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合格体験記 私の司法試験合格法

山下大輔

明治大学政治経済学部政治学科2011年度卒業
明治大学法科大学院既修者コース2014年度卒業
平成27年度(2015年度)司法試験合格

第1 経歴及び法曹志望の動機

1 法科大学院入試について
私は、明治大学政治経済学部に所属しておりました。大学4年次まで、「麻雀でいかに勝つか」ということばかり考えて過ごしていました。しかし、大学4年次のゼミで、環境政策について勉強していた際に、政治や行政の分野で救済されない市民がいること、そして司法の分野で市民に寄り添い、長い年月をかけて救済を実現する弁護士がいることを知りました。そのような弁護士像に強いあこがれを抱き、法曹を目指すことを決意しました。
法律の勉強は全くしたことがなかったので、予備校の答練講座等も利用しましたが、ほぼ独りで勉強し、大学卒業後の法科大学院入試を目指しました。
2 法科大学院在学中について
明治大学に4年間通い、愛着があったこと、何かの間違いで既修者コースの特待生として合格したことから、明治大学法科大学院に2012年に入学しました。今まで独りで法律の勉強をしていたため、たくさんの仲間と法律の勉強ができることが非常にうれしく、刺激的ではありました。しかし、優秀な方も多く、法科大学院在学中は、勉強についていくのに必死という感じでした。
3 1回目の受験について
1回目の受験では短答式は合格していました。論文式については「民事系科目で失敗したかもしれないけど、たぶん大丈夫」と根拠のない自信を抱いていました(結果、民事系科目のみならず、選択科目も失敗しておりました)。そのため、9月の合格発表まで全く勉強することなく、友人と海外旅行に行く等、遊び呆けておりました。この時期に遊び呆けていたことが原因で、2回目の受験期間において、5月時点の知識を取り戻すのに苦労したり、失ったお金を貯めるために深夜にアルバイトしたりする等、後に辛い思いをすることとなりました。
4 2回目の受験開始について
1回目は、受かっているものと思い、発表日に法務省の掲示板を見に行きましたが、自分の受験番号はありませんでした。非常にショックが大きく、しばらく引きこもろうとしていました。しかし、発表の次の日から、友人に無理やり学校に連れてかれ、勉強を始めることになりました。今思えば、無理にでも学校に行き、すぐに勉強を開始したことは非常に良かったです。

第2 短答式の勉強方法

1 総論
短答式については、1回目も2回目も、合格者平均を上回る成績でした。そこで、以下では短答式について、自分なりの勉強方法を紹介します。
2 勉強を意識した時期について
1回目も2回目も、試験前年の9月くらいから短答式の勉強時間を別に設けました。受験生の中には、試験の2,3か月前から、判例六法を片手に知識を詰め込もうとする方もいます。しかし、個人的には、あまりよい戦略ではないと思います。なぜなら、下記のとおり、短答式の勉強は短期的な知識として詰め込むより、長期的な体系の理解に努めるべきこと、試験の2,3か月前に短答式ばかり勉強すると、1番大事な時期に1番大事な論文式の勉強がおろそかになってしまうことからです。
3 具体的な勉強方法について
基本的な勉強方法は、過去問を解き、条文や判例を確認するというものでした。もっとも、過去問を解いた際に、「正解した」、「間違った」、という点については一切こだわりませんでした。なぜなら、試験本番でもないのに、点数に一喜一憂することには意味がないと考えていたからです。
その代わりに、論文式でも活かせるように、短答式の勉強を通して体系的な理解を得ることにはこだわりました。具体的には、過去問を解いた後、「問題4のアの肢の最高裁判例と、ウの肢の最高裁判例は、原則・例外の関係にある」、「この肢は最高裁判例のこの部分に関するものだが、なぜこの部分が短答式で問われるほど重要なのか」、「この肢はこの条文に該当する具体例だが、論文式で仮に出題されるとしたら、どのように、どの程度論じるべきか」、といったことを意識しながら、1つ1つの肢について、条文や判例を確認していました。
このような勉強方法を9月から繰り返し続けたことにより、体系的かつ長期的な理解を得ることができたと思います。特に2回目の受験においては、民法の家族法分野を除いて、試験直前の4月、5月に短答式の勉強をすることなく、合格者平均点を上回る点数をとることができました。また、民法や刑法の論文式試験でも、短答式で勉強したことが非常に役に立ったと思います。

