BGM:明治大学校歌(明治大学グリークラブ、明治大学応援団吹奏楽部)PLAY PAUSE ▲POPUP 

Home > 司法試験合格体験記・予備試験合格体験記 > 菅谷 徹

司法試験合格体験記 私の司法試験合格法

菅谷 徹

 

〒104-0061
東京都中央区銀座4丁目13番地5号 
新銀座法律事務所
弁護士 菅谷 徹
TEL 03-3248-5791
FAX 03-3248-5794
Homepage www.shinginza.com
Email t-sugaya@shinginza.com
   webmaster@shinginza.com 
 
略歴
茨城県稲敷市(旧稲敷郡新利根村)出身
新利根村立新利根中学校卒業
茨城県立竜ヶ崎第一高等学校卒業
明治大学法学部卒業(昭和49年)
昭和57年 旧司法試験合格 司法研修所37期
東京弁護士会登録

 
 

 
私が昭和57年、司法試験に合格した時に執筆した合格体験記が明大法曹会からの依頼で今回法曹会HPに掲載の運びとなりました。勉強の方法は法律の解釈学という点で同一であり時を経ても役に立つかもしれませんので参考にしてください。
最後に当時明大4研究室合同答案練習会の会長をされていた弁護士横幕武徳先生の励ましの言葉(合格体験記巻頭言)が記憶に残っていますので最後に付記いたします。
 
*******************************************************************
 
雑感
 

一、想い

司法試験は、私に一体、何を残したのでしょうか。あまりにも長い受験生活の中で、さまざまなことがありました。それらすべてが、今の私に、何らかの影響を与えていることは確かです。しかし、それがどのような影響を与え、何を残したのか、冷静な目で分析することは、今の私には不可能です。
口述三度目で、やっと最終合格を果たした私には、この二、三年の苦痛が、いまだ強く後を引いているからです。ただ現実に手にしたものは、味も、そっけもない、合格証書一枚なのです。人は人生で、さまざまな苦しみを味わうはずです。他の人の苦労からすれば、私のこの程度のことは、取るに足りないかもしれません。しかし。私自信が、二度の口述失敗で味わったものは、いいようのない自己嫌悪と屈辱感、そして、人生に対する絶望感でした。たかが司法試験くらいでと、お思いでしょう。しかし、二度目の最終合格発表の中に、自分の名前がなかった時に見たものは、やはり地獄だったのです。喜び合う人々の渦の中で、呆然と立ち尽くした私は、この試験の冷酷さを、身体で感じたのです。この一年、何をやって来たのでしょうか。司法試験受験を、断念しようと思いました。虚脱状態のまま、数週間が過ぎました。しかし、周囲の、いぶかしそうな目の中で、私はようやく冷静さを取り戻しました。この時、二度目の論文合格に、来年への、ささやかな望みを持ち始めていたのです。まだ来年も、口述受験資格があるではないか。このまま断念したら、ほんとうに後悔の人生を送ることになりはしないか。そう思った時、先に進む意外にはなかったのです。逃げるように、田舎を離れました。それまで一人で勉強してきた私は、上京し、初めて研究室に入ったのです。無気力感の続く一年でした。仲間は増えても、孤独感は消えませんでした。とにかく最後の受験生活にしようと、残る力を出し切る意外にはなかったのです。後はすべて、時が解決してくれると思いました。あっという間に過ぎた一年。そして、三度目の最終発表・・・・それは、ただ安堵感のみでした。
 

二、勉強法について

はじめに
私は52年に初めて択一に合格し、論文は55年、56年に合格しました。前に述べたように、口述は二度失敗し、三回目の今年、最終合格をしました。勉強方法は、人それぞれ異なっています。それは各人が、自分自身でみつけていく以外にはないと思います。したがって、たとえ最大公約数的に何をやったら良いかは言えても、受験生諸氏に、具体的に何をすべきかは言えません。私が今から述べることは、私の採った勉強方法です。合格者の勉強方法の、ほんの一例として参考にして下さい。

