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予備試験合格体験記 私の予備試験合格法

〒104-0061中央区銀座4丁目13番5号
新銀座法律事務所 弁護士 森田悟志
電話: 03-3248-5791 FAX: 03-3248-5794
mail: s-morita@shinginza.com
web: http://www.shinginza.com

≪経歴≫
長野県長野市出身
長野市立長野北部中学校 卒業
長野県長野吉田高校 卒業
平成24年千葉大学工学部電子機械工学科中退
平成26年司法試験予備試験合格
平成27年度(2015年)司法試験最終合格 
その他司法書士試験、 行政書士試験、日商簿記1級試験合格
東京弁護士会所属 
 

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第1 筆者の簡単な経歴等

 まず、簡単な経歴ですが、法学部や法科大学院には進学していません。平成24年に司法書士に合格し、平成24年の12月頃から、予備試験を目指し、予備校で勉強するも、残念ながら平成25年の予備試験は、7月の論文式試験で不合格となってしまいました。しかし、すぐに気を取り直し、勉強を再開し、平成26年度の予備試験に無事合格することができました。

 成績ですが、平成25年度は択一試験が208点(憲法26 行政法26 民法30 商法22 民訴30 刑法23 刑訴30 一般教養21)で82位、論文式試験が188.47点(憲法B 行政法E 民法F 商法A 民訴B 刑法F 刑訴A 一般教養F 実務基礎A)で710位で不合格でした。
 平成26年度は、択一試験が220点(憲法26 行政法26 民法30 商法28 民訴27 刑法28 刑訴19 一般教養36)で11位、論文式試験が258.22点(憲法A 行政法A 民法C 商法A 民訴A 刑法B 刑訴A 一般教養D 実務基礎A)で33位、口述試験が121点で61位でした。
 ちなみに、平成27年度司法試験は、択一試験158点(憲法41 民法69 刑法48)で113位、論文式試験が301位で総合237位でした。

 

第2 予備試験と司法試験の違いなど

1 形式面について

形式的な違いとして,科目面等では,予備試験は、短答式試験が7科目と一般教養があるところ,司法試験は、憲法、民法、刑法の3科目です。また、論文式試験でも、予備試験は、7科目に加えて,法律実務基礎が2科目と一般教養があるところ,司法試験では、7科目と選択科目となっています。後は、予備試験では、口述式試験がありますが、司法試験では、口述式試験はなくなりました。

日程に関しては,司法試験が5月の4日間(間に1日休みを挟んだ5日間)で論文式試験と短答式試験を全て行うのに対して,予備試験では,まず,5月に1日かけて短答式試験を行い,7月に2日かけて論文式試験を行います。したがって、司法試験では、5日間を乗り切る体力が必要となるのみ対して、予備試験では、短答の前は短答の、論文の前は論文の対策ができます。

また,論文式試験の時間や分量についても,司法試験は,1科目で120分,答案用紙8枚以内ですが,予備試験は,公法と刑事系は140分,民事系は210分,つまり1科目70分という計算で,答案用紙4枚以内で解答することになります。細かい違いですが,予備試験では,自分で時間配分を決めて論文を書いていくことになります。

2 内容面について

内容面では,必要とされる知識の広さは,ほぼ変わらないように思います。予備試験合格レベルの知識があれば,司法試験にも対応できます。短答式試験に関しては、司法試験と予備試験の問題は、7~8割が同じです。司法試験の短答式試験の日にちと、予備試験の短答式試験の日にちが同じ日であるのはそのためです。ただし、論文に関しては、司法試験では、選択科目が増えるので、選択科目の勉強は、新たにする必要があります。

知識の深さは,前述のとおり、短答ではほぼ変わらないですが、やはり,論文については、司法試験の方が深い理解を問われます。また,特に論文で、現場思考型の問題も増えます。予備試験の問題文はあまり長くないので、読みやすく、事案も捉えやすいですが、司法試験は長文で、事案が複雑になります。なので,単に,判例の論証を覚えている程度では,予備試験ではある程度通用しても,司法試験では,論文の点数が伸びないということもあり得ます。

 

