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合格体験記 私の司法試験合格法

外山大地

1、経歴

私は、2015年に明治大学法科大学院・既修コースを卒業し、同年に司法試験に合格しました。
そこで、この体験記では、私がとっていた学校の授業の活用方法をお話させていただいた後に、司法試験の具体的な勉強法をお伝えします。

2、大学院での授業

大学院の授業は、司法試験に直接役に立つものもありますが、ロースクールが実務家養成機関である等の理由から、司法試験に直結する授業ばかりとは限りません。
そこで、以下授業と司法試験の勉強の両立を中心にお話させていきます。
(1)2年次(1年目)
大学院1年目は、どの授業もとにかく課題が多いという印象を受けました。したがって、この年は、がっつり司法試験の勉強はできず課題に追われる毎日でした。
そこで、1年目は思い切って、知識のインプットと論文の過去問(18年~25年)を知る年と割りきりました(無論期末テスト対策等のアウトプットは必要)。
ア、知識のインプット
授業では、百選にでてくる判例を中心とした演習が行われます。そして、司法試験は百選の知識を習得したことを前提に問題が出題されるので、百選の知識は必須といえます。
そこで、授業の予習・復習をしっかりと行うことにより、知識のインプットを行っていました。特に、復習段階では、後述する論証ノートを作成することにより、期末テスト対策のみならず司法試験対策にもなっていました。
イ、司法試験を知る
今後どのような勉強をしていくかを考える上で、過去問の検討は不可欠です。なぜなら、過去問を検討しなければ、司法試験において要求されている知識を把握することはできず、どのような勉強をしていくか確立していくのは不可能といえるからです。
もっとも、過去問の検討と一言でいってもその態様は様々といえます。例えば、2時間図って本番さながらのように解く方法や時間無制限でじっくり解く方法等です。
上記の通り、私は既修コースで法律初学者でありませんでしたが、1年目で2時間内に司法試験の問題を解くほどの力はありませんでした。また、この時期はインプットの期間と割りきっていたので、2時間で解けるレベルにまで持っていく予定もありませんでした。
そこで、私は時間無制限で参考書や出題趣旨等を見ながら答案を作成するという方法で過去問を検討しました。この方法は、上記の通り勉強法を確立するために司法試験で要求される知識を把握するために、最も適していると考えます。
具体的な検討方法ですが、まず、何も見ずに答案構成をします。ただし、知識がない状態ですので、わからない問題は悩まずに簡単に済ませます。次に、出題趣旨を見ます。この出題趣旨を見て完全な答案構成を行います。そうすることによって、司法試験でどのレベルの知識が要求されているか明確になります。そして、答案構成が終了したら、今度は答案構成に依拠して答案を作成します。その際、理解できない知識が少なからずでてくるので基本書等で調べ理解したうえで書きます。最後に、作成した答案が採点実感にどれだけそって書かれているかを検討します。
以上の方法によれば、自分に何が足りないか明確になります。すなわち、基本書で調べている中で初見の知識が多いということは圧倒的に知識が足りていないということになり、逆に一度以上見たことがあるが書けなかった場合は書けるレベルにまで達していないということが明らかになります。また、この方法によれば司法試験で要求されるのは百選レベルのものが多いことにも気づくと思います。
以上をふまえて、勉強の指針を考える上で、早い時期に過去問に目を通すことをおすすめします。
(2)3年次 (2年目)
2年目は必修科目(選択必修も含む)が3科目しかなく、自分で授業の選択はある程度決定できます。したがって、授業を多く受講するか最低限度受講するかは人それぞれといえます。私は、前者タイプでしたので授業を多くとった場合の勉強について述べさせていただきます。
私は、聴講を含めて司法試験で要求される8科目を授業で触れるようにしました。その理由は、全く触れない科目をなくしたかったからです。
また、授業は自分で選択できる点から、苦手科目を克服するのにも適していると考えます。私は、会社法に苦手意識を持っていたことから、前期・後期通して会社法の授業を受講していました。
以上をふまえると、私は、授業をペースメーカーに使うのと苦手科目を克服するために使用するといいと考えます。

