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予備試験合格体験記

千葉 智達

 
 

1.経歴・予備試験志望の動機

⑴ 経歴
 平成28年4月  明治大学法学部入学
 平成30年11月 司法試験予備試験合格
 
⑵ 動機
 予備試験を志望したのは, 試験を終わらせて早く法曹の仕事をしたいと考えていたからです。予備試験の勉強は司法試験にも繋がるので, 予備試験は受験した方が良いと思います。
 
 

2.予備試験短答式の勉強法・司法試験との違い

⑴ 勉強法
 短答式の勉強は, 主に過去問を解く勉強をしていました。そのときには, 自分の記憶で問題を解くのではなく, 普通に考えたらどうなるのかということを意識して解くようにしていました。その理由としては, 暗記しただけの記憶で解こうとすると間違える危険性が高く, また, 考えて解けるならば勉強時間を大幅に減らせるため, これが最も良いと思ったからです。他にも, 考えて解くと論述式の勉強と繋がりやすいということも理由としてあります。
 他に気をつけていたことは, 一度完全に出来た問題は, 次の機会にはなるべく解かないようにするということです。一度解けたとしても, 次のときには解けるか不安であってまた解きたくなりますが, 完全に解けた問題は次のときにも解けるので, 再度解いても時間の無駄だと思い, このようにしていました。
 過去問を解くときに使っていたのは, 辰巳の短答過去問パーフェクトと肢別本で, 量としては, 両方あわせて4周くらいやりました。
 
⑵ 司法試験との違い
 司法試験の短答式試験と一番大きく違うところは, 商訴行政と一般教養科目があることです。そのため, 予備試験では司法試験よりも勉強する範囲が広くなります。ただし, 憲民刑については共通した問題も出るので, その点はやることは同じだと思います。
 
 

3.予備試験論述式勉強法・司法試験との違い

⑴ 論述式勉強法
 論述については, まず, 答案の型を作る勉強をしていました。その方法としては, 主に参考答案・再現答案を見ながら予備試験や旧試験の過去問を解くということをやっていました。この型ができていないとどれだけ良いことを書いたとしても点数が取れず, また, これができていると理論面の理解がしやすくなるので, これを最初にやるべきだと感じました。このときには, 自分一人でやるのは難しいところがあるので, 人に答案を見てもらうことが特に重要になると思います。
 次にやっていたのは, 理論面についての勉強で法の基本的知識をつけるということでした。このときには, 全ての論点をやることは無理なので, 予備試験や旧試験で出題されている論点について, 優先的にやるようにしていました。その内容としては, 基本書や百選を使って, その論点がなぜ問題となったのか, 判例はその点についてどのような説を採っているのか, なぜその説を採ったのか, その説はどういった内容なのか, ということを理解するようにしていました。(ただ, これについては, 全く間に合わなかったので, 予備校本で覚えただけの論点や短答で解いただけの論点も多々ありました。)
 その次には, 過去問を解く,答練を受ける等して, 実際に問題を解く勉強をしていました。ここでは, 自分の持っている基本的知識を実際の問題に使う能力や, 応用する能力を身につけることができるようにしていました。
 (以上のことは, 順番にやったようにも書いていますが, 実際には同時に並列してやっていました。)
  
⑵ 司法試験との違い
 司法試験との違いについては, 主に①試験時間, ②実務基礎科目, ③一般教養について違いがあります。
 この内, ②実務基礎科目については, 民法・民訴法や刑法・刑訴法の知識でほとんど解けるので大した問題にはなりませんし, ③一般教養についても, 特に対策はしないので大きな違いにはなりませんでした。
 しかし, ①試験時間については, 司法試験と違い, 公法系で合わせて140分といったように時間を自由に使える範囲が広いという違いがあります。特に, 民事系については, 民法・商法・民訴法で3時間30分ですが, 民訴法はあまり時間がかからない場合が多く, その分の時間を他の科目に使うということができるようになるので, 事前に時間の使い方を考えた方が良いと思います。 
 

4.口述試験

⑴ 口述試験の勉強方法
 口述試験については, 過去問を解いて, そこで出題された点について基本書等で確認する勉強をしていました。他には, 論述の際にまとめたものを確認して, 知識が抜けてないかを確認していました。口述試験は, 基本的に落ちないので, これらをやっていれば十分だと思います。
 
⑵ 口述試験後合格発表前の方へ
 個人的には,口述試験の合格発表前の期間が,予備試験の中で最も精神的に辛い時期でした。口述試験は,問いに完璧に答えることができず,また,短答式や論述式と異なり問題文を持ち帰ることができないため,答えられなかったことばかり記憶に残り,落ちているのではないかと不安になるからです。
 そこで,同じような状況にある人には,いくつかわからないものがあったとしても必ずしも不合格になるとは限らないので,あまり気にする必要はないということを伝えたいです。実際に,中止犯の問題や,証人の保護についてあまり答えられず,これは落ちたなと思いましたが,平均的な点数が取れて合格していたので,受験生個人の感覚は全く参考にならないと思います。
 
 

5.その他

使っていたお勧めの基本書・問題集等
 憲法:『憲法』(芦部), 『「憲法上の権利」の作法』(小山)
 民法:『民法Ⅰ~Ⅳ』(内田), 『民法の基礎1~2』(佐久間)
 商法:『会社法』(田中)
 民訴:『民事訴訟法概論』(高橋)
 刑法:『刑法』(山口)
 刑訴:特になし
 民事実務:『新問題研究 要件事実』(法曹会), 『紛争類型別の要件事実』(法曹会)
 刑事実務:特になし
 共通:『判例百選』
 問題集:『短答過去問パーフェクト』(辰巳), 『肢別本』(辰巳), 『A答案再現&ぶんせき本』(辰巳)

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