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私の司法試験合格法    合格体験談

         明治大学法科大学院(未修)2013年修了   原 雅彦

私は、明治大学法科大学院未修コースに入学し、2013年に未修として修了しました。
その後、司法試験は2回失敗し、今年3回目で合格しました。
その受験経験を振り返ってこの試験のために重要なことや、反省点とそれに基づくアドバイスをいたします。

1.モチベーションの維持

まず、司法試験合格にむけてモチベーションを維持するには、将来像を思い描き、それに向かって全力を尽くそうとする強い気持ちが必要です。
私のように長期戦になった場合にはこれは必須であると思います。
私は、1982年 青山学院大学経済学部卒業し、三菱商事に入社し、準定年退職まで29年間三菱商事に勤務していました。
三菱商事では管理部、審査部、M&A部、企業投資部(プライベートエクイティ=非上場投資)等を経験し、最後は三菱商事のベンチャー投資ファンドの運営会社ミレニア・ベンチャー・パートナーズを設立し、取締役に就任し、25億円の1号ファンド、120億円の2号ファンドのファンドマネージしつつ、約50社の投資先ベンチャー企業に対する上場に向けたアドバイス等をしていました。
そして、将来会社を辞めた後は日本の未来の経済的成長を牽引するベンチャー企業を支援する専門家になりたいと思うに至りました。
長年の会社経験から、会社内において必要な知識・ノウハウは、税務・会計・労務・法務であることを痛感し、日商簿記検定1級、税理士、社労士、司法書士などの資格を取得しました。
これは、当時の職務上の必要性とベンチャー企業が1人の専門家に相談すれば問題は解決するという一気通貫の総合的なサービスを行うニーズがあると確信していたからです。
小規模のベンチャー企業が税理士や司法書士など複数の専門家を抱えることは不効率であるし、また、税務と会計と法務とはしばしばバッティングします。
特に、会計と税務ではその考え方は正反対であるし、また、事業方針についていくつかの選択肢がある場合、法律上はその選択肢が可能であるのに、税務上は不利になる場合もあり、異なる専門家を起用すると混乱が生じることもあるので、総合的なサービスのニーズがあると思ったからです。
しかし、ベンチャーキャピタルの仕事を通じ、これらの資格だけでは紛争の解決はできず、総合的なサービスとはいえないことを認識し、弁護士資格が必要だと思いました。
そこで、将来一気通貫の総合サービスを提供できるようにすべく、弁護士資格を取得するために、会社を準定年退職し、明治大学法科大学院に入りました。
安定したサラリーマン生活を捨てるという選択をした自己の責任とこのようなベンチャー支援の総合的サービスをしたいという目的こそが長期戦に耐えられたモチベーションであったといえます。
個々人の将来像を描いて勉強することは非常に重要であると思います。

2.軌道修正の必要性

次に、長期戦にしないための軌道修正をすることが重要です。
法科大学院に入学して、法科大学院の成績はGPA3.24で悪い成績ではなく、一発合格も可能かと思いましたが、現実には司法試験には2回落ちました。
1回目、2回目の本試験の成績はいずれも2000番台の半ばの成績でした。
このような結果は、1回目の受験の際の勉強方法が誤っていたことと、1回目に失敗したときにその失敗の原因を十分分析せず、軌道修正を怠ったことが原因だと思います。
1回目の受験の際には司法試験は知識の試験と勘違いしており、1回目に失敗したときは、もう少し知識を増やせば受かると思って、勉強方法や自己の意識を改めませんでした。そのため、1年目は、論点の暗記や判例の暗記が中心で、2年目もその延長の勉強方法をとりました。
さずがに、2回目に失敗した後に、客観的な試験結果を見てその考え方は誤りであると痛感し、このままでは3回目も間違いなく失敗すると思い、過去に受けた答練の添削の内容などを分析した。
その結果、私の場合、知識ではなく、法的思考過程を明確に示していないことが原因だとわかりました。
司法試験は、法的な思考力を試す試験ですから、法的三段論法による論述が必須であり、自分はそれが不十分な答案を書いていたということを認識しました。
3年目にはこの点を意識することにより、答案を作成したところ、予備校(辰巳)の模試でも受験生3196人のところ821番でBランクのところが、3194人中89番でAランクに改善しました。そして、本試験でも、1000番以内に入り、979番の成績でした。辰巳の答練を受けていましたが、答練の添削者からは、「非常に印象のいい答案です」との評価が多くなりました。
このことから、基本的知識を理解することは重要でありますが、この基礎的な知識をもって、法的三段論法で答案を明確に示すことに尽きると思いました。

3.法的三段論法の注意点

ここで、法的三段論法についての注意点を述べます。

三段論法は、① 問題提起(条文の条項を書き、具体的な文言を記載する)、② 条文の趣旨(制度の趣旨や保護法益)、③ 規範の定立、④ あてはめ(事実認定)の順で論じます。