三、短答式試験

私が初めて択一に合格した年迄に、憲民刑の基本書は、10回位読んでおりました。52年は、1月から択一、一本にしぼり、本番迄に、過去問と条文を三回ずつ繰り返しました。判例は、模範六法に載っている憲法判例を読んだだけで、他は特にやりませんでした。そして、この期間中、基本書はいっさい読みませんでした。過去問は一問づつ丁寧にやり、各肢を解説を読みながらチェックしていきました。この作業は根気が必要です。一日、10時間位、問題集をやりましたが、どうしても先に進まなくなる時が着ます。その時には気分を変えて、条文に目を通すことにしました。53年度からは、択一開始時期を三月にし、本番迄、過去問二回、条文二回を原則としました。この機関も基本書は読みませんでした。また、需要判例は、論文の勉強の際、フォローしておりましたので、やはり、やりませんでした。ここ二、三年、問題の傾向に変化がみられます。しかし私は以上の方法を続けました。確かに、最近の択一問題は、知識のみを問う問題よりも、その場で考えさせる問題が増加しているようです。しかも、法律の知識がなくても解ける問題も出題されています。しかし、基本的には、従来の一般的な勉強方法(基本書、過去問、条文)でいいと思われます。従来と変わりのない問題も出題されていますし、現に、それ迄の択一に実力のある人は、ほとんど合格しているからです。また最近の憲法などは、さまざまな文献からの引用が目立っています。しかし、やはりこれらの文献に手を出す必要はないと思います。それを読む時間的余裕もありませんし、また、読んでいないからといって解けない問題でもないからです。ただ一つ対策としては、このような傾向の問題に慣れることです。数多くあたることによってその対処法を身につけることが有益だと思います。択一は気力の勝負です。本番もさることながら、択一前二ヶ月位の集中した勉強が、合格の条件です。
 

四、論文式試験

論文式試験は、択一終了から論文開始迄の、二ヶ月間の集中的な勉強が大切だと考えます。特に、択一発表が気になり、勉強が手につかない人が多いのです。しかし、この時期が、論文で最も実力をのばす時期だと思います。私はこの時期に、三法以外の四科目を1回まわしました。一科目5日平均です。択一発表後は、まず憲民刑の三法を、やはり一科目平均5、6日で1回まわしました。さらにその後、再度他の四科目と、別の論点集で各1回ずつまわしました。結局私は、この二ヶ月間に、三法1回、他の四科目二回ずつ勉強した事になります。ところで、このように、一科目を5、6日でまわそうとすると、使用するものは限られてきます。その日数で、全論点が整理できるようなサブノート、問題集、または演習そのものです。私は自分でサブノート等を作っておりませんでしたので、市販されているものを各科目一冊か二冊を選び、利用しました。そして、これ一本にしぼって勉強したのです。この時期、一日10時間以上は勉強しました。この二ヶ月で、これらのものを集中的に読破するためには、普段の答練の際に、じっくり読んでおくことが必要です。私は毎年、答練の計画に従って勉強しておりました。その際、週の初め三日間を、先ほどの問題集等で論点をつぶし、後半の三日間で基本書を読む事を原則としました。しかし三日間で基本書を読む事が困難な科目もあります。その場合には、基本書をやめ、前半三日間で勉強した論点を、別の論点集等で繰り返すことにしました。したがって、この場合、一週間で同じ論点を二度繰り返すことになりました。答練で出題された問題は、確実に自分のものにしようと、レジメ、参考答案等で、必ず復習することを心がけました。
答練は自分の勉強のペースメーカーとして有益です。そして、一日ごとに計画を立て、今日やるべきことは必ずやり遂げることが大事です。私もこのような勉強方法は、論点主義です。最も注意したのは、いわゆる「穴」をつくることです。この「穴」を埋めるために、大きな論点から、小さな論点まで、出来る限り広くフォローしようとしました。基本原理、原則も、一つの論点と考えて、その展開を勉強しました。しかし、この勉強方法で最も大切なことは、問題の背景となっている基本原理、原則、制度趣旨にさかのぼる思考方法を身につけることです。この思考方法は、わからない問題がでた場合に役立ちます。そして、これさえやっていれば、先ほどの「穴」もそれほど、恐れるに足りないのです。論文問題にはいくつかの設問形式があります。その形式に応じた答案構成のパターンを憶えることも大事です。これは、参考答案、問題集等を利用することによってマスターすることができます。また答案は、基本的には、事実分析、問題点指摘、結論、理由という順で論ずれば良いのです。いわゆる法的三段論法といわれているものです。したがって、普段勉強する際にも、このパターンで整理するのが合理的です。大なり小なり合格者の誰もが利用している方法と思います。
 

