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司法試験予備試験合格体験記 私の予備試験合格法

清水 祐太郎

 

1 経歴

平成23年 明治大学法学部 入学
平成27年 明治大学法学部 卒業
平成28年 中央大学法科大学院 入学
平成28年 司法試験予備試験合格
平成29年 司法試験合格
 
 予備試験を志望したのは,法科大学院の学費を親に出してもらうのが厳しかったことと,早く法曹として働きたかったのが理由です。予備試験に合格すると,就活で有利になるといったことは考えたことはありませんでした。

  

2 予備試験短答式の勉強方法・司法試験との違い

⑴ 予備試験短答式の勉強方法

 司法試験に向けた勉強方法とかぶることが多いので,司法試験の合格体験記も参照して頂ければと思います。
 私は,短答式対策として,過去問を繰り返して解くという方法をとりました。その際には,必ず六法を脇に置き,問題で出てきた条文については逐一六法で引くということにしていました。そうすることにより,条文を何度も目にすることとなり,自然と頭の中に条文とその意味が入ってくるようになりました。また,条文や解説を見ただけでは分からない時は,基本書の該当部分を読むようにしていました。解説よりも基本書の方がわかりやすく書いてあることも多いので,分からない時は基本書を見てみることをお勧めします。
 概ね,過去問については,5周くらいしました。かなり時間がかかる勉強ですが,そのぶん力もつくはずです。論文の勉強に比べて,集中しなければならない時間が長いため,短答式の対策は辛いものですが,予備試験に合格したいという気持ちでなんとか乗り切っていました。

 
⑵ 司法試験との違い

 司法試験との違いは、①商訴行政の試験もあること、②一般教養科目があること、③最低点が存在しないこと、④合格に必要な点数が低めであることです。
 
 ①商法については、あまり勉強が進んでいない商法総則や手形小切手法についても出題されるのでなかなか点数をとることは大変です。しかし、後述のように、必ずしも商法で高得点をとる必要はないので、最低限の勉強をしておけばよいと個人的には思います。
訴訟法については、細かい制度まで問われるので条文や制度を覚えることが大事です。しかし、訴訟に関する知識は、修習や実務においても必要となるので、予備試験対策として覚えておくと後になって楽だと思います。また、条文を覚えておけば解くことができる問題もかなり出題されているので、簡単に点数をとることができる科目ではあります。
行政法については、論文の対策の延長で対策ができると考えています。論文にもいきると考えて勉強するとよいと思います。
 
 ②一般教養科目の存在については、得意な人と苦手な人とで意味が大きく違います。得意な人にとっては、良い得点源であり、苦手な人にとっては、一番のウィークポイントになります。
得意であろうと苦手であろうと、法律科目で何点とらなければいけないかを決める重要な科目なので、早めに過去問等で自分が何点くらいとれるのかを認識することが大事です。私は比較的得意だったので、それをいかして法律科目で必要な点数を定めていました。
 
 ③最低点が存在しないことは、かなり受験生にはメリットです。得意な科目を伸ばすことで、苦手な科目で失敗してしまっても合格しうるからです。しかし、実際に合格点を計算してみれば分かりますが、苦手科目であっても20点程度はとっておきたいので、油断は禁物です。
 
 ④司法試験よりも合格に必要な点数の割合が低いです。予備試験合格を目指すひとにはあまり関係ありませんが、司法試験の方が必要な点数が高いということを意識しておくと、私みたいに司法試験直前に焦らなくてすみますよ!

 

3 予備試験論文試験の勉強方法・司法試験との違い

⑴ 予備試験論文試験の勉強方法

 私は,主に旧司法試験の過去問を素材に勉強していました。その際に使用した答案例は,Wセミナーの『スタンダード100』というものです。この教材は,時間内に受験生が解いた答案というコンセプトで書かれているので,完璧な答案とは言えませんが,答案例をどのようにしたら良くなるのかを考えることが勉強になります。
 旧司法試験の過去問を解いた時に,私が特に意識していたのは,「要件や効果は何か」ということです。司法試験の問題を解くに当たって,要件や効果が何かということを意識すると,グッと解きやすくなると考えています。これは,司法試験の問題が要件に当てはめるのに必要な事実を漏らさず盛り込んでいるからです。そのため,事実がどのような要件に当てはまるべきものかという逆算の思考をすれば,自ずと論ずべき事項についてわかることとなっています。