第3 予備試験の短答式試験の具体的な内容と対策など

1 概要

予備試験の短答式試験は、7科目(憲法、行政法、民法、商法、民訴法、刑法、刑訴法)と一般教養があります。配点は、7科目が、それぞれ30点、一般教養が60点で、合計270点です。そして、合格するためには、得点の合計が170点以上である必要があります。ただし、各科目での足切りはありません。

短答式試験は、4つか5つの肢を読み、合っている肢あるいは間 違っている肢を、4つか5つの選択肢の中から選び、マークシートに記載していく試験です。たまに、合っている肢の個数を選ぶ問題も出ます。配点は、1問あたり2点か3点です。

2 全体的な傾向と対策

短答式試験は、条文の知識や判例の知識がそのまま問われること が多いです。つまり、条文や判例を知っているかいないかで、正解できるかが決まってしまうことがほとんどです。

試験勉強を始めたら、早い段階で短答の過去問を一度解いてみた方が良いと思います。前述のとおり、予備試験と司法試験の短答は、ほぼ重なっているので、使う問題集は、司法試験の短答の過去問集ということになります。一度、過去問を見ておくことによって、条文や判例がどのように聞かれるのかが分かるので、その後の勉強でも、勉強する要点が意識しやすくなります。司法試験や予備試験は、論文式試験が大変なので、どうしても、論文対策の勉強が中心になるかと思いますが、論文式試験は、短答に合格することが前提となります。また、短答で条文などを確認しておけば、論文式試験でも役に立ちますし、短答に出題される判例を読むことは、論文にもつながります。なので、過去問集を何回か回し、普段、論文の勉強ではあまり読まない条文についても、六法で確認しておくのが良いと思います。

3 法律系の各科目について
⑴ 憲法について

憲法は、人権に関しては、判例が中心に聞かれ、判例の文言や言い回しの細かい点まで聞かれる印象があります。統治の分野は、条文知識が中心です。さらに、憲法だけでなく、国会法なども聞かれます。

憲法の対策としては、人権分野は、論文対策の際、基本書等でたくさんの判例を読むと思いますが、過去問でどのように聞かれるかを確認しておき、それらの判例の文言や細かい言い回しまで、注意深く読み込むことです。統治分野に関しては、最低限、憲法の条文は覚えておくことと、統治分野の有名な判例を知っておくこと、過去問で出題された条文ぐらいは覚えておくことで対策になると思います。

 
 以下は,平成28年度の実際の問題です。
 

〔第1問〕(配点:3) 私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして, それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№ 1]から[№3])

ア.企業者は,雇用の自由を有するから,労働者の思想,信条を理由として雇入れを拒んでも当 然に違法ということはできないが,労働者の採否決定に当たり,その思想,信条を調査し,労働者に関連事項の申告を求めることまでは許されない。[№1]

イ.大学は,その設置目的を達成するため,必要な事項を定めて学生を規律する権能を有するか ら,私立大学が,その伝統,校風や教育方針に鑑み,学内外における学生の政治的活動につき,かなり広範な規律を及ぼしても,直ちに不合理ということはできない。[№2]

ウ.長期間にわたり形成された地方の慣習に根ざした権利である入会権については,その慣習が存続しているときは最大限尊重すべきであるから,権利者の資格を原則として男子孫に限る旨の特定の地域団体における慣習も,直ちに公序良俗に反するとはいえない。[№3]

 

この問題を見ても,判例の結論や,有名な言い回しだけでなく,理由付けの細かい部分まで問うてくることが分かると思います。なんとなく事案と理由づけ、結論を知っているだけでは点数につながりづらいです。下線は筆者が加筆したものですが,普通に読んでいたら読み飛ばしてしまうこともあると思います。

⑵ 行政法

行政法は、判例を問われる問題と条文知識が問われる問題が半々くらいのイメージです。出題される条文は,行政手続法,行政不服審査法,行政事件訴訟法,行政代執行法,個人情報保護法,地方自治法などで,数が多いように見えますが,地方自治法以外は,条文数は少ないので,そこまで大変ではないです。また,地方自治法についても,出題されているのは住民訴訟のあたりであり、出題される条文は限られてますので,あまり時間はかからないと思います。