この三段論法を使えば、暗記量も減り、未知の問題にも対応できるというメリットがあると思います。

なぜならば、この中で暗記を要するのは②の趣旨・規範ですが、もし趣旨が分からないときには、自分で条文の合理的な趣旨を考え、それに基づいて規範を立てれば、それなりに評価されると思われるからです。

一方、注意点しなければならない点として、① 全ての論点について法的三段論法を通すとすると、時間が足りなくなるので、重要な論点に絞ること、重要でない論点については、厳格な三段論法を取る必要はなく、理由のみ述べて簡単に済ませること、② 問題文から具体的な事実を拾ってきてあてはめをするときも、単に拾ってきただけでは点数にはならないので、自分なりに事実を「評価」というクッションを入れることだと思います。
これらの点については、論文過去問の合格者の再現答案を参考にすることにより、感覚的に身につけることができると思います。
もっとも、誰もが暗記しているような定義(たとえば、行政事件訴訟法3条1項の行政「処分」、9条の原告適格、刑法の「偽造」の定義)なとは暗記すべきです。
必ずそこには配点があると思われ、受験生は皆書くので、差がつくからです。
このように、司法試験のために必要なのは、知識を増やすことではなく、基本的事項を理解し、法的思考過程を答案で示すことができるかであることが重要であると思います。
暗記はある程度やったのに、点が伸びないという人は是非これを意識すべきと思います。
まだ、基本的知識が充実していないという人は、基本的知識の習得に加え、このような意識を持つことにより合格できると考えられます。

4.合格に直結する受験テクニック

私の反省や教訓を踏まえて、合格に直結した受験のテクニックや勉強法を挙げます。
(1 ) まず、設問をよく読んで、問題文で聞かれたことに素直に答えることです。
設問で聞かれていないような関連事項をいくら書いても点にはならず、時間の無駄になります。
問題文を読んだ後設問をまた読み直すことによって、回答すべき範囲が限定されていることに気付いたことはしばしばあったので、回答する前にもう一度設問を読むことをお勧めいたします。
さらに、特に誘導がある行政法や民訴法については、それに乗った答案を書くことです。採点者の立場に立って考えれば、せっかくヒントを与えたのにそれを無視することは、問題文を読んでいないとみなされて、極めて心証が悪くなるからです。
出題趣旨等より、誘導の部分ごとに配点があると考えられるので、必ずこれを認識することが重要です。
(2) 次に、条文の要件を漏れなく書くことです。
民事法上ある請求権が発生するには、条文上や解釈上のすべての要件を充足する必要があるから、その要件を外せば、請求権は成り立ちません。
また、刑法でも、すべての構成要件を書かなければならいません。構成要件の一部が書ければ処罰できないからです。
ただし、すべての要件について厚く書けば時間はなくなりますので、重要な部分な要件は厚く、重要性が低い部分は薄く書くことがポイントだと思います。
さらに、刑法は、まず、検察官の立場から、できるだけ重い罪から検討することが重要です。
例えば、窃盗と遺失物横領が問題となりそうな場合には、窃盗の成否から書く必要があります。
その後、弁護人の立場に立ち、検察官の主張と弁護人の反論が大きくぶつかる争点を厚く書くことがポイントだと思います。
(3) 過去問の重要性
論文の過去問は、なるべく早く手をつけることが重要だと思います。
私の場合、1年目は時間もなく、過去問の解説を読んだだけで終わりました。
3年目の受験に際しては、過去9年分の過去問は一通りやりました。
過去問は質が高く、また、何を書けば合格するか、親切に出題趣旨や採点実感に記載されているので、新たに問題集を買ってやるのではなく、過去問を集中的にやることが重要だと思います。
また、上位合格者の模範解答も検討することも有効だと思います。
それから、論文対策としては、絶えず書かないと書く要領を忘れるので、本番直前にも1通でもよいから、答案を必ず書くようにした方がいいと思います。
短答対策については、過去問が中心になりますが、間違えたところを整理して残すことが重要だと思います。
そして、過去問でカバーできない問題も出る可能性があるから、似たような概念、例えば、民法では、地上権と賃借権と借地権についてそれぞれの共通点と相違点を表に自分でまとめてみると、覚えやすいと思います。
これを昨年作成したおかげで、今年の受験においては、短答と論文の勉強時間は、1対9以下にすることができました。

5.最後に ― 明治大学、明治大学法科大学院の司法試験受験者の方々へ

司法試験は、基礎的知識があり、勉強方法を間違えなければ必ず合格する試験だと思います。
そのため、基礎的知識が足りない方はその充実を図る必要はありますが、基礎的知識がある方は自身の思考過程を明確に伝えるように答案構成をするように絶えず心がけることが重要です。
前に述べました私のアドバイスが少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
そして、モチベーションを維持しつつ、あきらめずに頑張ってください。
皆さまの早い合格をお祈りいたします。
以上