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    合格体験記 私の司法試験合格法

    K.M.

     

    1.経歴、志望動機

     2018年 明治大学法学部 入学
     2021年 予備試験合格(短答905位、論文62位、口述22位)
     2022年 明治大学法学部 卒業
       同年 司法試験合格(短答418位、論文151位、総合157位)
     
     法学部に入学して1か月も経たないうちに、予備校による予備試験の説明会があり予備試験の存在を知りました。大学で、何か真剣に取り組もうと考えていたので、ちょうどいいと思い、在学中の予備試験合格を決意しました。その後、ゼミの教授のお話を伺っていくうちに、弁護士になりたいと思うようになりました。
      

    2.勉強方法

    ⑴ はじめに

     予備試験・司法試験の勉強方法(特に論文)は多様であり、これをやれば必ず合格するというやり方はないので、自分に合ったやり方を早期に見つけることが大切です。私の勉強方法は合格者の一例として参考程度にしていただけると幸いです。
     勉強方法が自分に合っているかは、予備試験の成績や予備校の答練により判断していました。

     
    ⑵ 短答の勉強方法

     予備試験の時から、辰巳のパーフェクトを使っていました。学部2年生の時に購入し、購入後の過去問については直近で出る肢は極めて少ないだろうと思い、買い替えずに司法試験まで同じ物を使っていました。各科目全ての肢の内容を理解する気持ちでパーフェクトを何周もしていました。そして、予備試験も司法試験も時間に余裕がない科目があるので、予備校の答練を受け、時間内に全問(≠全肢)解き終えられるように練習していました。
     短答の勉強は過去問の内容理解と、答練で自分の解き方を確立しておくだけで十分です。短答は、論文の勉強が活きてくるので、過去問・答練以外の勉強をするくらいなら、論文の勉強をした方がいいです。
     私の場合、辰巳のパーフェクトは各科目1周するのに2週間以上かかっていたので、基礎講座の段階から早めに取り掛かってコツコツと進めていたほうがよかったと後悔していました。

     
    ⑶ 論文の勉強方法

     私は予備校に通っていたので、法律の勉強を始めた年は基礎講座でインプットのみをしました。そして、2年目からは短文事例でアウトプットしました。また、短文事例以外にも時間が許す限り答練(予備校の答練、明治大学法曹会の答練)は積極的に受けました。
     予備校のカリキュラムと短答パーフェクトをこなすので精一杯だったので、他の演習本や基本書には手を出せるほどの余裕はなかったです。結果的に手を広げすぎずに済み、勉強方法を迷わなかったのでよかったのではないかと思います。
     1年目は、在学中の予備試験合格を決意したにもかかわらず、勉強の量が膨大で内容も難しく感じたので、勉強のやる気が出ず、基礎講座を受講するだけで、全く復習をしないという1年を送りました。2年目に入り、予備試験の短答を受け100点を下回るというひどい結果に危機感を覚え、真剣に勉強を始めました。1年目の勉強はマーカーを引いていただけに等しく、ほとんど覚えていなかったため、アウトプットと並行して該当する箇所のインプットも行いました。さらに、短答パーフェクトも毎日やるようにしていました。1年目にサボっていたこともあり、2年目が身体的にも精神的にも一番きつかったです。
     アウトプットはわからなくても答案構成だけは絶対にした方がいいと言われていたので、該当箇所のインプットを行ってから、答案構成をしていました。直前に勉強したことをどのように使うのか全く分からなかったのですが、わからないなりに答案構成をしていました。そして、講義を聞き、インプットした知識と問題文の事実をどのように使うかを学んで、それを意識しながら写経をしていました。答案の型が身についていなかったので、講義で上記の事を学んでも、答案の書き方がいまいちわからなかったので、写経をしていました。半年くらいは写経をしていましたが、一言一句覚えるのには限界があり、効率が悪く、また、答案の書き方を理解してきたこともあって、写経はやめました。書いて覚えるのは論証部分だけにしましたが、答案全体の流れや事実・事実の評価等の参考答案の大まかな内容は覚えるようにしていました。写経を始めて5か月くらいで、三段論法の意味を理解し始めたと記憶しています。フル起案は、毎日やることが多すぎて、答練の時しかできていませんでした。令和2年の予備試験まではとにかく参考答案を暗記しようとする気持ちが強かったと思います。
     このような勉強方法を続け、令和2年の予備試験を迎えました。結果は論文に800位台で落ちました。惜しいとは言えませんが、その時は短文事例と答練の参考答案を押さえるだけで1000位以内にはいれるのなら来年はチャンスがあるかもしれないと思っていました。
     2年目からの勉強方法により、短文事例や答練の参考答案の内容はほとんど覚えていました。あとは、論文の敗因と感じた事案把握の遅さを改善するだけだと思い、それを改善する勉強を始めました。具体的には今まで使ってきた短文事例や答練の事案を読み、予備試験や答練は7、8分以内にそれ以外(旧司等)は5分以内に頭の中で答案構成をするという勉強を始めました。この時の答案構成では、答案の流れ、論点があれば論点、あてはめの方向性だけ考えていました。これを繰り返していくうちに、事案を見たら覚えている論証をどこで使うのか、どの事実を抜き出してどのように評価をするのかを素早くできるようになりました。2年目からの勉強と論文に落ちてからの勉強は結果発表から2か月くらいでリンクするようになりました。暗記しようとしていたわけではないですが、繰り返していくうちに短文事例と答練の事案もほとんど頭に入っており、抜き出す事実もすぐわかるようになっていました。この勉強方法のおかげで、合格した年の論文は事案把握を早くすることができ、あてはめに十分な時間を割くことができ、充実したあてはめができました。
     そして、未知の問題の対策については、答練で知らない問題がでたら、まず、問題となりうる条文を探し、その事案で適用できるかを考えていました。適用できるか、要件を満たすかを考え、適用することに問題があるときや問題となりそうな文言解釈については論点にしていました。論点については、結論を先に考え、次にあてはめで使うであろう事実と評価を考えて、そのあてはめができるような規範を自分なりの言葉で立てていました。理由付けは考えても分からないことが多く時間を割くのがもったいないので、問題となっている条文の趣旨等適当にでっち上げて短く書くようにしていました。この時、気を付けていたのは、3段論法を崩さないこと、規範とあてはめが乖離していないか、事案で使ってほしそうな事実を摘示できていて、その事実の評価をできているかです。予備校の採点基準が正しいかはわからないですが、採点基準を見ると、あてはめに点数配分が大きく振られていたので、これらの事さえ守ればそれなりの点数が付くと思ったからです。
     このような勉強方法を続けたことにより、私の知らない事案は、他の受験生も知らず、未知の問題であり、現場勝負だと割り切ることができ、上述のように未知の問題の対策もしていたので、本番で焦ることはなかったです。実際に合格した年の予備試験は法律科目についてはB評価より下の科目はありませんでした。
     司法試験については、予備試験から司法試験まで時間がないこともあり、新たに手を付けたのは司法試験の過去問だけでした。全年度解きました。直近から7年分は添削をしてもらえたので、フル起案をしました。残りは答案構成だけにしました。最初の4年分は制限時間を30分以上オーバーしていました。思いついたことをすべて書こうとすると絶対に時間切れになることに気づいて、そこからは時間内に書き終えることだけを考えて起案するようにしていました。予備試験は与えられた事実をすべて使う意識でしたが、本試験は、事実の取捨選択を意識しながら解くようにしていました。右のような解く際の意識の大きな違いはありましたが、勉強方法については予備試験の時から変わっていません。
     今、私の勉強方法について思うことは、真っ先に暗記に走ろうとしたのがよくなかったと思います。内容を理解したうえで暗記する方が頭に残りやすく、また、暗記しなければならないところとそうでないところの区別もでき、効率よく暗記することができるからです。さらに、論証を暗記していれば、そこで時間を使わず、あてはめに時間を割くことができるので、論証の暗記自体は必要だと思いますが、内容を理解しておかないと自分の知っている事案と少し異なる事案に上手く対応できないので、端から内容を理解せずに暗記に走ることはやめた方がいいです。そして、すぐ暗記しようとすると考える力が養われず現場思考の問題に対応できないので、まずは内容の理解に努めたほうがいいです。