判例の勉強は,大体,憲法と同じですが,行政法では端的に結論を聞いてくる問題もあります。

 
    以下は,平成28年度の問題です。
 

〔第14問〕(配点:2) A県知事は,介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者Bについて,介護報酬の不正請求が行 われているとの内部通報を受けたため,調査の上,不利益処分をすることにした。次のアからウまでの各記述について,行政手続法に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の 組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№29])

ア.A県知事がBに対し,指定の効力の一部停止処分をしようとする場合には,原則として聴聞 手続を執らなければならない。

イ.Bに対する不利益処分の発動に強い関心を持っているライバル事業者Cは,聴聞手続におい て,A県知事に対し,当該処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。

ウ.Bからサービスを受けている高齢者Dは,サービスを受けられなくなると日常生活に困難を 来すことから,Bに対する不利益処分の発動に反対するため,主宰者の許可を得て聴聞手続に 参加し,口頭で意見を述べることができる。

 

この問題は,行政手続法の条文知識を問うもので,知識があれば正解できます。条文を知っているだけで点数が取れますし、知らなければ、その場で考えても正解できるものではありません。

 

〔第19問〕(配点:2) 訴えの利益に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいも のに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 (解答欄は,[№40])

ア.道路交通法に基づき,自動車運転免許の効力停止処分を受けた者は,無違反,無処分で法定の期間を経過し,以後,前歴のない者として取り扱われるに至ったとしても,当該処分の記載のある免許証を所持することにより,名誉,信用等を損なう可能性が継続して存在し,その程 度は重大なものであって,それを排除することは法の保護に値する利益であるといえるから,当該処分の取消しにつき,訴えの利益を有する。

イ.道路交通法は,優良運転者の実績を賞揚し,優良な運転をするように自動車運転免許証の保有者を誘導して交通事故の防止を図る目的で,優良運転者であることを免許証に記載して公に明らかにするとともに,優良運転者に対し更新手続上の優遇措置を講じていることなどに照らせば,免許証の有効期間の更新に当たり,一般運転者として扱われ,優良運転者である旨の記 載のない免許証を交付されて更新処分を受けた者は,上記記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を否定されたことを理由として,これを回復するため,当該更新 処分の取消しを求める訴えの利益を有する。

ウ.建築基準法に基づく建築確認は,それを受けなければ工事をすることができないという法的 効果が付与されているものにすぎないが,建築確認が違法であるとして判決で取り消されれば, 相当程度の確実さをもって,工事完了後,建築主事等において検査済証の交付を拒否すること になるか,又は特定行政庁において違反是正命令を発すべきことになるのであるから,当該工事が完了した場合においても,その取消しを求める訴えの利益は失われない。

 

この問題は,どの基本書にも載っているような訴えの利益で有名な判例の結論を,端的に問う問題といえます。判例の規範や理由づけまで知らなくても、結論を知っていれば解ける問題といえるでしょう。

 
 ⑶ 民法

民法は、条文も判例も、浅く広くでるイメージです。論文と違い、条文解釈や判例などを深く理解する必要まではなく、結論を知っている程度で点数につながります。具体例は載せませんが,簡単な事例問題も出ます。いずれにせよ,条文を適切に適用できれば答えが出る問題ですので,条文知識を広く聞かれます。六法で条文を読むことや、過去問を回し,出題されている条文や判例をしっかり復習することが有効な対策になります。

 ⑷ 商法

商法は、ほぼ条文知識といっていいでしょう。どこまで条文を読み込むかは,各自の判断でいいと思いますが,論文式試験で、条文を探すのが早くなるなど、論文にもつながるので,幅広く条文を読んでおくことに越したことはないです。数年前に、論文式試験で、監査役の辞任の際の意見陳述が出ましたが、受験生の中には、会社法380条あたりを一生懸命探して、結局会社法条を見つけられなかった受験生がいたらしいです。このようなこともあるので、短答の勉強の際、広く条文を読んでおいた方がいいです。

具体的な内訳は,会社法から11問(うち1問は持分会社について),商法から2問,手形・小切手法から2問の15問で構成されることが多いです。会社法からは満遍なく出題されます。大体ですが,設立から1問,株式と新株予約権で3~4問,機関関係から2~3問,計算や清算あたりから1問,組織再編から1問,会社関係の訴訟から1~2問のような割合で出題されます。

