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合格体験記 私の司法試験合格法

遠藤 大介
明治大学法科大学院未修者コース2016年修了
3回目で合格

第1.はじめに

 私は、大学3年生のとき、困っている人の役に立つ仕事がしたいと考え、検察官を志して明治大学法科大学院未修コースに入学しました。しかし、大学では法学部でなかったことから、ロースクールに入るまでほとんど法律を勉強しておらず、最初はかなり苦労しました。それまでは、判例百選もまともに手に取ったことがなく、民法の講義でも「署名代理ってなに?」というような状態でした。法律の勉強は、特に私のような法律になじみのなかった者からすると、道に迷いこんでしまうことが多いものだと思います。ここでは、これから受験される皆さん、特に未修者コースの方の参考になるよう、私のとった勉強法やその反省を紹介したいと思います。

 

第2.勉強方法

1.短答式試験
 短答式試験の勉強は、とにかく早期に始めることが大切です。私は、基本的に三科目とも過去問演習のみを行っていました。具体的には、辰巳の過去問パーフェクトを一日20~40問ずつ解き、間違えた問題や分からなかった選択肢は、解説を読みながら必要に応じて六法や基本書等に戻り、確認するということを繰り返していました。この勉強法の短所は、とにかく時間がかかるということです。特に、やり始めの段階では20問をやり切るだけで一日の勉強時間が終わってしまうというようなこともしばしばありました。しかし、短答式試験では法律や判例の基本的知識が幅広く問われ、その範囲は膨大といえます。そのため、地道な勉強をできるだけ早い段階から開始することが重要だと考えます。もっとも、私は最初、過去問をその正答率に関わりなく解いていたために時間がかかりましたが、受験期後半は正答率の高いものをより優先的に解くことで、効率よく過去問を回すことができました。
 受験生の間では、論文式試験に比重を置きすぎて短答式試験に時間を割かない人も少なくありません。しかし、短答式試験対策は論文式試験で問われている基本的知識を習得するための勉強としても最適です。特に、民法と刑法の短答と論文の成績は相関関係があるといえます。短答と論文で必要な知識は重複する部分が多いからです。論文式試験で実際に書くことを意識しながら短答の勉強をすると、より効率が上がると思います。
 また、短答式試験は試験の最終日に行われます。その日は連日の論文式試験で疲れ切った状態で受験するので、その状態でも正確に解答できるよう、知識の精度をある程度高めておく必要があります。
 
2.論文式試験
⑴ 司法試験、予備試験及び旧司法試験の過去問演習
 論文式試験では、高度な法律問題について、初見の状態で、しかも限られた時間内で、それなりのレベルの答案を仕上げることが求められます。それも8科目全てで、です(失敗が許されないわけではありません)。そのためには、司法試験、予備試験及び旧司法試験の過去問の演習と出題趣旨・採点実感の分析が不可欠だと思います。なぜなら、これらは司法試験委員会が受験生に対して唯一公式に提供している文書だからです。これらの演習・分析では、その問題で試験委員が最も聞きたい事項は何か、受験生の大半が解答できる問題とそうでない問題の区別、設問ごとの時間感覚などを意識していました。また、論文式試験では法律文書としての文章力も重要です。そのため、条文の条項や文言を指摘しているか、法的三段論法をきちんと示しているか、事実の適示が適切かなども意識しながら行っていました。特に、事実の適示は問題文の事実を正確に引用しなければならず、自分で要約や言い換えなどをしないよう気をつけました。
 旧司法試験の過去問は、H14年以降のものに絞って演習しました。教材は辰巳のえんしゅう本を利用しました。旧司法試験は法律の基本事項を問うものが多く、現行試験のように問題文も長くないため、勉強の初期段階から利用することも非常に有用だと思います。私は、ロースクール1年時では、論文の知識がある程度つくまでは論文問題の演習はまだ早いと考え、過去問を含めてほとんど演習をしませんでした。しかし、司法試験の勉強量は膨大ですから、その定着にはインプットとアウトプットの繰り返しが必要です。初期段階のアウトプットとして旧司法試験を利用しておくべきであったと、今では考えています。
 
⑵ 自主ゼミ
 私は、主に論文式試験対策として、友人と自主ゼミを組んでいました。論文式試験では上記のように文章力も重要であるため、客観的に自分の答案を評価してくれる仲間の意見や、仲間の作った答案を参考にして答案をブラッシュアップしていく過程はとても重要であると思います。
 
⑶ 予備校・指導ゼミ
 予備校の答練や全国模試も利用していました。答練は合格者や予備校講師等による採点で、改善点を的確に指摘してもらえるため、非常に有用だと思います。また、全国模試は本試験と同じ会場で行われるため本試験のデモンストレーションとして最適なだけでなく、試験結果からその時点における受験生の中での自分の立ち位置を把握することができます。予備校や全国模試は金銭的に決して安くはありませんが、得るものも大きいので受講することをお勧めします。
 また、明治大学法務研究所では、指導ゼミも行われています。そこでは弁護士講師等による添削と指導が受けられるので、定期的に自分の疑問を質問できる機会として利用できました。

 

第3.その他

 まず、司法試験は長丁場の試験であるので、心身の健康を保つことも重要な試験対策です。疲れて勉強が手につかない時には一度休んで、何もしない時間を作ったり、友人と飲みに行く等の時間を作ることも大切です。
 次に教材について、最近は基本書もレイアウト等が読者にわかりやすく工夫されており、また予備校本の質もかなり高いものが多いです。多くの受験生が使っている本ほど定評があると考えて良いですが、その中から自分に合うものを選んで使用すればいいと思います。
 最後に、当日の意識について、私は、自分にわからない問題は他人もわからないはずだと考えるようにして、そのような問題には時間をかけず、基本的な問題にこそ時間と紙幅を割くことに専念していました。本試験では、誰にもわからないような問題がたびたび出題されますが、司法試験は相対評価ですから、そのような問題でしっかりと解答する必要はありません。 基本的な知識のみ正確に論証し、法的三段論法で簡潔にあてはめをして、次の設問に取りかかればいいと思います。例年と問題の傾向が大きく変わった場合も同様です。周囲も自分と同じく戸惑っているはずなので、冷静に淡々と基本事項から解答すればいいと思います。

 

第4.おわりに

 司法試験は国家試験最難関の試験ですから、合格は容易ではありません。しかし、合格ができない試験でもありません。最後の最後まであきらめず、試験問題、答案用紙そして司法試験用六法にかじりついて、試験を受けきることが大切です。必ず合格できます。頑張ってください。

以上

 

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