合格体験記 私の司法試験合格法
小野澤祐大
2024年 明治大学法学部卒業
1 経歴・法曹志望の動機
2023年 司法試験予備試験合格
2024年 司法試験合格
自分は大学1年の秋あたりに司法試験受験を考え始めました。その動機は2つあります。1つ目は、あまりいい動機ではありませんが、コロナが蔓延しており、あまり外出等ができなかったこともあり、暇だったので予備試験・司法試験の勉強を始めようと考え始めました。この動機は不純かもしれませんが、ピンチはチャンスという言葉は本当なんだなということを体感できました。2つ目は1年の春学期の大学の憲法・刑法・民法の授業がおもしろく、法律の学習が楽しいと感じたからです。実際、法律の勉強が楽しいことは最後の最後まで自分のモチベーション維持につながったと考えています。
そして、令和5年度の予備試験に合格し、司法試験の受験資格を得ました。
2 短答式の勉強法
短答は主に、予備試験の対策の時から、過去問を周回する方法により勉強しました。具体的には、肢の理由も正確に理解し正解出来たら〇を、それ以外の場合には×をうって、2週連続で〇が付いた場合は、理解したものとみなし、3週目以降は当該問題を飛ばし、対象を徐々に限定していきました。また、条文の多い民法と商法については択一六法に知識を一元化し、類似の制度間で頭が混乱しないように工夫していました。
予備試験合格後、司法試験に向けて短答の対策を再開しましたが、予備試験と異なり、3科目のみであることから、論文をメインにおいてしまい、短答対策をおろそかにしてしまいました。結果的に、短答は110点台と低迷してしまいました。
司法試験の短答は、予備試験に比べ、問題数が多い分、細かい知識が求められる問題が増えると感じました。
したがって、短答対策もおろそかにせず、短答で一点でも多く取りに行く必要があると感じました。
3 論文式の勉強方法
論文は主に短文事例問題集の周回と過去問対策そして論証の暗記を行いました。短文事例問題集については予備校の物ですが、ほとんどの科目で7周ほど行いました。これは、論証が瞬時に出てくるか、事案に覚えた論証を的確に適用できるか、条文や原理原則から考えられているかという点を中心にアウトプットしながらインプットをするというイメージで取り組みました。過去問対策については、直近10年分のすべての科目を起案しました。ここでは知識というよりは時間配分や答案戦略などの実践面を中心に確認しました。また、ただ書いて終わりではなく、ネットに落ちている再現答案と自分の答案を比較し、合格答案の相場観の把握に努めました。
特に司法試験の問題は、予備試験に比べ、難易度が高いため、相対的にどれくらい書ければ合格なのかを知らなければ、本番にパニックになってしまうと考えました。
したがって、この相場観の把握は、最も重点的に行いました。
相場観を把握した結果、本番の難問に直面しても、パニックになることなく書き進めることができ、論文は約400位という結果を残すことができました。
4 受験生へ
司法試験は、基礎的な条文判例を使いこなせるようになれば、合格できる試験であると考えています。なので、ハードルを高く設定しすぎず、基礎を確実なものにするという意識を持っていただきたいです。また、論文のA答案のハードルはあまり高くないことを理解するためにも、合格答案を分析することもおすすめです。そうすれば、おのずと基礎を確実なものにすれば十分だということを理解できると思います。
一方、一番やってはいけない勉強法は、学説や、細かい議論に踏み込みすぎてしまうことです。司法試験は、実務家を登用する試験であり、学者になるための試験ではありません。なので、基礎的な条文・判例を深く理解し、具体的な事案で使いこなす訓練を日に重ねてください。本当は、努力は嘘をつかないと言いたいところですが、間違った方向へ努力をしてしまったら、普通に嘘をつきます。なので、正しい努力の方向を見定め、訓練を重ねていただきたいと思います。明治大学卒業生として応援しています。
以上