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私の司法試験合格法

K.F
2012年(平成24年3月)
明治大学法科大学院卒業

(1)経歴及び法曹を志望した動機

 私は,平成22年4月に明治大学法科大学院に入学し,平成24年3月に同大学院を卒業しました。司法試験の受験回数は,4回です。平成27年司法試験の成績は,論文式354番,短答式3479番,総合444番でした。
 私が,法曹を志望した動機は,弁護士過疎地域で育ち,弁護士の必要性を強く感じたためです。そのため,弁護士過疎地域で働くことのできる弁護士になりたいと思い,弁護士になることを志しました。

(2)勉強する際に考えていたこと

 私は,過去3回の受験経験から,司法試験の合格に必要なのは,難しい基本書や問題集に載っている難解な論点等を理解することではなく,受験生であれば誰でも知っているような基本的知識を理解し,それを使いこなすことだと感じておりました。また,私は,4回目の受験にあたり,勉強できる期間は,司法試験前の約3か月半しかなく,私の集中力が持続する時間も短かったことから,1日の平均的な勉強時間は,4時間程度でした。
 そのため,私は,基本方針として受験生であれば誰もが知っている論点,定義は確実に押さえること心がけて司法試験の準備をしました。

(3)敗因分析

 私が行った短答式の勉強方法は,司法試験の過去問を繰り返し解くことです。その際には,答えを暗記するのではなく,その答えを導く理由についてもしっかり考えたうえで解きました。また,過去問に出題された条文及び判例については,判例六法にマークをしておきました。この作業をしておくことの意義は,一目で過去に出題された条文及び判例を確認できるため,司法試験の直前に一気に記憶喚起できる点にあります。私は,司法試験の直前期に問題集を解くと,直前に解いていた分野については記憶が鮮やかである一方で,解かなかった分野については,記憶が不鮮明で選択肢を切ることができないという経験があったため,司法試験の直前期は,判例六法の該当箇所を見るという作業を繰り返し行いました。

(4)論文の勉強方法

ア 憲法

 憲法については,受験生であれば一度は聞いたことがある有名な判例の知識を答案で示すことが,高得点につながると感じていました。そのため,試験対策としては,有名な判例が使っているキーワードを意識して覚え,その判例が素材となっている問題が出た際には,そのキーワードをどのように使うかを意識しながら,判例を読んでいました。また,憲法は,主張,反論及び私見という形で書くことが要求されますので,合格者を交えてゼミを組み,試験予備校の答練を利用するなどして,解答の形式に慣れることが大切だと思います。

イ 行政法

 行政法の問題については,処分性や原告適格といった基本的な概念の定義をしっかり覚え,理解していることを前提に試験で出題されている個別法の条文をどれだけ答案に書けるかがポイントになります。本案についても同様といえます。その練習として適していることは,司法試験の過去問を繰り返し解くことや橋本博之教授の「行政法の行政法の解釈の基礎を読むことだと思います。

ウ 民法

 民法の問題については,要件事実の形式に沿った解答ができるようになることが大切だと思います。要件事実の形式とは,要件事実そのものを書くのではなく,原告の主張は,請求原因,被告の反論は,抗弁,原告の再反論は,再抗弁といった流れで答案を書けるようになることです。そして,原告の主張や反論についての要件は,不足することなく全てをあげて,要件全てにあてはめをすることが非常に重要です。この練習のために私が使用したのは,池田教授らが書かれている「事例で学ぶ民法演習」です。

エ 商法

 商法の問題については,会社法の条文操作をできるようになることが一番重要です。会社には解説の書いていない難しい問題集などもありますが,司法試験に合格することを考えた場合には不要だと思います。難しい論点については,他の受験生も知らない可能性が高く,差がつきにくいためです。その一方で,条文があるにもかかわらず,条文を書かない,条文を間違えるといったことは,解答ミスとして一目瞭然であるため,差がつきやすく,正確に理解をしていないことを露呈し,差がついてしまうと感じていました。
 そのため,会社法の基本書に載っている図などを利用して,手続きの流れ通りに条文を押さえることを心がけました。また,論点を押さえるために利用した問題集は,「ロープラクティス会社法」です。手形小切手法については,一切手をつけませんでした。

オ 民事訴訟法

 民事訴訟法については,判例の考え方を押さえることが重要です。私は,調査官解説までは読みませんでしたが,「ロープラクティス民事訴訟法」の載っている判例の考え方及び判例に対する学説からの批判については,可能な限り押さえることを心がけました。特に今年の問題は,正面から判例の考え方を問われていたため,上記の勉強方法が非常に役に立ったと感じています。

カ 刑法

 刑法については,答案の形式が決まっています。それは,構成要件→定義→事実適示→評価→あてはめ→結論の順番で書くことです。構成要件はもれなく書くことが要求されます。個人的には,上記の流れで書くことができれば,それだけで合格答案になり,逆に書くことができなければ,内容が悪くなくても合格答案になることができないと感じるくらいに重要なことだと思っています。
 そのため,試験に出題されやすい財産犯については,構成要件をすべて丸暗記し,司法試験当日には,構成要件及びその定義については何も考えずに書ける状態になっている必要があると思います。
 暗記に使用する教材として,私は,呉明植弁護士の「刑法各論」を使用していました。いわゆる予備校本ではありますが,試験対策としては,一番分かりやすかったので,使用していました。論点等については,前田教授の「最新重要判例250」を使用して押さえていましたので,基本書が予備校本であっても問題はありません。

キ 倒産法

 倒産法については,判例を押さえること,手続きの流れを押さえ,答案上に条文を正確に記載することが重要です。特に判例については,過去の司法試験に出題されていない比較的新しい最高裁判例が出題される傾向がありました。そのため,下級審裁判例を押さえることよりも,新しい最高裁判例について,判例の結論及び理由,判例とは逆の結論及び理由を押さえる必要があります。私が,使用していた教材は,趣旨規範ハンドブック及び倒産判例インデックスです。

(5)最後に

 司法試験は,法的知識及び思考力を答案に示すことが要求され,それを行うためにはテクニックが必要であることは否定できません。私は,平成27年司法試験前に初めて合格者の方に答案を見ていただき,そのことだけで,司法試験の点数が伸びました。私が,現在感じていることは,司法試験に合格するためには,基本的な法的知識及び思考力を答案に示すためのテクニックであると強く感じております。合格できない方の答案は,点数が付きにくい特徴を持っています。その特徴は,司法試験合格者に答案を見てもらわなければ,自分では気付きにくいものです。そのため,合格者に答案を見ていただくことが,合格にとって一番の近道であると思います。
 私の体験記が,少しでも皆様のお役に立つことができれば,幸いです。

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