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合格体験記 私の司法試験合格法

篠原 一生
平成19年 3月 神奈川県立横浜立野高校    卒 業
平成23年 3月 明治大学法学部法律学科    卒 業
平成24年度   予備試験           合 格
平成25年 3月 早稲田大学法科大学院(既習) 修 了
平成25年度   新司法試験(選択:労働法)  合 格
平成25年11月 司法研修所(第67期)    入 所
平成26年12月 弁護士登録(第一東京弁護士会)   

1 はじめに

 私は、平成25年に司法試験に合格しました。このたび、明大法曹会から機会をいただき、何か後輩の皆様に伝えられることがあればと思い、合格体験記の執筆をさせていただきました。
私は、小さい頃から、人が重大な問題で悩んでいるのを解決できるような職業に就きたいと考えており、政治や行政の場での複雑な利害の絡む問題の解決に憧れておりましたが、やがて目の前にいる人の力になれる仕事を志すようになり、弁護士を目指すようになりました。小学校高学年から中学校に入るくらいまでに、将来は弁護士なろうと決めており、大学も法学部のみを受験し、大学入学直後から司法試験の勉強をしていました。
 もっとも、大学入学前もその後も、勉強一辺倒ではなく、部活やサークルやアルバイトなどいろいろな活動をしながら、効率良く勉強して司法試験の合格にたどり着くことができたと思っておりますので、この合格体験記ではその点をお伝えできればと思います。

2 勉強のやり方を勉強するところから

 法律の勉強は難しいです。また、数ある資格試験の中でも、司法試験の勉強は特にやりづらいと思います。法律の勉強では、各法律で出てくる概念の難しさもさることながら、基本書と呼ばれる教科書は1つの法律につき何十種類もある、判例に関する本も判例百選をはじめとして何冊もある、コンメンタール、予備校本、実務本などその他よく位置づけの分からない本もたくさんある、同じ条文や論点について、本によって書いてあることが全く違うなど、とにかく勉強するといってもなにをどう勉強すれば良いのかが分かりませんでした。また、司法試験については、基本書や判例に書いてあることをただ覚えていっても、今まで見たこともないような事例を出されることがほとんどで太刀打ちできず、一体どういう勉強をすればこの問題がきちんと解けるようになるのかが分かりませんでした。
 このように、法律の勉強は、やり方も分からないところから始まりましたが、私は、法制研究所の研究室等を通じてロースクールに合格した先輩、新旧の司法試験に合格した先輩等の色々な方から勉強方法、使用教材、論文の書き方等を教わることができました。また、明治大学では辰已法律研究所と提携しており、安価で六法の基本講座が受けられたのでそれを利用しておりました。色々な方から勉強のやり方を教わったおかげで誤った勉強をすることなく勉強を進めることができ、また、予備校の講座も実務家の方が実務を交えてわかりやすく、基本的なところに絞って教えてくれたので、勉強のスタートとしてとても有用でした。
 大学の3年生以降は、当時の法制研究所上級研究室に所属し、先輩からの論文添削等を受けつつ勉強を続けました。ここでも研究室の先輩からいろいろと勉強についてアドバイスをもらうことができました。

3 中級者の勉強法~ロースクール入学後の勉強~

 ロースクールに入学してからは、それまで覚えてきた論証等は一旦リセットし、一から勉強するような感覚で勉強を続けました。ロースクールの授業では予習課題が出て、授業では予習課題を前提に当てられて答えるというソクラテスメソッドが中心となるため、授業の予習、復習を勉強の中心に据え、また、基本書や判例も、それまでの勉強で手薄だったところや授業で扱わないところも含めて読み込むようにしました。特に、判例については調査官解説をよく読みました。
 また、入学して間もないころから自主ゼミを組み、司法試験の論文試験の過去問を毎週1問ずつ解いて、自主ゼミのメンバーで答案について議論する、ゼミで出た疑問点については後で調べたり、教授に質問して解消するという勉強をしていました。この頃になるとどのメンバーもある程度実力があるため、他人の答案を読んだり、自分の答案の問題点を指摘してもらうという勉強は大変効果的でした。

4 試験対策

(1)択一について

 択一の対策としては、肢別本を使って過去問を何度も解いて勉強をしていました。また、問題をただ解くだけでなく、条文の趣旨や判例の理由付けまで遡って確認する、解いた問題と関連する事項についても覚えているかをチェックし、復習するということを意識していました。例えば、不法行為債権を受働債権とすることができないという肢が出た場合に、条文のみでなく、なぜそのような条文があるのか、という点も復習したり、労働債権は一般の先取特権であるという肢が出た場合に、他の一般先取特権についても確認する、といった具合に復習をしていました。また、予備校の択一答練も活用していました。辰巳の答練は科目ごとに分けて試験を行う形だったので、その週に出る範囲の肢別本を予め解く、というやり方をしていました。

(2)論文について

 こちらは勉強のステージによってやり方が違っていました。学部生のときにはまず書き方や答案の完成形が分からないので、書き方を教わり、自分が書いた答案を先輩に添削してもらうという形で勉強していました。
 ロースクールに入ってからは、ある程度実力がついてきているので、自主ゼミのメンバー同士で添削しあったり、問題を見て答案構成のみ作るという勉強を繰り返していました。司法試験の過去問については自主ゼミで全てフルの答案を書き、問題集については答案構成のみ作成して数をこなすというやり方にしていました。司法試験の過去問は自主ゼミでしっかりとメンバーから見てもらえる機会なのでフルの答案を、問題集については他の受験生が解いているものを一通りまわしておく必要があるとの観点から答案構成のみにとどめました。
 また、時間内に答案を仕上げる訓練として予備校の答練を活用していました。