会社法の条文はかなりの数があり、しかも、一つの条文が長かったりと、なかなか大変な思いをしますが、過去問を回して,よく出題される範囲の条文をしっかり読み込むことで対応していくことになります。

  民訴法は、問題の傾向は,大体が民法と同じで,条文知識や判例の結論を端的に問うもの,簡単の事例の正誤を問うものが出題されます。

 以下は平成28年度の問題です。
 

〔第37問〕(配点:2)重複起訴の禁止に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組 み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№40])

ア.XのYに対する不動産の所有権確認請求訴訟の係属中に,XがZに対して当該不動産の所有権の確認を求める別訴を提起することは,許されない。

イ.XのYに対する貸金300万円の債務不存在確認請求訴訟の係属中に,YがXに対し当該貸金の返還を求める別訴を提起することは,許されない。

ウ.XのYに対する売買代金支払請求訴訟であるA訴訟とYのXに対する貸金返還請求訴訟であるB訴訟とがそれぞれ係属中に,A訴訟の被告Yが,A訴訟において,B訴訟で請求している貸金債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張することは,許されない。

エ.XのYに対する土地の所有権に基づく所有権移転登記手続請求訴訟の係属中に,YがXに対し当該土地の所有権の確認を求める別訴を提起することは,許されない。

オ.XのYに対する手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に,YがXに対し当該手形金の支払を求める別訴を手形訴訟により提起することは,許されない。

 

この問題は,それぞれの肢に簡単な事例を載せ,正誤を判断していく問題です。エの判断が難しいかもしれませんが、残りの肢は、どの基本書にも載っている有名な判例の結論を知っていれば正誤の判断がつきます。問題が長く,一つ一つ考えていかなければなりませんが,判例の結論や条文知識を当てはめれば,解答を導けます。

民訴法の対策は,民法と同じで,過去問を回して,よく出題される条文や判例を復習し,読み込むことです。

 

  刑法は、過去問を見れば分かりますが,他の科目と違い,細か い条文知識や判例の知識が問われることは,あまりないです。ただし,問題文が長かったり,簡単な事例をその場で考えて解答しなけ  ればならないことが多いので,時間がなくなりやすいということです。対策としては,論文式試験での勉強である程度解答できると思いますが,強いて付け加えるとすれば,刑法の第一編の総則を読んでおき,条文知識を入れておくと、少し点数が伸びるかもしれません。たまに、刑法の適用範囲や、執行猶予の要件などの条文知識が聞かれています。

  刑訴法は、民訴法と大体,傾向と対策は同じです。条文や判例を,浅く・広く勉強することになります。

4 一般教養について

一般教養ですが、この科目は、1問3点で、40問あるうちか ら、自分で20問を選択し、解答することになります。60点と配点が高いですが、範囲も広く、分野も様々なので、対策が非常に難しい科目といえます。さらに、予備試験の論文式試験にも一般教養がありますが、短答式試験とのつながりはなく、一般教養を勉強しても、司法試験とも直接的なつながりはないので、勉強するモチベーションが上がらない科目といえます。

実際の合格者でも、全く勉強しない人もいて、私も全く対策しませんでした。試験で、解けそうな問題を適当に20問選び、解答するという感じです。強いて勉強するとしたら、英語が9点分ぐらい出題されるので、それに対する対策をたてるぐらいだと思います。ここに時間をかけるのであれば、法律7科目に時間をかけた方が有効かと思います。

5 苦労した点など

私は、まず、短答式試験の概要を見て、一般教養は捨てて、法律科目で8割以上採ろうと決めました。私の場合は、司法書士受験の時に、民法や会社法、民訴法の条文はさんざん読み込んでいましたので、内容的にはあまり苦労しませんでした。ただ、地味な作業を繰り返し行う点は大変でした。司法試験の短答の過去問を5回ぐらいは回したと思います。電車の待ち時間や移動時間などの時間を活用して、勉強していました。

 

第4 予備試験の論文式試験の内容と対策について

1 概要

  論文は、短答と同じく法律7科目があり、それに加えて、法律実務基礎科目民事系、法律実務基礎科目刑事系、一般教養の3科目があり、合計10科目あります。配点は、全て50点ずつの合計500点であり、大体、225点ぐらいで合格となります。論文式試験も、科目での足切りはありません。

