新明 清久 | 明治大学法曹会
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司法試験合格体験記 私の司法試験合格法

新明 清久
明治大学 法学部 2011年卒業

 
 

1、はじめに

 私は運良く1回目の司法試験で合格することができました。私は2011年に明治大学法学部を卒業し、3年間明治大学の法学研究科修士課程を経た後に、慶應義塾大学法学研究科に入学し、卒業するという、少し変わった経歴を有しておりますので、参考になる部分、ならない部分等あるかもしれませんが、1回でも早い合格を目指す方のために、最短で合格するために自分なりに考えたこと、実践していたことをお話しできれば、と思います。
 法曹になろうと思ったのは法学研究科修士課程に在籍している頃、学問と実務の双方を経験するためには司法試験に受かり、法曹にならなければならない、と考えたことと、小学生のころから、漠然と医者か弁護士になりたい、と思っていた夢の延長線上であった、ということにつきます。

 

2、勉強方法について

(1) 短答式試験の勉強方法

 では、まず短答式の勉強方法についてですが、これは使っている方も多いと思われますが、辰巳の短答パーフェクトを解いていました。そして試験の1年ほど前から週に2~3回ほど大学院の自主ゼミのメンバーで時間を図り、過去問を解くという時間を設けて本番を想定した訓練をしていました。
 短答式に関しては、過去問を解くということが王道の勉強方法であることは間違いありません。もっとも、私は直前の4月の模試で合格点ギリギリの点数を取り、焦って本試験まで短答中心の勉強を強いられてしまったので、その意味では少し準備を失敗してしまったと感じています。本試験を1回で突破した友人たちの様子を見ると、おおむね試験の半年前までに民法、刑法の点数を8割程度安定して取れるようになっていれば、大分短答対策は気が楽になると思います。今、民法、刑法と言ったのは、憲法は個人的にブレが起きやすい科目であると考えているためです。憲法は問題によって判旨を相当詳細に記憶していないと解けない問題がある、配点が高い問題が多い、など理由から得点のブレが起きやすい科目と思います。しかし、民法、刑法の短答は範囲が広い分、内容は憲法に比べれば浅く、過去問をやればやるほど高い点数で安定するようになります。その意味で短答対策は戦略的にはまず民法、刑法を先に高いレベルで安定させた方がよいと思います。(もちろん憲法ができるに越したことはないのですが)逆に言えば、民法、刑法の短答が苦手、という方は率直に申し上げれば勉強不足である場合が多いです。この2科目は努力を裏切りません。ぜひ得意科目にしてください。

 
(2) 論文式試験の勉強方法

 さて、論文式の勉強方法ですが、私は最近の受験生にしては珍しく予備校の答練は利用しませんでした。予備校を活用したのは4月に直前模試を1回利用したのみです。かといって普段論文を書かなかったわけではなく、自主ゼミを組んで週3~4回本試験の過去問を解き、添削しあって、意見を交換する時間を大学院で設けておりました。
 個人的には、答練も自主ゼミも一長一短があるものと思いますが、共通するメリットは実際に本番通りの時間を決めて書けること、答案を他人に見てもらって自己の答案を分析することができること、「わからない」問題に対する対処の訓練を積めること、あたりではないかと思います。中でも大事なのは、自己の答案を分析する機会を設けられることです。
 私は自主ゼミを組んで優秀な友人の答案に触れる機会が多かったのはとても幸運でした。友人の答案の添削を通じて良い表現、書き方を取り入れ、逆に自己の答案を添削してもらい、指摘されたわかりにくい部分、表現を直すという作業を続けることによって、司法試験合格レベルの答案を書く能力が身についたのだと感じています。自己の答案の分析は自己分析では限界があるので、出来れば他人に見てもらう機会を作るべきだと思います。自己の答案を客観的に見る、というのは案外難しく、自分の答案の悪い癖、表現というのはなかなか自分では発見できないと思いますので。   
 受験生の方の中には、自主ゼミに参加するのは、出来が悪かった答案を書いてしまった時など、友人に答案を見てもらうのがとても恥ずかしいから嫌だ、と思っている方もいると思います(私も答案を見てもらうことは今でも苦手です)。しかし、短期で合格するためには他人に添削してもらい、悪い部分を指摘してもらい、答案の内容をブラッシュアップする、という作業は必要不可欠です。どうしても友人に添削してもらうのが恥ずかしい人は答練を活用するとよいと思いますが、答練は答案に何を書いたのか忘れた頃に返ってくること、自己分析をする作業が面倒であること、書き方などにまで細かい添削があるかどうかはわからないこと、に留意するべきであると思います。
 その他、大学院の先生や実務家の先生に答案を見てもらう機会があれば積極的に活用することをお勧めします。プロの指摘を受ける以上に実りのあることはないと思います。
 いくら知識があっても、それを正確に表現することができなければ、高い評価はつきません。論文式は当然のことながら答案に書かれている文章がすべてなのですから、読み手が理解しやすい、わかりやすい表現をするに越したことはありません。短答式が得意なのに論文式が苦手な方、知識があるのに高い評価がつかないという方は、この点に問題があることが多いです。上記のアドバイスが参考になれば、と思います。