(3)試験結果

 私は、ロースクール3年次に予備試験に合格しました。もっとも、予備試験のための勉強というのはほとんどしていませんでした。予備試験と本試験は形態が少し異なりますが、問われている内容は同じなので、特別な対策は不要だと思います。実務系科目についてもロースクールの授業以上の問題は出ないので、そのレベルの対策で十分だと思います。
本試験の結果は択一301/350(80番台)、論文500番台、総合450番でした。
択一と論文の関係についてですが、司法試験本試験では「合否は択一で決まり、順位は論文で決まる」と言われています。司法試験では、論文の試験は素点を出したあと偏差がかかり調整されますが、択一の点数には偏差がかからずそのまま最終的な点数に反映されるため、比重が高い論文で良い点数が出ずに択一のみ良くても高順位は出ませんが、択一で低い点数を取った人が偏差のかかる論文で逆転合格することは難しいと言われています。また、択一で高得点を取れる人は論文で大失敗しないので成績が安定します。なので、私は合格のためには択一は重視する必要があると考えていました。また、択一をまわしていると、自分が忘れている論点に気付くので、私は択一の勉強をしながら論文の穴埋めもするという勉強方法をとっていました。

(4)本番について

 私の場合、試験前の1か月でなにかを詰め込むということはせず、体調を万全にすることだけを考えて試験を迎えました。試験会場にも勉強道具は持ち込みませんでした。私の友人は休憩時間は一切試験のことは考えずに稲川淳二の怪談を聞いていたとのことですが、私は休憩時間には、ひたすら本試験の3ヵ月前から始めたパズドラに勤しむという過ごし方をしていました(なお、試験会場では電子機器の使用が禁止されており、試験監督員からパズドラについて注意を受けたため、注意を受けた後は試験会場の外でパズドラをしていました。)。

5 最後に

(1)情報の大切さ

 司法試験の勉強は、たくさん勉強することは大前提ですが、効率よく実力を向上させ、色々な活動と並行しつつ短期間で合格するには情報の力がとても重要です。私自身、先輩方を含めた色々な方々から色々な情報をいただくことでうまく勉強することができました。
 私が学部生のときに神田英明先生から教えていただいた点で、今でも真理だと思っているのが、「司法試験の合格には、学者、予備校、先輩の力を均等に使うことが必要である。」という言葉です。学者は基本的には試験対策のために授業をするわけではないため、学者のペースに乗って勉強をすると短期間での合格が難しくなる一方、司法試験はときに深く勉強をしなければ理解がきちんとできないことがあり、また、試験の問題を作るのは学者の先生方なので、学者の言葉に一切耳を傾けないとすれば合格から遠のくことになります。予備校は、試験によく出るポイントをかいつまんで指導するため、これのみに頼っては深い理解ができず、また結局は売上げを出すことが究極の目的なので、盲信するのは危険である一方、過去の合格者や合格答案をたくさん見てきており、司法試験の問題傾向やデータも徹底的に分析していることから受験生目線で必要な情報やツールを持っており、このような点はしっかりと活用すべきです。先輩、というのは、誰もが確実な実力や正確な情報を持っているわけではなく、また、勉強方法等も自分と必ずマッチする人とは限らないため、常に信用してはいけない存在である一方、予備校や学者等をうまく活用して合格までたどり着いた人であるまたは自分よりも一歩進んでいる人であるという点には変わりなく、失敗談や成功談もたくさん持っているので、「実際のところどうすればよいのか」という問に対して一番身近に正解を持っている存在でもあります。
 これから司法試験を目指される方、既に目指している方は、勉強のための情報を大切にしていただき、効率よく短期間で合格していただければと思います。

(2)失敗の度に反省する

 これまで、効率よく勉強してきたことを述べてきて、まるで失敗がない人物かのような書きぶりですが法律の勉強をしていてうまくいかないことはたくさんありました。もっとも、私は何かの試験があったときには、試験が終わったあとにすぐに分からなかった問題について復習するようにしていました。普通試験が終わった後というのは思い出すのも嫌なので、結果が返ってくるまで問題にタッチしない人も多いのではないかと思いますが、試験中に「これなんだっけ…」とさんざん頭を悩ませたすぐ後に復習をすると、試験で思い出せなかったこととセットになって記憶できるので二度とその問題、論点を忘れなくなるためです。また、司法試験本試験にたどり着くまでには、期末試験、法学検定、法学既修者試験、ロー入試、予備試験等たくさんの試験がありますので、一回一回の試験でできなかったことをできるようにしていくだけでかなりの実力が付くことになります。
 私の場合でいくと、学部4年生のときに受けた旧試験の択一で憲法が20点中8点ということがありました。前年が12点くらいとれておりそこから1年勉強したのに点数が下がったというのは非常にショックでした。そこで、憲法についてはしっかりと復習して法学既修者試験に臨んだところ憲法は40点中36点と9割取ることができました。しかし、今度は法学既修者試験の刑法で16点という点数を取ってしまいました。その後刑法についてもみっちりと復習して、慶應ロー入試の択一では9割取ることができました。
 他にも細々した点はありますが、私の法律の勉強はこんなことの繰り返しでした。もっとも、失敗する度に復習を繰り返すことで、だんだんと成長していったんだと思っております。
 勉強につまづいている方も、一度の失敗で諦めることなく前向きに淡々と失敗した点を埋めていっていただければと思います。

 以上
(H28.10.12執筆)