第3 論文式の勉強方法

1 1回目の失敗と敗因分析について
(1) 私は、1回目の受験では、論文式試験で落ちました。1回目で受かると思っていたので、ショックが非常に大きく、2度とこんな思いはしたくないと思ったこと、2回目で落ちてしまったら司法試験はきっぱり諦めようと思っていたことから、1回目の合格発表の直後から、2回目で確実に受かるためにはどうしたらよいかを考えました。
(2) まず、確実に受かるためには、合格者と比べて今の自分に足りないところは何かを見極めることが重要だと考えました。1回目の論文の系別の成績をみると、公法系・刑事系科目は合格者の平均を上回っておりました。しかし、民事系・選択科目(環境法)の点数が低く、合格者の平均に届いていませんでした。もっとも、民事系・選択科目をがむしゃらにやるだけでは、1回目と同じ失敗をしてしまうかもしれないと思いました。そこで、多数の合格者の意見を聞いたり、これまでの自分の勉強方法を振り返ったりしながら、具体的に公法系・刑事系科目でできたこと、民事系・選択科目でできなかったことを考えました。
敗因分析をしていく中で、1つ気づいたことがありました。それは、普段の民事系科目の勉強で、わからない問題に直面した時、問題文の事実を最大限拾いつつ、わからないなりに自分の考えを述べることを怠っていたことです。民事系科目は、試験範囲が膨大なので、試験範囲全体をおさえるために、基本・応用のメリハリをつけることなく、論点主義的に全体をおさえようと勉強していました。選択科目についても、1回目の時は手が回らず、大雑把に勉強していたように思います。
しかし、多くの合格者の話を聞くと、必ずしも試験範囲全体について豊富な知識を有していたわけではありませんでした。もっとも、わからない問題に直面した時に、基本的な知識と問題文の事実を積み重ねて、結論まで持っていく姿勢は、全ての合格者が持っていました。
そこで、私は、基本・応用の区別をつけ、わからない問題に直面した時、事実を最大限拾いつつ、基本に立ち返り自分の考えを述べることを意識して勉強しようと決意しました。
2 2回目の受験期間における具体的な勉強について
(1) 公法系・刑事系科目について
上記のとおり、公法系・刑事系科目は1回目の受験の際に合格者平均を上回っていたため、勉強方法や教材を変える必要はないと考えていました。しかし、2回目受験でも1回目より良い点数がとれる保証はないこと、民事系・選択科目の失敗を繰り返す可能性があることから、公法系・刑事系科目の点数を底上げする必要があると感じていました。
特に、1回目の試験本番において、公法系科目では百選判例レベルの規範を忘れてしまったり、刑事系科目では事実を拾い漏らしたりしていました。そのため、主に過去問と判例百選を繰り返し検討し、判例の規範や事実を1つ1つおさえる勉強をしていました。
2回目の試験の成績は、刑事系科目の点数は変わらなかったものの、公法系科目は20点以上点数を伸ばすことができました。
(2) 民事系・選択科目(環境法)について
上記のとおり、民事系・選択科目については勉強方法から抜本的に変える必要があると考えていました。私は、「とにかく考える力」が足りなかったため、合格者の中でも、特に考えることを意識して勉強していた方のアドバイスを参考にし、普段の勉強で、あえて答案を書かないという勉強方法をとりました。
合格者の中には、時間を計ってとにかく答案をたくさん書くという方が多くいました。しかし、私は1回目の受験期間において、そのような勉強をしていましたが、結果は伴わず、むしろ考えることを怠る原因にもなっていました。そのため、答案を書く時間を犠牲にしてでも、百選判例や、短答式で問われる条文等の基本的な知識を使って、わからない問題を頭の中で考えることに時間を費やしました。
もちろん、答案を書かないことについて不安はありました。しかし、直前模試で民事系・選択科目の点数が高かったことや、過去問の出題趣旨・採点実感と自分の着眼点が一致してきたという手応えがあったことから、5月の試験本番まで答案はできるだけ書かないようにしました。
2回目の試験本番では、当然、わからない問題が出ましたが、落ち着いて事実を拾い、結論まで持っていくことができました。1回目受験の時よりも、民事系科目は50点以上、選択科目は20点、点数を伸ばすことができました。
(3) まとめ
誰にでもあてはまる「司法試験で確実に受かる方法」というのがあるのであれば、司法試験はおよそ難関試験たりえません。司法試験の難しいところは、合格するためにやらなければならないことが異常に多く、しかも人によって足りているものや、足りていないものの量や質が違うということです。それゆえ、確実に合格するためには、特定の合格者の意見を鵜呑みにすることなく、たくさんの合格者の意見を聞いたうえで、今の自分にとって何が足りないのかを常に考えながら、勉強することが肝要であると思います。

第4 その他合格に必要なことについて

以上、勉強方法に関する、合格に必要なことを述べさせていただきました。もっとも、自分の経験や、1,2回目の合格者・不合格者の特徴を踏まえると、合格するために必要なことは、必ずしも勉強方法の改善に限られないと思います。
例えば、1回目で合格する方には、朝から自習室に来て勉強する、ゼミの答案提出期限等、約束や期限を原則として守る、嫌なことや面倒なことを後回しにしない等、生活面における自己管理を徹底している方が多い印象があります。他方で、自分を含め、不合格の方や合格するまで複数回受験をする方には、昼から自習室に来る、ゼミに遅刻したり答案提出が遅れたりする、嫌なことや面倒なことを後回しにしたり、他人に任せたりするといった方が多い印象があります。
司法試験合格は険しい道のりであり、普段の生活面から自己管理を徹底させておかないと、乗り切れない試験であると思います。もちろん、受験生の中には、家庭の事情や経済的事情、健康面等から、勉強のための生活環境を整えることが難しい方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのような事情がないのであれば、司法試験を意識して普段の生活面を改善することにも努める必要があります。

第5 さいごに

1回目の合格発表日に、法務省の掲示板を見て、自分の受験番号がないとわかった時、頭を重点講義で殴られたように目の前が真っ白になりました。そして、そこから1年間、目の前の全てに黒いフィルターがかかっていたような感覚でした。おそらく、複数回受験している方や、初めての受験にプレッシャーを感じている方も同じような感覚を持っているのではないでしょうか。
ですが、過度に自分を貶めたり、追いこんだりする必要はないと思います。私は、1回目に落ちた直後も、2回目に受かった直後も、「司法試験はなんて過酷な試験なのだろう」という、まったく同じ思いが浮かんだことをはっきり覚えています。上記の自己管理の徹底はもちろん重要ですが、司法試験という過酷な試験に挑戦しているということを忘れず、健康の維持や息抜きにも努めてください。
以上、長く拙い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。明治出身の方が1人でも多く合格されることを心より祈っております。
以上