     
    ⑷ 口述の勉強方法

     論文の勉強では、基本的には予備校のテキスト以外に参考書や基本書を使っていませんでしたが、法律実務科目については、令和2年の予備試験後に参考書を2冊ほど購入し、使っていました。予備校のテキストではわかりにくかったので、評判の良かったいわゆる大島本上巻と刑事実務基礎の定石を使って勉強していました。口述の勉強はこの2冊、基本刑法各論、口述過去問を使って勉強しました。合格発表後すぐに基本刑法各論を買い勉強を始めました。刑事系は基本刑法各論を民事系は大島本上巻をやりこみました。基本的なことを答えられれば、後は誘導に乗れると模試で聞いたので、この2冊を最後の最後までやりこみました。過去問は、何を重点に置いて勉強しなければならないのかを確認するために、基本刑法各論のインプットの休憩に少しずつ見るようにしていました。そしてインプットが終われば残りの過去問を全年度解きました。過去問で問われたことも答えられるようにはしていました。模試は、緊張感を味わうことができるし、勉強の方向性が間違っていないかを確認することができるので、絶対に受けたほうがいいと思います。
     本番では、最初の基本的なことをスムーズに答えられることができたので、大きな問題はなく民事も刑事も終えることができました。刑事では刑事訴訟手続で知らなかったことが出て、誘導にのり(ほとんど答えを教えてもらい)答えましたが、悪い評価はついていないと思います。最初の基本的なことさえ答えて先に進むことさえできれば、60点は付くと思います。口述は良い点数をとれることが一番いいですが、落ちないことが何よりも大事なので、民事では要件事実、刑事では罪名や構成要件等基本的なことが問われたら瞬時に答えられるようにしておくことが大切だと思います。
     論文後、結果発表まで全く勉強していなかったので、2週間はかなりきつかったです。合格発表前に基本刑法各論を1周だけでもしていればよかったと後悔しました。論文に合格しているかもしれないと思っている方は、基本刑法と要件事実だけは合格発表前に勉強しておいた方がいいと思います。

     

    3.最後に

     私は司法試験を受けるまでに自主ゼミを組んだことがなかったのですが、司法試験後に自主ゼミを組むことがあり、自主ゼミの素晴らしさを感じました。自主ゼミを組むことで同じ志の人と頑張ることができメンタル的にもいいですし、学習の面でも、他人の答案を見て、あてはめを盗むことができたりとすごく勉強になることが多いです。さらに、自分の思考過程を言語化することでより内容の理解が深まることもあります。自主ゼミを組むメリットは多いので、可能であれば自主ゼミを組むことをお勧めします。自主ゼミを組めなくとも、答練の講師等、合格者に答案を見てもらい助言してもらうことは最低限した方がいいです。まだ、答案を十分に書くことができなくて、答案を見られるのが恥ずかしいのは私もそうだったので気持ちがわかりますが、それでは合格を遅らせることになるので、答案を書いて他人に見てもらう機会を増やしていくことをお勧めします。
     

    以 上

     

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