合格体験記 私の司法試験合格法
宮下 俊満
1 経歴、法曹志望の動機
みなさま、初めまして。令和3年度司法試験に合格いたしました宮下俊満と申します。
まず簡単に私の経歴についてご紹介いたします。
私は2018年に明治大学を早期卒業しました。その後2020年に京都大学法科大学院を卒業し、令和2年司法試験を受験したものの、結果は不合格になってしまいました。そして先日二回目の司法試験で雪辱を果たし、晴れて弁護士としてのスタートラインに立てました(まだ二回試験は残っていますが…)。
私が法曹を志望したのは法律相談部での相談活動がきっかけでした。当部の1年生は研修生として相談活動に参加します。私が初めて研修生として参加した際の相談は離婚についてでした。相談者の女性は夫から虐待を受けており、その内実を涙ながら語られる中で、どうにかして財産分与対象の財産がないかと検討したことが、今でも非常に印象に残っています。
結論としては相談者の方にとって不利な結論にも関わらず、その方は我々に対して丁寧にお礼を言って下さり、さらに悩みの種が少し明瞭になった旨を語ってくださいました。
このとき、自分が今まで勉強してきた数学や国語などの科目とは異なり、法律を勉強することで誰かの役に少しでも立てることを実感し、感銘を受けました。
そうした経緯で、民事全般に精通し、市民感覚に寄り添う弁護士になることを志すに至りました。
2 短答式の勉強方法
短答は誰もが言うことですが、対策すればするほど点数が伸びます。私も2回目の試験では15点ほど点数が伸びました。したがって、ご自身に合った勉強法を見つけ、地道に知識を入れまくることが重要であると考えています。
3科目いずれも、過去問演習は重要です。予備校から出ている問題集(どれでもいいと思います)を最低でも各科目3周以上はすると120点以上は固いと思います。
予備校から出ている問題集は、過去問自体が張り付けてあるタイプと、分野別に肢のみがピックアップされているスタイルがあると思います。
どちらがよい、とは言えませんが、個人的には全体の肢を見た方が本番に近いのではないかと思い、Wセミナーの短答過去問集を利用していました。
1周目はとにかくすべての肢と解説を読むことで、最低限の知識を付けます。そして、2周、3周とすることで、覚えていない肢のみをチェックしていき、最終的には、まとめノートのようなものに知識をまとめることで情報の集約化を図りました。
重要なのは、過去問の正解だけではなく、すべての肢をしっかりとチェックすることです。かなり根気と時間のかかる作業ですが、短答の勉強にこの作業は必須であると諦めて、地道に知識を集約化して頂ければ確実に点数は伸びると思います。
ここまでの勉強法は、私の現役時代の勉強法です。浪人時代はこれに加えて、択一六法を用いて知識をさらに深堀していきました。
特に、私は現役時には刑法の点数が低かったため、刑法の択一六法だけは上記のまとめノートにとどまらず、択一六法にも知識をまとめていきました。
具体的には、覚えていないページに付箋を貼っていき、何周も読み込むことでその付箋を徐々に外していく、という方法で択一六法を使用しました。
択一六法のみで勉強をすることはおススメできないのですが、過去問演習をある程度積んだ方であれば、知識をまとめる作業と深掘りする作業が一度にできる択一六法は必読書なのではないかと思っています。
結果的に私の短答は140点でしたので、大成功というわけではないのですが、及第点はとれたのではないかと思っています。
3 論文式の勉強方法
私は現役の時に、無駄に理論をこねくり回し、さらに読む必要のない判例を覚えこむなど、極めて非効率的な勉強をしてしまいました。結果、論文は1742位という惨敗に終わりました。
法科大学院に入った以上は、他人とは違う規範を使って高評価を狙おう…なんて考えている方は私と同じ結果になる危険性がありますので、要注意です。
超上位で合格を目指すのであれば最新の学説に則った鋭い規範を使い、他人と差をつけることが必要なのかもしれませんが、合格だけを狙うのであれば、予備校の出版している本や、初学者向けの基本書に書いてあるベーシックな規範で必要十分であるというのが、私の出した結論です。
浪人時代の私は、規範偏重だった勉強法を見直し、とにかく演習を積むことにしました。
具体的には、法制研の個別指導と、合格者の友人たちの指導をひたすら繰り返すことで、答案の型を体に染み込ませていきました。
演習を積むうちに、全科目で10年程度の問題を解いたあたりで、書けないといけない問題、書けなくても仕方のない問題の区別が明瞭につくようになりました。
演習量の目安とは、この区別ができる段階であると考えています。実際のところ司法試験は難しい問題も出るので、メリハリをつけて解くことが重要です。演習量を重ねることで、本番でも、どの問題は外してはいけないのか、明確に意識できるようになります。そのような意識ができれば、論文の合格も確実です。
4 緊張せず本番に臨むために
司法試験に限った話ではないのですが、本番は緊張してしまうものです。現役の時は後ろの席の人のペンの音に気を取られてしまい、集中できませんでした。
そこで浪人時代は、過去問演習中、ペンの音を動画サイトで流し、本番では前年度のような失敗がないようにしました。また、コロナ渦という状況もありましたので、マスクを着けて演習をすることも心がけていました。
些細な事ではありますが、なるべく本番に近い状況で演習を重ねることで、本番は緊張せずに臨めるようになると思います。
以 上