです。ぜひ印刷し熟読してください。優秀答案がなぜ評価されているのかの分析も行うとベターです。司法試験は点数をとるゲームのようなものですから、どういうことを書けば点数になるのかの分析は必須です(その意味で、出題の趣旨、採点実感、優秀答案の分析を合わせて行うといいと思います)。
そして、週に5通答案を書き,肢別本を週に1冊やるとすると、1週間のうち残された時間は多くありません。そこで、私は、過去問を解きわからない部分を判例百選や基本書に立ち返りその都度インプットしていました。受験生一般がやるような問題集は手をつけませんでした。優先度は、過去問>>>問題集と考えていたからです。
また、基本書もほとんど読みませんでした。その代り、判例百選は丁寧に読むよう心掛けました。司法試験でささいな学説が聞かれることはほとんどなく、仮に聞かれたとしても誘導が入るので、優先すべきは判例百選>基本書と考えました。
その結果、司法試験に落ちてからやった勉強は、過去問分析(短答含む)、判例百選が9割くらいです。残りの1割は、趣旨規範ハンドブックを用いたインプットです。
4、最後に
合格者の勉強方法は様々で、イレギュラーな勉強方法をとっている方もいるかもしれません(もちろん、私もそうかもしれません)。これを読んでいる方は、合格者の言っていること全部を鵜呑みにせず、合格者の勉強方法の中で自分に合っているものを探したり、共通項を探したりしてください。
皆さんが合格できるよう応援しています。