   論文式試験は、事例があり、それを読んだうえで、小問に答えていきます。予備試験の山場であり、最初は上手く書けないと思います。

  論文式試験の対策は、まず、しっかりと条文の解釈や判例の理由づけなどを理解しておくことです。条文解釈は、基本書などで勉強しておくといいと思います。判例については、短答式試験と違い、結論はそこまで重要ではありません。重要なことは、この判例はどういった事案で、なにが問題となっており、それに関してどのような主張がされ、裁判所がそれに対して、どの条文をどういう理由で、どのように解釈したか、当てはめの部分で、具体的な事実関係をどのように評価し、結論を導いているのかを、丁寧に理解しながら読み込むことです。特に、判例の理由づけの部分と、具体的事実の評価の部分は覚えるぐらい読んでおくべきです。

   よく、論文の書き方として、問題提起→規範・要件の定立→当てはめ→結論の順番で書いていくと言われていると思います。この問題提起を除いた部分を、法的三段論法といいます。規範・要件が大前提、当てはめが小前提、最後に結論という流れです。

   判例を理解しておくだけでなく、試験対策としては、論証集と言われている書籍で、論証を覚えて、そのまま書けるようにしておくことも有効であり、必要なことだと思います。典型論点と言われるような、旧司法試験のころから、繰り返し問われている論点は、具体的な事実関係こそ、少しずつ変えているものの、一般論である規範・要件の部分は、ほぼ同じです。したがって、論証集を覚えておいて、そのまま貼り付けるだけで、点数にもつながり、時間も節約でることになります。

   最初のうちは、どのような答案が点数につながるのかをイメージするために、予備校などが出版している、参考答案付きの問題集を読むことも有効です。これにより、どのように文章を書いていけばいいのかイメージが沸き、具体的な当てはめの感覚も養うことができます。

2 憲法について
 ⑴ 憲法の出題の傾向

憲法は,ほぼ人権から出題されます。やや長めの事例を読み,誰のどのような権利・自由が問題となっているかを読み取り,憲法のどの条文の,どの人権で書いていくかを決めます。最近の傾向として,まず,原告の主張,次に被告の主張を書き,対立点を明確にした上で,最後に私見を書くという出題のされ方が多いです。

憲法は,とにかく判例を勉強しておき,当事者に有利な判例をイメージしながら,それぞれの主張を組み立てていくことになります。したがって,判例の規範や理由付けなどは,正確に理解し,できる限り覚えておくことが有効な対策となるでしょう。また,原告でも被告でも,規範の部分は対して変わらない場合(例えば政教分離が出題されたときなど)は,当てはめレベルで対立点を明確にする必要があります。したがって,判例の当てはめに関して,どういった事実に対してどのような評価を加えて,結論を導いているかなどを意識して読み込むことが有効であり,できれば,言い回しなどを覚えておくとよいです。

 ⑵ 苦労した点など

全ての科目に共通しますが,試験時に,自分の言葉で表現しようと思うと,言葉選びに迷い,無駄に時間を使ってしまいます。論文式試験は,時間との勝負です。途中答案になってしまうことも多いと思います。ですので,どうしたら時間を節約できるかを,自分なりに考えてみることが大事です。判例の綺麗な表現での言い回しを覚えることは,時間節約の一つの有効な対策といえます。私は,有名な判例については,できる限り,そのまま書けるように覚えるつもりで読み込んでいました。

また,予備試験では,時間も2科目で140分,答案用紙も4枚しかないので,時間配分や記載の分量にも気を配らなければなりません。憲法では,原告の主張や被告の反論で,書きすぎないように気を付けていましたし,そのために,できる限り論証などを要約して,短くかけるように練習していました。

憲法は,最初のうちは,理解し難く,答練などでも,何を書いていいのか分からないという状態でした。慣れるまでは,一つの判例を理解するのに,何十分もかかったりしました。判例を読む際には,当事者の主張や,それに対する反論,裁判所が何を考慮して,どのように結論を導いたのかなどを意識して,何度も読み込むことで,感覚を養い,論文が書けるようになりました。

