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合格体験記 私の司法試験合格法

岩崎 優貴
明治大学法科大学院2012年卒業

1 自己紹介

私は、早稲田大学政治経済学部を卒業した後、数年してから、明治大学法科大学院に既修者コースで入学しました。それまで法律を学んだことはなかったため、予備校の基礎講座を通信(DVD)で半年ほど受講しましたが、単に短答的な知識を詰め込むだけで、答案を書くという作業は1回もしたことがなく、また、六法を開いた回数も3回ほどでした。どうにか入試はパスできたものの、そのような有様でしたので、既修者コース入学後に初めて迎えた期末試験では、GPAが0点台で、実質的に学年最下位でした。そのような所からのスタートであることをご了解いただいた上で、以下をお読みいただければ幸いです。

2 短答式の勉強方法

 ⑴ 総論

 短答式試験は、現在、憲民刑の3科目となりました。しかし、その趣旨は受験生の負担軽減にあるようですので、過度に細かい知識を問うということはないと思います。そのため、受験者平均点が上がり、結果として、合格基準点(いわゆる足切り点)が上昇するものと思います。このように、短答式の平均レベルが上がれば上がるほど、「よくできたとしても差はつかず、逆に、出来が悪ければ一気に成績が相対的に落ち込む」という状態になります。そのため、短答式の勉強をする際は、その程度のものという認識を持ち、あまり短答式の勉強に注力しすぎないことが必要です。そのためには、過去問を数回回し、出やすい条文知識等を抽出します。その後の短答対策の効率が格段に上がります。なお、その際には、予備校等から出版されている過去問集を買い、解説を通覧して出題条文等を追っていくのが楽です。お金で時間を買うわけです。

 ⑵ 民法

 民法は、5肢から正しい(又は誤っている)肢2つの組み合わせを問う問題がメインです。すなわち、5肢の中から、3肢だけ確実に正誤が判れば、その問題で点を取ることができます。そのため、過度に細かい知識よりも、ある項目(基本書等の目次単位で良い)の中で、何が重要な知識なのかを判別し、そこで重要と判断した知識だけを絶対確実にモノにするという方針が良いと思います。
もっとも、複数の基本書を通覧しなければ、何が重要な知識であるのかを判別することは困難です。他方、そのようなことをしている時間もありません。そこで、私は、東京リーガルマインドという会社から出ている「完全整理 択一六法 民法」を購入し、そこに重要事項として書かれている青字、太字の部分を押さえていきました。類書は他の予備校からも出ていますが、民法に関しては同書が1番見やすくかつハンディなサイズだったため、私はそれを選びました。このように、予備校本等を利用して浅く広く知識を詰めていくのが良いと思います。

 ⑶ 憲法

 憲法は、いわゆる12問題と〇×の8択問題がありますが、いずれも、1問につき3肢があり、各肢ごとの正誤を問うという点で、その実質は同じです。もっとも、8択問題については3肢すべての正誤を正確に答えられなければ得点にならないため、民法のようにファジイな知識では厳しい戦いを強いられます。そのため、判例百選で重要な事件から順に事案と判旨を正確に覚えていきます。その際、具体的な事件名が付いている判例が重要度を図るひとつの基準になると思います。

 ⑷ 刑法

 刑法は、論文と短答で必要となる知識に重なり合いがあるように思います。そのため、短答プロパーの知識を特に詰めていくという作業は、他の科目に比べて少ないです。私は、「刑法」(山口厚 著)からの出題が心なしか多いように感じているので、同書で紹介されている判例知識に下線部でも引いておいて、何回か確認すればよいと思います。刑法総則やマイナーな罪の知識等、深みに嵌まっていくおそれもありますので、その辺りは過去問で確認した上、出題履歴のない分野は放置することが必要です。

 ⑸ まとめ

 以上が短答の勉強法ですが、冒頭で述べた通り、いかに少ない労力で最大の効果をあげられるかがキモになってきます。判例六法を読み込んでいくというやり方もあろうかと思いますが、往々にして無駄が生じるおそれがありますので、確認する知識としない知識を、過去問での出題傾向を踏まえたうえで選別していって下さい。
3 論文の勉強方法

 ⑴ 総論

 論文問題は、基礎知識の深い理解と、法的なものの考え方と、それを的確に答案上に示すことができるかどうかがキモになると思います。そのためには、法律用語(例えば「占有」や「既判力」等)を、一般用語に置き換えて説明してみたり、日常生活で生じる問題(昼食を何にするか等)を三段論法で考えてみたりすることが有効だろうと思います。

 ⑵ 民事系

 民法は、その範囲は広いものの、問題となる条文を示し、要件を並べ、それが充たされるかを1つずつ検討すれば足ります。その際、行間を読ませることなく、淡々と思考を示すことができるよう練習する必要があります。また、民法では既存の論点とは言い難い問題がよく登場しますので、私は、考え方のヒントが得られるよう、基本書の、各分野(例えば、「物権」等)の冒頭部分を読んでいました。さらに、民法の設問3は、不法行為又は親族・相続の分野から登場することが過去にあったため、それらの基本論点を押さえ、設問3だけはしっかり点を取れるよう準備していました。

 商法(実際は会社法ですが)は、ある事柄が何条に規定されているかを押さえ、その上で、大まかで結構ですので(問題文を読んだ時に違和感を覚えられる程度)、手続を押さえておきました。その他の典型論点については基本書や答練等で1つずつ、理由をつけて規範を立て、結論を出せるようにしていきました。会社法では、学者の間でも見解が分かれるような問題もありますが、そのような問題が出題されることはないでしょうし、仮に出たとしても、何が正しいという結果はない以上、基本書等に書かれている程度のことをサラッと書いておけば十分です。