五、口述試験

最近、口述不合格者が増加しています。あらかじめ口述対策をしておくべきでしょう。私の場合、この一年間、市販されている過去問10年分を、ゼミで検討してきました。本番の口述問題の半分以上は、この中から繰り返し出題されているようです。これらは論文試験にも役立ちます。試験委員がどの程度のことを聞こうとしているのかを知る事もできますし、また現に、論文の問題は多くこの口述問題を参考にして出題されているからです。夏の間、これらの問題集で、本番形式の練習をするのも有益です。頭で理解していても、口頭でわかりやすく説明する事のむずかしさを認識するはずです。
また同時に、自分が十分に理解していなかったことも認識するはずです。特に口述では、定義、概念、基本原理、原則の正確な把握が大切なのです。口述試験は緊張の連続です。この緊迫した中で、質問の趣旨をすばやく理解し、自己の考えをのべなければなりません。しかし恐れる事はありません。要は、自己の結論または考えを簡潔に即答することが大切なのです。間違いを恐れる必要もありません。間違った答えを言った場合には先生が繰り返し質問をしてきます。そのたびに、素直に撤回すれば良いのです。わからないからといって、沈黙してはならないのです。私の場合、質問されて考え込んでしまう傾向がありました。これは出来る限り、さけなければなりません。そそういう場合には、自分の思考過程をそのまま口にだすか、質問の趣旨をもう一度先生にたずねてみるのです。後は先生が導いてくれるのであり、それに乗る事です。口述では会話の流れに乗る事が重要なポイントの一つだと思います。総じて、先生に教えを乞うという謙虚な態度で接することが大切だと思います。
 

六、最後に

司法試験はいうまでもなく競争試験です。他人に勝たねばなりません。勝つためには、他人以上の勉強をしなければなりません。また、この競争は、自分との競争でもあります。自己との闘いにも勝たねばならないのです。この闘いは孤独なものであり、その孤独を乗り越えた者だけが、最後の栄冠を勝ち取るのです。油断してはなりません。一日一日が、プロの受験生としての勝負なのです。いちはやく自己の環境を整理し、集中的な勉強にとりかかれる体制作りをすることです。その後はただそれを継続するのみです。その継続に苦痛を感じなくなった時勝利への道が開けるのです。受験生諸氏のご検討を祈ります。
 
*****************************************************************
 
昭和57年度合格体験記 巻頭言
 
宮本武蔵の語録に「わがことにおいて後悔せず」という一句がある。又別に「ことにあたって死をいとわず」というのもある。彼は若年より「国々処々におもむき諸流の兵法者に行きあい、60余度まで勝負するといえども一度もその利を失わず。そのほど年13より28,9までのことなり」といった風であったが、その勝負のたびごとにあらためて死という原点を見据え勝ち負けを度外視して試合そのものに徹しえたればこそ「わがことにおいて後悔せず」となるのである。
試験の前になると必ず不安が襲う。果たして合格できるだろうか。もしかしたら一生合格の喜びを味わうことが出来ないかもしれない。寄せては返す波の様に不安は胸の中に現れては消える。
しかし、誰でもその素質において比べものにならないほどの差はないはずである。勿論とびきり優秀な人達は居るかもしれない。しかしその数は極めて少なく殆んどはどんぐりの背比べである。とするならば、合格を決定する要因は何だろう。「努力」これしかあるまい。「わがことにおいて後悔せず」というほどの努力をするかしかないかがすべてを決するのである。人よりも多くの時間を費やし、多くの書物を読み、明確な知識を収得することにひたすら徹すべきである。
ためされているのは、おのが性根なのである。
                            
 明治大学四研研究室合同答案練習会

会 長  横 幕 武 徳
(昭和58年6月)

合格体験記についてご質問がある明治大学の受験生は☏、メール、FAXで執筆者事務所までご連絡ください。お名前、電話番号、メールアドレスを必ず付記してください。電話またはメールでアドヴァイス致します。webmaster@shinginza.com(明治大学法曹会合格体験記担当者)