 

3、本番での考え方、過ごし方

 いくら事前の準備をしっかりしていたとしても、本番ですべての問題、全ての論点が分かる人などいません。私の受験した平成29年度も憲法をはじめ、問われたことも(論文式試験では)考えたこともないような論点が出ました。しかし、司法試験はそれが当たり前のことであるので、動揺する必要はありません。合格だけを目標とするのであれば、2~3割の論点がよくわからなくとも、7~8割の自分がわかる論点をしっかり書き、よくわからない部分は問題意識があることを明らかにし、必ず条文から出発して実直に法解釈をして要件を明らかにし、事案を出来る限り分析して評価をしてあてはめを行い、一定の解決、結論が書ければ充分です。実際、おおよそ一科目5~6割の点数が取れれば合格するのが司法試験なのですから、大事なことは周りが当然書けるであろう論点を落とさないことにつきます。司法試験は受験生であれば当たり前のことが「出来ない」と評価された人から落とされていく試験です。みんなが出来ることを当たり前に論文で表現することを全科目心がけていれば十分合格ラインに達すると思います。
 本番の論文式では2~3科目くらい「やらかした」と感じても合格できます。大事なのは出来が悪かった、と思っても次の科目に引きずらないことです。私は試験期間中終わった問題を見返すこと、振り返ることなどは一切せず、ただ次の科目のことだけを考えるよう努めておりました。結果的にそれが功を奏したと思います。
本試験のエピソードを少しお話しすると、私は2日目の民事系科目は民法、会社法と立て続けに手ごたえがなく、「やらかした」と思い、不安な気持ちにもなりましたが、「終わったことは終わったこと。最後の民訴だけでもいい答案を書こう」と開き直った結果、民訴では手ごたえを感じる答案を書くことができ、終わりよければすべてよし、の精神で次の日を気持ちよく迎えられた結果、刑事系では2科目ともそれなりに手ごたえのある答案を書くことができました(実際の評価もおおむね手ごたえがある科目は良い評価をもらえました)。
 本試験は20時間にも及ぶ我慢比べです。終わったことを考えても何もいいことはありません。目の前の試験にのみ集中し、1問1問真摯に向き合うことが合格へとつながっていると思います。

 

4、終わりに

 自分なりに各試験のポイントとなることはお話ししたつもりですが、司法試験に「絶対の勉強法」というのはおそらく存在しません。なぜなら各々弱点となる事柄が異なる以上、その穴を埋める作業は異なって当然であるからです。強いて言えば、自分に今足りないもの(知識なのか、表現能力なのか、時間配分が下手なのかetc…)を自覚し、その穴を埋めるための効率的な勉強方法がその人にとっての「最善の勉強法」といえるでしょう。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という有名な古語がありますが、これを実践できた人が早く合格するのが司法試験だと思います。この体験記を読まれた方が1回でも早く司法試験に合格することをお祈りして合格体験記の結びとさせていただきます。頑張ってください。

 

 (H29.10.31執筆)

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