3、司法試験の勉強法

(1)短答
私は、短答対策として、解説付き過去問集(早稲田セミナー出版)と「条文・判例本」(辰巳法律事務所出版)を使用していました。
まず、過去問の使い方についてです。私は、過去問を3回回したのですが、やり方を工夫していました。①最初に体系別を1週し、②次に年度別を1週し、③最後に再度体系別を解くといった方法です。
①の段階では、肢一つ一つを検討し、解説と条文・判例本の該当箇所を逐一読みました。短答が3科目になったとはいえ、このやり方は時間がかかるかと思いますが、体系別は似たような問題が続けで出題されることが多いので、全科目3ヶ月程度あれば1週することができます。
②の段階では、時間を図って年度別の問題を解きます。年度別は、体系別とは異なり、様々なジャンルの問題を網羅的に出題しているので、①段階の総復習として使えます。また、②段階では実際時間を図って解いていき、時間感覚も養うこともできます。
③の段階では、①と同様のやり方で体系別で解いていきます。ただし、①段階と比べて正解数は格段に上がるはずなので、3科目1、2ヶ月程度でこなせると思います。そして、解いて丸付けをした後に、間違えた肢の横にマークしてどの肢を間違えたか分かるようにすることをおすすめします。③段階目で間違える肢は、3回もやっているのに間違えている可能性が高く、自分の弱点となる肢であり、直前期に見直せるようにするためです。
以上のように、短答対策は複数回過去問を解くことが重要であるといえます。
(2)論文
ア、公法系
まず、憲法は答案の型をしっかりと確立することと事実を拾い評価することが重要な科目であると考えます。
まず、私は「憲法の急所」(著:木村草太)を使って自分なりの答案の型を確立していきました。実際に答案を作成しなければ、憲法の答案の型はイメージできないと思いますので、答案を作成していました。また、人権ごとに考えられる主張・反論パターンノートを作成していました。これを作成し覚えることで、わからない問題に遭遇した時に、主張・反論パターンノートに記載されていることを思い出せば、何とか憲法の答案を起案することができました。
そして、事実を拾って評価できているか否かは、起案した答案を他人に見てもらい指摘してもらいました。事実を拾うことや評価できているか否かは、自分が思っている以上にできていないことが多いので、他人に指摘してもらうことは重要であると考えます。
次に、行政法については論証ノートの作成と「事例研究 行政法」(日本評論社出版)の起案を行っていました。
論証ノートは基本的な論点について、どのように書いていくかをまとめたノートであり、演習等を行った後に復習として作成することで、復習のみならず直前期に見直せるノートが完成しました。
イ、民事系
民事系3科目は、どれも百選レベルの知識を得ることが再優先であると考えたので、「ロープラクティス」(商事法務出版)を使って起案していきました。このテキストは、百選の中でも重要な事例をベースに問題が作成されているので、百選の知識を習得するには丁度いい演習書だと思います。そして、復習をする際には論証ノートを作成していました。
特に、民法に関しては百選の量は膨大であり、全てを潰すことは非常に骨が折れる作業であるので、演習書を使ってメリハリのある勉強をするのに適しているといえます。
ウ、刑事系
刑法は、「刑法事例演習」(有斐閣出版)を使用していました。これも上記の「ロープラクティス」と同様に、百選ベースで問題が作成されていることや解説も充実していることから非常に有用なテキストであるといえます。そして、復習として論証ノートを作成していました。
もっとも、刑法は学説が特に錯綜している科目でもあります。そこで、論証ノートを作成する際は、自分が採用する説をまとめるだけでなく、他の説も簡単にまとめることをおすすめします。こうすることで、混乱を防ぎ、短答対策にもなるからです。
刑事訴訟法は、2年次に受けた刑事訴訟法演習の授業の予習・復習をすることでインプットをしました。また、刑事訴訟法は、事実を多く拾い評価することが必要となるので、過去問等を利用して演習をつむ、他人にみてもらうことが重要であると考えます。

4、その他

勉強以外で気を使っていたことは、健康面でした。やはり、直前期は精神的にも追い込まれる時期であり、その上体調を崩してしまうと勉強どころではなくなります。
そこで、私は、週に2、3回夜に運動をするようにしていました。運動をすることで体力面の向上はもとより、気分転換にもなるのでおすすめします。
最後になりましたが、分からない問題が出題されても、事実に一生懸命食らいつき、最後の最後まであきらめないことを心がければ道は開けると思います。みなさまのご健闘をお祈りしております。
以上

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