 
⑵ 司法試験との違い

 司法試験との違いは、①出題傾向が異なること、②求められるレベルが異なること、③試験時間が異なること、④実務基礎科目が存在することです。
 
 ①憲法や商法で顕著ですが、予備試験では,司法試験で出題されたことのない分野からも出題がされる可能性があります。それらの分野についても対策しておくと本番で焦らず、他の受験生に対して優位をとれるのでおすすめです。もっとも、私はほとんど対策しておらず、本番でもうまく書けなかったのですが合格することができたので、重要なのはどこで得点するかだと考えます。
 
 ②司法試験とは異なり、予備試験の問題は短めで、当てはめに使える事実も少ないです。そのため、法解釈部分の論述が大事です。そうはいっても特別難しいものではなく、趣旨から規範を立てて当てはめるという基本的なことができていれば十分に合格答案となります。司法試験もそうですが、法曹として基本となる考え方ができるかについて試されているのですから、全科目についてそのような考え方を見せつければ合格できるわけです。
 
 ③予備試験では公法系、民事系、刑事系で試験時間が分かれています。2科目同時に検討しなければならないことは大変です。また、その分たくさん書かなければならないので、筆力が必要となります。そのため、答練等で時間を図って問題を解くことで、練習する必要があるでしょう。私も直前期にはそのような対策をしていました。
 
 ④実務基礎科目については、一般的にはロースクール生が有利です。しかし、あまり難しいことが問われているわけではないので、学部生や社会人であっても、新問研等で対策は可能です。私はロースクール入学前から実務基礎科目の対策をしていたので、他のロースクール生よりも高得点をとれたものと自覚しております。やればやるだけ点数をとれるので、時間を割いて対策することをおすすめします。

 

4 口述試験の勉強方法

 私は,論文式試験に落ちたと思っていたので,論文式の合格発表までは口述試験の対策は全くせず,司法試験に向けた一般的な勉強をしていました。様々な合格体験記を読んでもそのような合格者は多いので,論文式試験後に準備を開始すれば十分に間に合うものと思います。
 私が,口述試験の対策として行ったのは,口述試験の過去問を実際に考えてみることです。予備校などに行くと口述試験の過去問をもらうことができます。そこで,私は,実際に受験生だったらどう答えるかを考えながら,過去問を読んでいきました。また,実際に過去問を素材に友人と模擬試験を行いました。友人同士で行うと,「頭の中ではわかっているつもりだけど,口ではうまく答えられない」ことがあることに気づくと思います。そのような経験をすると,もっとしっかり勉強しなければならないと思えるので,この方法はオススメです。
 また,要件事実の対策としては,法曹会『改訂 紛争類型別の要件事実』を使い,少し細かめの要件事実についても理由付きで答えられるようにしておきました。民事執行法や民事保全法については,それまで全く勉強していなかったのですが,薄い基本書を購入し,大体の手続きや条文を覚えました。
 刑事系の対策としては,刑法の構成要件を再確認しました。口述試験では,構成要件についても問われることがあるので,しっかりと口で言えるレベルまで構成要件を覚えておくことが大事です。また,刑事訴訟手続として,刑事訴訟法の条文を読んで,どのような流れで刑事手続が進んでいくのかを確認しました。論文試験の対策としてはほとんどしていなかった部分なので,大変な作業ですが,これも将来的には役に立つので,しっかりと行うことをお勧めします。

  

5 最後に(予備試験合格に大切だと考えていること)

 私の周りには,すぐに予備試験に合格した人も,何度受けても予備試験の短答式試験に合格できない人もいます。一人一人詳しく見ているわけではないので,正確なことは言えないのですが,予備試験に合格している人に共通しているのは、集中して多くの時間勉強していることです。当たり前のように思えますが、この当たり前のことをできていない人が想像以上に存在します。
 言い訳をして休んだり、教材について愚痴を言ったりせず、また、勉強中には余計なことを考えずに必死に勉強すれば、合格できるものと思われます。
 予備試験に合格すると可能性が一気に広がります。ぜひ頑張って合格してください!

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