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合格体験記 私の司法試験合格法

清水 太郎
2015年 明治大学法科大学院卒業

1 はじめに

 私は2015年に既修者コースを卒業し、1度目の受験で不合格となり、2度目の受験で合格することができました。そのため、この体験記は、「不合格・合格体験記」ということになります。

 

2 法科大学院入学後の学習状況

(1)既修2年時

 法科大学院に入学し、会社法の条文の複雑さや民訴法理論の難しさに愕然とした私は、基本書と百選から逃げているようでは到底合格できないと考え、予備校本の使用をほとんど止め、基本書と百選を頭から読んでいくという勉強方法を採りました。それまで基本書をまともに読んだことがなかったので、最初は本当に苦痛でした。1日に20ページも読めず、数百ページある基本書を読み終わるのはいつになるのかと途方にくれていました。しかし、毎日あきらめずに授業の予習復習のほかに自分の勉強として基本書と百選を読んでいくことでだんだん基本書の記述に慣れ、読めるページ数がどんどん増えていき、通読できるようになっていきました。ただ、後にも述べますが、司法試験を見据えて勉強するのであれば、ただ基本書や百選を読むだけではなく、司法試験当日に基礎知識の確認ができるようなまとめノートの作成をこの時期から始めておくべきだったと反省しています。
 このようにして基礎知識をある程度身につけていくことができたため、2年生の夏休みからは友人と過去問分析ゼミを組んで勉強しました。しかし、当時の私にとって司法試験の問題は非常に難しく、何を書けばいいのか全くわからないような状態でした。過去問分析は司法試験に合格するために極めて重要な勉強方法であり、できる限り早く着手すべきではありますが、基礎力のない人にとっては無駄な時間を過ごすだけになりかねないので、充分に基礎知識を身につけてから始めるといいと思います。

(2)既修3年時

 3年生に上がってからは、基本書等での基礎知識習得のほかに、論文試験を意識し、友人とのゼミの中で評判の良い演習書を解いてお互い添削し議論するという勉強方法も採用しました。これにより、自分の理解が誤っていたり不十分であることを自覚できたり、また、他人の答案を添削することで自分の答案に活かせる発見があったりしたので、非常に勉強になりました。

(3)2回目の受験時

 私は2回目の受験にあたってまとめノートを作成し、直前期にはこれを回すことで基礎知識の確認を行っていました。今回合格できたのはこれをしていたのが大きいと思っています。そこで、私が行っていたまとめノートの作成方法を紹介します。
 私は、合格のためにはまず百選・重判に載っている判例を全て理解して使いこなせるようにしておく必要があると考えました。そのため、百選・重判判例を答案に書くとしたらこうすべき、というコンセプトでまとめノートの作成をしました。具体的には、百選・重判掲載判例を解説まで含めてすべて読み、何が論点か、問題の所在はどこにあるか、どの条文のどの文言の問題か、どの要件の問題か、判旨のうちどれが規範となるキーワードかを考え、その考えた論理の流れをノートに書いていきました。しかし、判例を理解するのはそう簡単ではないので、この論理の流れをノートにまとめるには百選・重判だけでは足りず、基本書や法学教室などの法律雑誌を読み込む必要がありました。このように、私は基本書等は百選・重判を理解するためのツールとして使っていました。
 できあがったノートを見ると、見た目はいわゆる論証パターンなのですが、実際に答案に書くためのものではなく理解のために必要な流れを書いていったものである点で論証パターンとは異なります。このように判例をまとめていくことにより、論証を厚くしたり薄くしたりできる応用力が身についたように思います。
 合格者の方から、作っておいたまとめノートを直前期に回したという話を聞いたことがある人も多いと思いますが、まとめノートの作成方法や合う合わないは人によって異なります。私が紹介したまとめノートの作成方法も、数あるうちの1つとして参考にしていただければと思います。

 

3 短答式の勉強方法

(1)肢別本

 私は短答式試験に対して苦手意識を持っていたので、いきなり過去問を解き始めるとくじけそうだと考え、まずは電車の中(約30分)で辰巳法律研究所の肢別本を解いていきました。肢別本を解くのもはじめは苦痛でしたが、基本書や百選の読み込みを続けていくと短答も解けるようになるので、くじけず頑張るべきだと思います。

(2)過去問

 肢別本を1周した段階で、時間を図って1年度分の過去問を解き始めました。既に肢別本で見たことのある肢だらけ(のはず)なので、本番より時間を短く設定して解くようにしていました(憲法25分、民法70分、刑法40分)。時間を図って解くことで、どのペースで解けばいいのかが把握でき、本番でも時間が余るように解き終わることができました。

(3)基本書・百選

 肢別本・過去問をやることは重要だと思います。しかし、結局のところ短答式試験の突破に必要なのは基礎力だと思います。基本書と百選を十分に読み込んでいれば、短答式にそれほど時間をかけずに合格点は取れると思います。実際、これらを読み込んでいた私は、2度目の受験の際には短答式試験対策は電車の中での肢別本1周以外には何もしませんでしたが、合格者平均点を上回る点をとることができました。

 

4 論文式の勉強方法

 論文式で重要なのは百選・重判判例の知識を直接聞かれた場合に即座に書けるようにしておくことだと思います。判例がどのような判示をしていたかを本番中に悩むようでは準備不足です。そのために、百選・重判のまとめノートは非常に役立ちました。
 百選・重判を事実まで含めてしっかり読み込めば、事実を評価する力も身についていくと思います。百選・重判を読み込むことが論文式試験突破のための近道だと思います。
 

5 最後に

 司法試験に落ちると、努力が報われなかった悔しさ、応援してくれた人への申し訳なさ、合格者に対する劣等感、自分の能力への不信感など、いろんな負の感情が生まれます。1回目の受験の方は、合格したときの嬉しい想像をするのと同時に、不合格だったときの絶望感を想像し、これを避けるために全力で勉強してください。
 複数回受験者の方は、厳しい言い方だと思いますが、自分の中に傲りがないか確認してみてください。複数回受験者の中には、自分は基礎力はある程度あるから演習をたくさんすべきだと考える人が多いように思いますが、1度でも不合格となった時点で基礎不足を疑うべきです。実力不足と謙虚に向き合い、基礎知識を充分に身につければ来年こそ合格できるはずです。少しひいき目に、複数回受験者の方の合格を願っています。

以上 
(H28.10.17執筆)

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