司法試験合格体験記 私の司法試験合格法
田畑 優介
出身大学:愛知学院大学法学部法律学科
出身ロースクール:明治大学法科大学院 既修 2015年入学 2017年修了
新司受験歴:1回
1.法曹志望の動機
司法試験受験を決意した時期は大学4年次でした。就活をするか法曹の途を選ぶか、当時は相当の迷いがありました。私は、昔から法律というものに興味を持っており、そのため大学は法学部を選択しました。大学在学時は法律の勉強を真剣にしていなかったのですが、法律への興味と感心は昔のままであり、そのような法律への興味と社会貢献の意欲に駆られ、私は法曹の途を決意しました。
2.法科大学院受験前、入学後の勉強
司法試験の受験を決意した時期が大学4年次でありかなり遅い時期であったこと、大学在学時にはあまり真剣に法律の勉強を行っていなかったことから、私は一から法律の勉強を始めることにしました。そこで、私はある受験予備校の入門講座を受講し、法律の勉強を基礎から勉強し直すことで、明治大学法科大学院の既修コース(2年コース)に入学することができました。
法科大学院入学後は、司法試験を見据えながら、まず大学院の授業に真剣に取り組み、授業の予習復習を中心に勉強をしていました。というのも、司法試験は基礎的な法律知識、法曹としての最低限の法的思考能力を問うものであるからです。したがって、私はまず授業を大切にし、教授から法的思考を学ぶことに力を注ぎました。
試験直前には、基礎的な知識の確認に加え、司法試験も受験勉強であることから、受験対策として過去問対策や答案の書き方などの検討を行いました。
3.短答式試験対策
私は、短答式試験対策は十分にできなかったのですが、過去問を繰り返し解くことで基礎的な問題に対応し、また、論文対策とも共通するのですが、基本書や判例を学ぶことにより、あたらしい問題や応用的な問題に対しても、考えて解くことができるよう努めました。
その結果、安定的な点を取ることができるようになり、短答式試験も無事突破することができました。
4.論文式試験対策
主な論文式対策としては、基本書を繰り返し読むことで基本的な法的知識を定着させること、著名な問題集や解説書を利用し応用的な法的思考を養うこと、ゼミなどを組み過去問を検討したり討論を行うことで法的問題に対して思考する力を磨くことを行いました。
基本書を読むことは、試験対策としてベースであると私は考えています。司法試験はあくまで、法曹として最低限の法律知識を備えているかという点と、法的な思考を備えているかという点をチェックしているに過ぎないからです。したがって、基本書を読むことは司法試験にとってもっとも大切なことの1つであり、基礎を身に着けることができれば、司法試験においても多少の応用問題には十分に対応できると考えます。
とはいえ、基本書で身に着けた知識も使い方がわからなければ問題を解くことはできません。そこで、私は著名な問題集や解説書を利用し、法的な問題に法律を使って解決できる方法を学ぶことにしました。「著名な」ものを選んだ理由は、そのような書籍が秀逸であることのみならず、著名なものは受験生みんなが読んでいるものだからです。どういうことかといえば、司法試験はみんなができることができなければ低い評価を受ける試験です。すなわち、みんなが読んでいて解ける問題は確実に解ければならないです。
ゼミを組むこともとても有効な試験対策です。同じ立場の受験生同士で討論を行ったり、課題に取り組むことは、勉強へのインセンティブとなるばかりでなく、お互いに足りない知識を補い合ったり、法的思考を研鑽することに役立ちます。また、分担して試験対策を講じることもでき、合理的な勉強ともなります。
5.受験対策として使用した本
基本書は、やはり法科大学院で指定されるような著名なものを選びました。
問題集等については、あまり手を広げすぎず、著名なものを中心に選びました。たとえば、「事例研究行政法」、「民法総合・事例演習」、「ロースクール民訴」、「刑法事例演習教材」、「事例研究会社法」などです。
そのほか、私の場合は必携の本として、「事例演習刑事訴訟法」(古江頼隆)、「読解 民事訴訟法」(勅使川原和彦)を精読しました。
6.これから受験する人へのエール
私は、運よく1回目の受験で合格することができました。司法試験も一発勝負である以上、ある程度の運にも左右されると思います。しかし、運だけでは合格することは難しいです。一定程度の基礎力がなければ合格することはできないと考えます。逆に言えば、一定程度の基礎力を身に着けていれば、本番に向けて体調を整えて自信もって試験に挑むことにより司法試験合格は見えてくると思います。着実に基礎力を備えて、自信をもって司法試験に挑んでください。
試験までは、とても辛い勉強の日々だと思います。しかし、これほど集中して勉強する機会もなかなかないのでないかと思います。この辛さを乗り越え、合格に至ればひと時の休息とともに法曹としてあらゆる可能性が広がることだと思います。
皆さんの合格を心から祈っております。