3 行政法
 ⑴ 出題の傾向や対策など

行政法は,年によって,若干出題のポイントが違うように思え ます。多いのは,事例を読み,当事者の代理人であったとしたら,どのような手段を取るべきか,つまり,行政訴訟のどの訴訟を提起するかを問い,その際に仮の権利救済手段として何を選択するか,それらの要件を充足するかが聞かれます。そして,要件の当てはめの部分で,事実認定の問題とすることが多く,特に出題されやすいのが,処分性と原告適格でしょう。

対策としては,まずは,短答式でもやりますが,行政関係の条文をしっかりと頭に入れておくことです。そして,事実認定ができるように,処分性や訴えの利益,原告適格あたりの判例を,規範から当てはめまで,しっかりと読み込んでおくことです。できれば,規範や当てはめの言い回しは覚えておいた方がいいです。

 ⑵ 苦労した点など

 予備試験の行政法は,司法試験に比べると,大分難易度は低いです。短答の勉強をする際に,しっかりと,行政手続法や行政事件訴訟法を読み込んでおけば,論文もある程度解答できるように思えます。ただし,条文を繰り返し読み返すというのは,地味な作業であり,辛かった記憶があります。また,憲法と同様,処分性や原告適格は,一つの判例を読むだけでも何十分もかけることもあり,当てはめの感覚を養うことに苦労しました。

4 民法
 ⑴ 出題の傾向と対策など

民法は,事案を読み,事案の中で生じている紛争に関して,当事者間の権利義務・法律関係を読み取り,適切な条文を選択し,解釈・適用し,結論を出していきます。そして,毎年のようにいわゆる現場思考型の問題と言われる,既存の論証集などに載っている論点以外の論点が出題されるので,やや難しいといえます。大体ですが,物権,債権総論,債権各論のどれかから出題され,たまに,それらと親族,相続を絡めての出題となっています。

 ⑵ 苦労した点など

対策としては,まず,大体全ての条文を知っていなければ話になりません。民法のパンデクテン体系を意識し,条文のどの辺に,どんな条文があるか理解しておくことや,よく使う条文の制度・趣旨は確実に押さえておく必要があります。受験生の中には、親族や相続に弱い方がいるかもしれませんが、私の場合は、司法書士受験の時に勉強していたので、その点は大丈夫でした。

私は,事案を正確に読み,認識するということに,最初のうちは苦労しました。というのは,いわゆる論点主義と言われるように,自分の知っている論点であれば,論証集などを写して書けるので,どうしても,問題文を,自分の都合のいいように強引に解釈してしまうことをやりがちでした。なので,私は,とにかく問題文を素直に読み,自分の知っている論点に逃げないように意識していました。たとえ,上手く書けない場合でも,無理やり自分の書きやすい論点に,問題点を移し替えてしまうよりは,分かる範囲で書いた方が点数は伸びると思います。
判例を読むときも,どの条文の要件の解釈,あるいは類推適用が問題となっているか,そもそも,条文を形式的に適用することのなにが問題なのか,裁判所はどのような理由付けで結論を導いているのかといったあたりを意識して読み込んでいました。

5 商法

 ⑴ 出題の傾向や対策など

   商法は,ほぼ株式会社に関する問題が出題され,会社法の知識が問われます。ただし,ごくまれに,商法や手形・小切手法が出題されることがあるので,ある程度は対策をすべきでしょう。

   商法は,予備試験では,ほとんど典型論点しか聞かれないので,論証集などで典型論点の論証を暗記しておき,当てはめ等を,判例などを読みイメージできるようにしておけば,点数は取れると思います。

 ⑵ 苦労した点など

   私の場合は,司法書士試験の時に,さんざん会社法の条文を読み込んできたので,短答も論文もあまり苦労はしませんでした。論証集の暗記や,旧司法試験の過去問などを解いていれば,ほぼ対応できると思います。

6 民訴法

  民訴法は,たまに現場思考型の問題が出題されますが,大体は,商法と同様,典型的な既存の論点が出題されるように思います。ですので,対策も商法と同じように,論証集などで典型論点の論証を覚えておくことや,条文を正確に適用できるように条文を読んでおくこととなります。

  苦労した点は,用語の定義を正確に覚えたり,処分権主義や弁論主義,既判力などの重要な概念を理解することでした。判例を何度も読み、旧司の過去問を何回か、実際に自分で書いてみるなどして理解していきました。旧司の過去問には、良い問題がたくさんありますし、予備試験でも似た問題が出題されることもありますので、必ず解いておいた方がいいです。

