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司法試験合格体験記(私の司法試験合格法)

盛岡 和久
 
〒360-0042
埼玉県熊谷市本町1丁目240番地
根岸ビル2階
TEL048-594-8427
FAX048-594-8439

 

平成24年 明治大学法科大学院入学
平成26年 明治大学法科大学院修了
同 年   司法試験合格   

 
 

 

1 はじめに

 私は,明治大学法科大学院に,平成24年度に入学し,26年度に修了,そして,同年,司法試験に合格しました。
 現在は,弁護士として,中小企業法務を中心に,民事・刑事事件等を取り扱うとともに,明治大学法制研究所において個別指導を担当しています。
 個別指導を受講する方は,学部生から法科大学院修了生まで,皆さん非常に勉強熱心ですが,司法試験でどのような能力が試されるかを意識しながら勉強しているか否かにより,その成果に大きな差が生じると感じています。
そこで,自己の経験を踏まえつつ,司法試験で試される能力及びそれをどのように涵養すべきかについて述べ,私の合格体験記としたいと思います。

 

2 司法試験で試される能力とは

 司法試験(論文式)においては,①基本的な知識と理解,②これらを前提に事案に即した適切な見解を導く応用能力,及び③問題文中の事実関係から重要な事実や事情を適切に拾い上げて評価する能力が試されます。
 したがって,合格答案を作成するためには,①~③の能力を涵養する必要があります。
 
(1)基本的な知識と理解の習得について
 合格に求められる基本的な知識と理解とは,単に個々の論点を暗記することではなく,法を体系的に理解すること,すなわち,法の趣旨・目的を基本から深く正確に理解し,各論点の位置付けや相互の関連性を十分に理解すること,及び重要な判例についてその射程を含め内容を理解することを意味します。
 このような基本的な知識と理解は,問題の所在を的確に把握し,論理的に一貫した論述をするうえでの前提となるものです。
 個別指導等で採点をしていると,論証パターンを張り付けた答案は,問題の所在と関係のない無駄な記述が多く,また論理的にも一貫性がないことから,自ら考え導き出した解答ではないことに気付きます。
 そこで,上述した基礎的な知識と理解を習得するためには,初学者の段階では,学者等の執筆した入門書を通読して,法体系を理解することに努め,ある程度勉強が進んできた段階では,定評のある基本書を精読して,法の趣旨・目的を基本から深くかつ正確に理解することに努めることが良いと思います。
 以下,私が,在学中に使用していた主な基本書を列挙しますので,参考にしてください。
 

・憲法 憲法(芦部信喜著・高橋和之補訂),立憲主義と日本国憲法(高橋和之著)

・行政法 行政法Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ(塩野宏著)リーガルクエスト行政法(稲葉馨・人見剛・村上裕章・前田雅子著)

・民法 民法の基礎1,2(佐久間毅著),担保物権法(道垣内弘人著),債権総論(中田裕康著)債権各論1,2(潮見佳男著)リーガルクエスト民法Ⅵ(前田陽一・本山敦・浦野由紀子著)

・商法 株式会社法(江頭憲治郎著),リーガルクエスト会社法(伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征著)

・民事訴訟法 民事訴訟法(上田徹一郎著),重点講義民事訴訟法(高橋宏志著)

・刑法 刑法(山口厚著)

・刑事訴訟法 刑事訴訟法講義(池田修・前田雅英著)

 
(2)応用能力の涵養
 論文式試験では,応用能力を図るために,これまで考えてこなかったような未知の問題が必ず出題されます。このような問題を解く際には,上述した基礎的な知識・理解を十分に習得していることが前提となりますが,その上で,問題文に正面から向き合い,自己の思考過程を答案上に的確に表現することが必要です。
そこで,未知の問題に対応する法的思考能力,応用能力を涵養するには,以下のような方法が有用であると考えます。
 
 ① 過去問の検討

 司法試験は,事例問題であり,そこで求められる応用能力も,当該事案に即して適切な見解を導く能力です。
 もっとも,それが具体的にどのようなものであるかは,実際に過去問を検討しなければ把握できません。そこで,まず過去数年分の過去問を実際に検討し,応用能力がどのような形で問われているかを認識することが必要です。

 
 ② 問題演習

 問題演習に関しては,過去問が最良の教材ですが,その他には,学者や一流の実務家の執筆した演習書を用いるべきであると考えます。これらの演習書は,並列的に個々の論点を並べているだけの問題とは異なり,基礎的な論点を基にして発展的な事柄について考えさせる問題や,論点間のつながりを考えさせる問題等,非常によく練られて作られています。また,解説も充実しており,学者や一流の実務家の思考過程を知ることが出来るため,応用能力の涵養に有用です。

 
 ③ 授業の活用

 法科大学院には,著名な研究者教員や一流の実務家教員が多数在籍されており,また,授業の多くは少人数のゼミ形式で行われるので,そのような先生方から非常に近い距離で指導を受けることが出来ます。
そのため,私は,普段の授業から,応用的な問題に関し,自己の知識を利用して導いた結論が法曹専門家の視点からどのように評価されるか等について質問し,その質問の中で自己の思考過程が法曹専門家に受け入れられるものか否かについて確認していました。
 また,法的思考力の養成には,幅広く多角的な視点を持つことも必要であるため,同内容の質問を研究者教員及び実務家教員の双方にし,両者の考え方の異同も確認していました。

 
(3)事実の適示及び評価
 司法試験(論文式)の問題文には,様々な事実や事情が含まれていますが,その中から重要な事実や事情を適切に拾い上げ,これを適切に評価して一定の結論を導くことが求められています。
 実務では,事実が非常に重視されており,実務家登用試験である司法試験においてもこのような能力が問われることは当然です。
法科大学院に在籍されている方は,授業で,判例(裁判例)を検討する機会が多いため,事実及びその評価の重要性について認識されていると思いますが,上述した能力を涵養するには,日頃の判例学習が最も有益です。
そして,その際には,判例(裁判例)の事案と判旨を精読し,重視される事実はいかなるもので,その理由はなぜか,また,その事実がどのように評価されているかを理由も含め入念に検討することで,上述した能力が飛躍的に向上すると思います。
さらに,過去問や定評ある演習書を解く際には,判例を意識しながら,一定の結論を導くために有利な事実のみを取り上げるのではなく,不利な事実についても適示して評価することを心掛けることで,具体的事情を踏まえた多面的で説得力のある答案になると考えます。
 

3 おわりに

 以上,自己の経験を踏まえ,司法試験で試される能力及びそれをどのように涵養すべきかについて述べて参りましたが,本体験記が,受験生の皆様の一助となれば幸いです。皆様の合格を祈念しております。

以上

 

合格体験記についてご質問がある明治大学の受験生は☏、メール、FAXで担当の事務所までご連絡ください。お名前、電話番号、メールアドレスを必ず付記してください。電話またはメールでアドヴァイス致します。webmaster@shinginza.com(明治大学法曹会合格体験記担当者)

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