 民事訴訟法は、定義や制度趣旨を1つずつ調べて覚えていく必要があります。その上で、判例の事案と判旨をよく読み、理解していけばよいと思います。理論的に高度なことが出てくる科目だとは思いますが、司法試験は相対試験ですので、あまりドツボに嵌ることなく、概念の定義、制度趣旨を忘れないよう何回も繰り返していけばよいでしょう。ここ数年間、判例の射程を問うような問題が続きましたが、その傾向はいつまで続くかはわかりませんし、民事訴訟法では修習生との会話によるヒントが出ますので、その会話をヒントとして活用できる程度の基礎知識が身についていればそれで十分だと思って、私は勉強をしていました。

 民事系全般としては、考えたことを素直に答案に書くことが重要だと思います。もちろん、考え方そのものに問題があれば点にはならないでしょうが、条文から趣旨を考え、規範を立て、あてはめるという姿勢があれば十分だと思います。無理に難しい理論を書くよりも、単純な考え方でもよいので、論理の飛躍がないように丁寧に答案に考え方を示すことができるよう意識すると良いと思います。

 ⑶ 公法系

 憲法は、答案の書き方がやや特殊ではありますが、判例の事案と判旨を押さえ、問題文を読んだときに何の事件と似ているかが分かるようになると高得点は近いと思います。その上で、原告の主張パターンである、自己の権利・自由が憲法上保障されていること、それが本件では制約されていること、その制約は違憲審査基準に照らしてみても違憲という結論になることを主張するという「型」が出来れば良いでしょう。なお、踏み込んだ話になりますが、メインは私見ですので、原告・被告で時間を使ってしまわないように注意して下さい。憲法は、他の科目に比べて採点実感の重要性が高いように感じます。そのため、必ず採点実感は何度も読み、どういう答案がダメな答案と評価され、良い答案と評価されるのか、その辺りの勘所を養って下さい。私は、ある権利や自由について、判例がどういう言い回しをしているのか調べ、それをそのまま答案で使うようにストックしていました。

 行政法は、近年、基本書の目次や索引で登場するような概念の理解が、そのまま答案の出来に直結するような出題になっているようです。もっとも、概念の理解が点になるというよりは、正しく理解していないことが、相対的に沈む答案になっていく要因となるような作りのように思えます。そのため、いわゆる「法律による行政の原理」の部分から、ひとつずつ行政法の概念を押さえておく必要があります。私は、この点をしっかりと学習しなかったため行政法に苦手意識がありましたが、これらを意識して覚えていくと、初見の個別法に対しても切り込み方が浮かんだりします。また、行政法の特徴として、いわゆる誘導と呼ばれる、法律事務所での会話録が付されています。この誘導に乗れるかどうかで点数は大きく変わりますが、上記概念の理解が不足していると、その会話録が誘導にならず、結果として、大きく点数が下がります。そのため、何度も言いますが、行政法総論で登場する各概念をしっかりと理解しておいてください。

 ⑷ 刑事系

 刑法は、まず、各罪の構成要件を暗記します。その上で、各構成要件の定義を覚え、判例の事案と結論を覚えて、あてはめを誤らないようにします。私は「条解」で、定義を暗記し、判例の結論を覚えていきました。総論は、構成要件、違法性阻却事由、責任阻却事由の検討順序を誤らないようにすること(構成要件該当性を一言も論じずに正当防衛等の検討を始めないように!)、各事由としてどのようなものがあるのかを覚えること、その他基本的な論点を押さえていきます。学説は百家争鳴ですが、少なくとも判例はどうなのか、通説はどうなのかを、確実に覚える必要があります。

 刑事訴訟法は、百選で、論点と規範、あてはめを覚えます。なぜそのような規範を定立するのかという理論的な部分と、規範のあてはめの仕方等を覚えます。実務家(特に判事)の解説が参考になると思います。私は①「令状基本問題」、②「令状に関する実務と理論ⅠⅡ」、③「実例刑事訴訟法ⅠⅡⅢ」などを好きで読んでいましたが、司法試験の受験上は必須ではありませんでした。「刑事訴訟法の争点」があると便利かもしれません。なお、勾留に関しては手薄になりがちですが、②は勾留に関する論点が豊富に紹介されているため、余裕があれば読んでおくと安心感が得られます。

 刑事系は、一般的にあてはめが重要だと言われています。しかし、それも結局は、あてはめの元となる規範自体をどれだけ正確に理解できているかということに尽きますし、規範の正確な理解も、なぜその規範が定立されたのかということ、すなわち規範定立の理由づけの理解に尽きると思います。そのため、事実に対する評価というのも、単にその規範定立の理由にかなったものかどうかということを答えれば良いだけです。これは、なかなか基本書等で明言されているものではありませんが、判例の事案と結論を確認して、逆算して考えていけばある程度は考え付くと思います。

 ⑸ 選択科目

 私は労働法選択でした。労働法は、判例を覚えることが重要だと言われています。確かにその通りですが、それは規範を覚えるだけではありません。事案を覚え、判例の考えの枠組みないし順序を理解し、それを初見の問題で正確に適用することが出来なければなりません。また、労働法で合格点を取るには、判例だけではなく、労基法を中心とした、条文知識も必要です。判例学習で登場した条文から徐々にその条文知識の範囲を広げていけば良いと思います。
4 その他

以上が、私なりのアドバイスですが、周囲を見てみると、毎日必ず一定の時間は勉強するという人が早期合格を果たしたように思います。量をこなすだけではダメですが、量が無ければいくら質が良くてもその意義は乏しいものになります。また、勉強の質は、量をこなす中から経験則によって向上するものです。睡眠・食事以外のすべての時間を勉強に充てて、合格に向けてがんばって下さい。

以上

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