7 刑法

  刑法は,事例を読み,誰に,どの犯罪が成立するかを検討します。普段から,構成要件の客観面,主観面,違法性,有責性の順番で検討するように意識し,複雑な事実関係でも混乱せずに考えていくことが重要です。論証集や判例で,構成要件の解釈や当てはめを勉強しておき,とにかく問題を解いて慣れることが大事です。

  刑法で,理解しづらいといえば,共犯のあたりだと思います。私も,共謀共同正犯などは,理解が大変だったことを覚えています。後は,刑法の書き方に慣れるまでに時間がかかった記憶があります。何回も繰り返し,問題集や旧司の過去問の参考答案を読んでみたり,実際に自分で問題を解いたりして,事案が複雑であっても,混乱しないで,論理的に整理して,各人ごとに犯罪の成否を検討できるようになるまでには,相当な時間がかかりました。

8 刑訴法

 ⑴ 刑訴法は,商法や民訴法と同じで,典型論点がほとんどで,現場思考型の問題はあまり出題されません。ですので,論証集などで典型論点を覚えておき,判例などで当てはめがイメージできるようになっておけば,点数は取れると思います。

 ⑵ 民訴法と同じで,用語の定義を正確に覚えたりするのが,大変だった記憶があります。内容面では,伝聞が難しく,何回も考え直したりと理解に苦しんだ記憶があります。刑訴法も、民訴法と同じように、旧司と似た問題が出題されることもありますし、旧司の過去問を実際に、自分で書いてみるというのが、有効な対策になりました。

9 法律実務基礎科目・民事系
 ⑴ 出題の傾向

法律実務基礎の民事については,大体の傾向は決まっています。まず,当事者間で紛争となっていることに関して訴訟が提起され,その訴訟についての,訴訟物とその個数並びに併合態様,請求原因事実と抗弁,再抗弁事実の摘示,予想される争点の事実認定が問われることが多いです。これらに加えて,当事者の代理人としての訴訟活動,例えば,どのような証拠の提出が考えられるか,準備書面を簡単に記載せよ,法的な手段としてなにが考えられるか(つまり民事保全法の仮の手続を聞いている。)などが出題されることもあります。司法研修所で行う,民裁起案と民事弁護起案を混ぜて,簡略化した感じです。

 ⑵ 対策や苦労した点など

対策としては,問題研究や紛争類型別などで,要件事実の勉強をしておくこと,民事保全法や民事執行法の条文だけでもいいので,読み込んでおくことが考えられます。事実認定に関しては,民法の論文対策で補えると思いますので,特別に実務基礎のために勉強することはないでしょう。

私は,問研や紛争類型別を使用して,訴訟物や要件事実を,一から勉強しました。要件事実は,パズルを解いているようで,面白く勉強できたので,特に苦労はしなかったのですが,要件事実の暗記は,少し大変でした。また,司法書士受験のころに,民事保全法と民事執行法は,一通り勉強していたので,このあたりも苦労はしませんでした。

10 法律実務基礎科目・刑事
 ⑴ 出題の傾向

実務基礎の刑事は,予備試験開始当初から,傾向が定まっていなかったのですが,最近はある程度固まってきたように思えます。当初は,3年連続で犯人性起案と,裁判所として行うべき手続や,勾留の理由などの,そこまで重くない事実認定が問われていました。つまり,検察起案と刑事裁判起案を混ぜたような感じでした。しかし,平成26年以降からは,必ずしも犯人性起案が出題されることはなく,刑事弁護人として,どのような手続を行い,どのような主張をするか,さらに,刑事実務基礎で弁護士倫理が問われることもあり,刑事弁護起案からも出題されるようになってます。ですので,これからは,弁護人・検察官・裁判所の3者の観点をバランスよく出題するものと思われます。

 ⑵ 対策や苦労した点など

対策としては,刑事訴訟法と,できれば刑訴規則も読み,刑事事件の手続きの流れや,どのような制度があるのかを知っておくことが重要です。民事事件に比べて,圧倒的に,刑事事件の場合は,手続の流れを知っておくことが重要になってきます。特に,公判前整理手続きは,論文式試験の対策では勉強しないところなので,条文をしっかり読んでおくべきです。また,どうしても実務的なことが聞かれるので,弁護人の予定主張書面の書き方や,証拠意見の述べ方などを実務系の書籍で勉強しておかなければなりません。事実認定に関しては,犯人性起案の書き方や,勾留や保釈の要件の解釈と当てはめは,論文式試験の対策では勉強しないと思いますので,勉強しておくべきです。

私は,最初のうちは,犯人性起案が全くうまく書けず,苦しんでいましたが,予備校の答練を受けて,書き方の型のようなものを意識して考えるようになってからは,それなりに書けるようになりました。犯人性起案は、自分で書いて慣れることが大事です。後は,殺意や共謀などの事実認定を頑張って勉強していましたが,結局試験には出ませんでした。

11 一般教養

一般教養に関しては,短答式試験と同じで,まったく対策をしないという方が多いと思います。現場で事案を読み,できる限りでいいと思います。
私も,全く対策をしませんでした。法律系で点数を取ればいいので,あまり合格に影響しないと思います。

 

第5 口述試験について

1 概要

予備試験では,短答式試験と論文式試験に合格しても,最後に 口述式試験が待っています。そして,口述式試験に不合格となると,来年は,また短答式試験からやり直しとなります。科目は,民事実務と刑事実務の2つです。なので,憲法などの公法が聞かれることはありません。点数などの細かいことは忘れてしまいましたが,試験官の聞かれたことに答えていれば,落ちることはないと言われています。

2 対策や苦労した点など

対策としては,実務基礎科目で勉強したことを復習しておけばよいと思います。口述試験では,「落ちたら恥ずかしい」,「来年また最初から」といったプレッシャーや,試験官2人の前で話すことへの緊張に負けないことが大事だと思います。私は,大学のゼミなどに所属していなかったので,ほとんど話す練習をする機会がなかったのですが,一度だけ,予備校の口述模試を受け,質問に答える練習をしてきました。

本番でも,試験官は,決して圧迫面接のようなことをすることはなく,受験生が質問に対して,頑張って答えようとしていれば,なにかしらの助け舟を出してくれます。そして,その助け舟などを借りながら,試験官の質問に答えて行けば,まず落ちることはないと思います。私も,全ての質問にスムーズに答えられた訳ではなく,ところどころ考えてしまったりした場面がありましたが,試験官の助言などにより,無事,最後の質問まで答えることができました。
口述は,とにかく,しっかりと会話をすることで,間違っても試験官と口論してはいけません。普通に質問に答えて良ければ,合格できます。後は,2日にかけて行うので,時間を間違えないことや,広い部屋で,大分待たされた記憶があるので,場合によっては長時間待つことを想定しておく必要もあります。

 

第6 さいごに

1 司法試験とのつながり

予備試験と司法試験は、上記のように細かい違いや、少し難しくなるといった違いはありますが、ほとんど同じと言っても過言ではありません。実際に,予備試験合格者の3人に2人は,一発で司法試験も合格しています。私の場合も,予備試験合格後にした勉強は,選択科目を除けば,論文の新司法試験の過去問を3回回したぐらいで,法律7科目については,新しいことはしておらず,新しく講座を受講するということもありませんでした。

予備試験は,合格するためにやるべき分量は多いかもしれませんが,一般教養以外の全てが,そのまま司法試験にも役立ちます。そう考えていれば,モチベーションも維持しやすいと思います。

2 効率的な勉強方法

予備試験も,結局は,答えのある(論文は採点基準のある)ものですので,早めに,大学の研究室等で勉強を開始して、その他予備校などの講座を受講、参考にして,どのように書けば点数が取りやすいか,型を覚えてしまった方がいいと思います。

私の場合は,とにかく,予備校の基本書,論文用のインプット講座を何回も回して,予備校の論証集をノートに書き写して,いつでも,答案で書けるようにしておくというような勉強をしていました。また,論文を綺麗に書く自信がなくても,どんどん答練を受講して,実際に自分で書いていました。人に添削をしてもらうことによって,自分の足りないところが自覚できるからです。こういった作業を淡々と繰り返していたのが,短期の合格につながったのだと思います。 

以上

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